コロナワクチン予約システムの開発は、例外なく全ての行政・自治体にて、今まさに最優先課題になっています。
まだまだ収まることを知らない新型コロナウイルス感染症(COVID‑19)の猛威。
ワクチン接種の準備を急ピッチで進めている今、現在の予約システムのオペレーションに課題感を持っている、予約の受付開始に不安を感じている、そんