サービスの提供をしていて、このように思った経験はありませんか?
- サービスを長く継続してもらえず、すぐに契約を解除されてしまう
- 顧客満足度が低く、上げるために有効な手段を知りたい
そこで、重点的に取り組んでいきたいのが「カスタマーサクセス」になります。
こちらの記事では以下のような内容について説明します。
- カスタマーサクセスについて、およびカスタマーサポートとの違い
- カスタマーサクセスが注目される理由と目的について
- カスタマーサクセスの成功事例とチャットボットの活用について
カスタマーサクセスとは
カスタマーサクセス(Customer Success)とは、直訳すると「顧客の成功」という意味であり、積極的に顧客に関わっていくことで、顧客に成功体験をしてもらうために施策を練ったり、活動を行っていくことです。
顧客が成功体験をすることで、会社には以下のようなメリットがもたらされます。
- 顧客単価の増加
- 顧客満足度の上昇
- 解約率の低下
カスタマーサクセスの成功のためには、以下のような取り組みが必要になります。
- 専門のチームを結成する
- カスタマーサクセスの定義づけ、目的や行動について分析する
このように、顧客に成功体験をさせることで、様々なメリットを受けられ、サービスの品質向上や売り上げ拡大に貢献する一連の流れを「カスタマーサクセス」と呼びます。
カスタマーサポートとカスタマーサクセスの違い
似たような単語に「カスタマーサポート」が挙げられます。カスタマーサクセスとの相違点は、以下の通りになります。
- ユーザーに対する働きかけ方、姿勢
- KPI(重要業績評価指標、中間目標)
- ゴールの定義
カスタマーサポートは、基本的に「受け身」であり、具体的な施策には以下のようなものが挙げられます。
- 問い合わせ対応
- クレーム処理
- FAQの作成
ユーザーからの働きかけに対して、問題の解決がゴールであり、KPIは対応の満足度や解決できた問い合わせやクレームの件数になります。
一方で、カスタマーサクセスは「攻めの姿勢」であり、顧客満足度を上げるための活動が主な施策になります。KPIは解約率や顧客満足度などが設定されます。そして、ゴールは顧客の成功体験になります。
このように、カスタマーサクセスとカスタマーサービスは「攻め」の姿勢か、「受け」の姿勢かが異なっています。
カスタマーサクセスが注目される理由
それでは、なぜカスタマーサクセスが注目されるのか、その理由についてご紹介していきます。
サブスクやSaaSの台頭
最初に、サブスクやSaaSが力を持ち始めた点が挙げられます。サブスクとは、サブスクリプション方式を指し、一定期間内に定額を払えば、サービスを利用し放題なシステムのサービスになります。著名なサービスだと「Netflix」や「Kindle unlimited」などが挙げられます。
また、SaaSとは「Software as a Service」の頭文字を取った単語であり、直訳すると「サービスとしてのソフトウェア」という意味になります。インターネット経由で利用可能なクラウド上にあるサービスを指します。例としては「google Workplace」や「Teams」などが挙げられます。
上記のようなサービスはどんどんと増えており、競合他社も増えていっています。そのため、自分に合わなければ解約して別のサービスに切り替えることも簡単にできてしまいます。そのため、顧客に成功体験をしてもらうことで、継続してもらえる仕組み作りをしていかなければなりません。
このように、サブスクやSaaSのような形式でサービスを展開していく場合、解約を避けるために、ユーザーに常に満足してもらえるようなカスタマーサクセスが重要になってくるのが理由の一つになります。
差別化が困難に
同業他社との差別化が困難になってきた点も理由の一つです。
最近では、日本国内だけではなく、世界中のサービスも簡単に利用できるようになりました。そのため、競合他社も増えていっており、サービス独自のウリをアピールしにくくなってきました。
そこで、現在利用してくれているユーザーの解約を防ぐためにも、カスタマーサクセスを活用して、ユーザーのより満足できるサービスを提供し続ける必要があります。
このように、競合他社のサービスに負けないようにするため、カスタマーサクセスは重要になってきます。
契約後の対応が売上に大きく影響するように
契約後の対応の良し悪しは売上に大きな影響を及ぼすのも一因です。
カスタマーサクセスで達成したい目標はいくつかありますが、その中の1つが「サービスを継続して利用してもらうこと」になります。サービスの継続利用が売上に繋がり、以降で説明するカスタマーサクセスの目的の一つである、LTV(顧客の月額、年間課金額の合計)の最大化の達成に繋がるのです。
LTVの最大化を達成するためには、ユーザーに途中解約や、乗り換えされるのを避けなければなりません。そのためには、顧客満足度の向上や、高い状態の維持が必要になります。
そこで、カスタマーサクセスが大きなカギとなります。顧客にサービスを通じて成功体験をしてもらうことで、サービスの継続利用を図り、売上の維持に繋げていく必要があります。
このように、解約を防ぎ、売上の維持が、評判を向上させることが売上を左右するため、カスタマーサクセすぐは重要な役割を担っています。
カスタマーサクセスの目的
それでは、カスタマーサクセスで達成していきたい目的が何なのか、詳しくご説明していきます。
解約率の改善
最初に、サービス解約率の改善です。
特にサブスクのサービスでは、ユーザーに継続してサービスを利用し続けてもらうことが重要になってきます。
そのために、以下のようなことが必要になってきます。
- 解約率を下げる、売上への影響を見る
- オンボーディングに関する施策を行う
上記のような施策を通じて、ユーザーに満足してもらい、顧客満足度を向上させられます。
このように、顧客満足度を高くして、解約率や、解約に伴う売上低下を防ぐのがカスタマーサクセスの目的の一つです。
オンボーディングとは
オンボーディング(on-boarding)とは、直訳するとon-board、「船、飛行機に乗る」という意味の単語から生まれた用語です。
具体的には、顧客がサービスをある程度使いこなせるようになるまでサポートすることであり、以下のようなサービス内容を指します。
- 導入支援
- ワークショップ
このように、ユーザーが使い方がわからないなどの理由で早期に離れていってしまうのを避けるために、カスタマーサクセスが務める役割の一つを「オンボーディング」と言います。
LTVの最大化
次に、LTV(Life Time Value)の最大化が目的になります。
LTVとは、顧客が契約期間内でもたらしてくれる月額課金、年額課金の合計を指します。簡単にいえば、1つのサービスの「累計収益」と言えます。
以下の3つのうち、いずれかの計算式で求められます。
- 売上×収益率×顧客の継続数
- 顧客の平均購入単価×平均購入回数
- 売上高-÷購入者数
LTVは、以下のような4つの目安が顧客の関心のレベルごとに分類されています。
- Retention(継続的利用)
- Adoption(利用率向上)
- Customer Satisfaction(顧客満足感向上)
- Expansion(利用拡大)
Retentionでまずユーザーにサービスを継続して利用してもらい、解約率を低下させていく必要があります。そのために、意識する必要があるのがAdoptionとCustomer Satisfactionの2つです。
Adoptionではユーザーの一定期間内のログイン数や利用時間を増やし、サービスを恒常的に利用してもらいやすくします。
また、Customer Satisfactionでは、顧客のサービス離れを防ぐために、顧客満足度の定期的なチェックを行います。それを踏まえて、ユーザーの悩みや課題を踏まえて、サービスをより使いやすくしていくためのサポートや、相互的なコミュニケーションを行います。
上記3つを満たした上で多くの人に利用してもらえるようなサービス化の段階であるExpansionへと移行します。ここでは利用者数の横方向への拡大や、機能向上を行なっていくことで、サービスの規模拡大を図ります
このように、LTVの最大化を行うことで、サービスをより多くの人に、継続的に利用してもらい、売上の上昇を図るのも目的の一つです。
VoCをマーケティングに活かす
また、VoC(顧客の声)をマーケティングに活用していくことも重要です。
LTVの最大化を達成するためには、ユーザーの声を取り入れた上で、サービスを最適な形にしていく必要があります。
カスタマーサクセスにおける成功のためには、ユーザーの声を踏まえて、サービスを改善し、満足度を引き上げていく必要があります
このように、VoCをしっかりと取り入れて、マーケティング活動で活かしていく必要があります。
VoCとは
VoCとは、「Voice of customer」の頭文字をとった単語であり、直訳すると「顧客の声」という意味です。
具体的には、サービス内容などに関するユーザーからの声を指しており、以下のようなもの全般が含まれます。
- サービスの感想
- 不満点
- クレーム
実際にサービスを利用しているユーザーだけでなく、サイトを見た人などあらゆるユーザーからの意見を取り入れた上で、サービスを常に最高の状態に保っていく必要があります。
このように、VoCとはユーザーからのプラス、マイナスどちらの意見も全て含めたものを指します。
カスタマーサクセスのポイント
カスタマーサクセスをやるにあたって、確認しておくべきポイントがいくつかあります。
カスタマーサクセスを成功させるために、しっかり押さえておきましょう。
顧客の成功を定義する
最も大切なのは「カスタマーサクセス」の基準を明確化しておくことです。
何がどうなれば顧客は成功しているとみなすのか、その基準を「商品の購入をしてくれた」「サービスに対して高評価をしてくれた」などしっかり定義しておく必要があります。
上記のように定義を明確化しておかないと、カスタマーサクセスが順調なのかそうでないのかわからなくなってしまい、意味がなくなってしまいます。
このように、カスタマーサクセスでは、成功の明確な定義付けを行うようにしましょう。
顧客をtiar分けし選択と集中をする
また、顧客をtiar分けし選択と集中をするのもポイントの一つになります。
tierとは、階級や段階という意味の英単語であり、顧客を売上高(LTV)の見込みに応じて分類(セグメンテーション)することになります。
LTVに応じたセグメンテーションを、タッチモデルと呼び、大きく分けて「ハイタッチ」「ロータッチ」「テックタッチ」の3種類に区分されます。(詳細は以降の項目にて説明いたします)
カスタマーサクセスを成功させるためには、顧客の分類に応じた手段を選択したうえで、適切に人的コストを集中させることです。
ハイタッチ・ロータッチ・テックタッチ
ハイタッチ、ロータッチ、テックタッチとは顧客の求めるサービス内容ごとに分けた際の3つの分類を指します。
上記でも述べた通りで、LTVの見込み度合いの高さに応じた分類法になります。
それぞれの単語は、以下のような顧客を指しており、顧客ごとに適切な対応をしていく必要があります。
- ハイタッチ→大口顧客、サービスの中でも売上の大半を占める顧客
- ロータッチ→ハイタッチよりLTV見込みが低い顧客
- テックタッチ→ロータッチよりLTV見込みが低い顧客
ハイタッチのような大口顧客には、サービスを継続してもらうために導入から安定した運用が可能になるまでのサポートや、運用に関しての課題を定期的にヒアリングした上で、丁寧な対応な必要となります。
また、運用が安定してきたユーザーに対してはVoCを定期的に収集した上で、その希望に適切に応えていくと良いでしょう。
次に、ロータッチはハイタッチに比べて母数が大きくなるため、ハイタッチになってもらうためにコミュニケーションを増やしつつも、大人数での対応が可能な以下のような施策がおすすめです。
・人数制限付きセミナー
・ワークショップ
最後に、最も売り上げが低いテックタッチに対しては以下のような、効率よく、かつ課題などを自己解決可能な技術的な仕組みを導入すると良いでしょう。
・動画形式のドキュメント
・チャットボット
・eBook
このように、利益見込みの大きさに応じて顧客を3種類に分類した各分類をハイタッチ、ロータッチ、テックタッチといいます。
顧客の要望を聞きすぎない
注意したいのが、顧客の要望を全て鵜呑みにすればいいというわけではない点です。
顧客からの声を全て汲み取って、反映していてはコストに見合いません。また、意味のない機能を追加してしまい、ムダになってしまう恐れもあります。
そのため、顧客の要望を取り入れる際は、類似した意見がどれくらい集まっているか、などを踏まえた重要性の確認が必要です。
このように、顧客の要望を取り入れる際は、必要なコストと、それに見合うかどうか、重要性などを検討の上、反映するか、しないかを検討していく必要があります。
カスタマーサクセスの成功事例
それでは、実際にカスタマーサクセスに成功した事例をご紹介いたします。
ブルーベリーアイなどの健康食品で有名な、株式会社わかさ生活では以下のような施策でカスタマーサクセスの実現に成功しました
- LINE公式アカウント
- ホームページへのチャットボット導入
上画像のように、LINE公式アカウントのリッチメニュー(画面下部分の固定で表示されるメニュー)を分かりやすくしたり、良く利用する画面に遷移できるようにしました。
また、ホームページに設置されているチャットボットによるFAQ対応とLINE公式アカウントからお問い合わせができるようにすることで、以下のような成果を上げることに成功しました。
- ホームページからのお問い合わせが約5%減少
- リッチメニューのタップ数が1.3倍に上昇
- リッチメニューから遷移して購入してくれた人の売上が2倍に増加
このように、LINE公式アカウントとチャットボットを組み合わせて、ユーザーの悩みをすぐにでも解決できるような仕組みづくりや、ユーザーとのやり取りに重きを置くことで、カスタマーサクセスで成果を出した例もございます。
参考、画像引用:株式会社わかさ生活様 | hachidoriの導入事例 | hachidori(ハチドリ)| プログラミング不要のチャットボット開発ツール
カスタマーサクセスにはチャットボットを
画像引用:hachidori(ハチドリ)| プログラミング不要のチャットボット開発
カスタマーサクセスに有用な手段の一つがチャットボットの活用になります。
チャットボットとは、チャット(chat)とロボット(robot)を組み合わせた単語であり、ロボットがHP上などで自動で対話してくれるサービスになります。
チャットボットを設置しておくことで、以下のようなことが可能になります。
- テキストでのやり取りが可能になり、手軽に情報を取得できる
- ターゲットごとに異なる筋書きを設定し、その人に最適な対応ができる
このように、チャットボットを設置することで、その人ごとに最適な対応が可能になるため、カスタマーサクセスの実現に大きく近づけます。
これを機に、ぜひとも顧客満足度の向上のために導入を検討してみてはいかがでしょうか。
チャットボットに関して、詳しくは以下の記事をご覧ください。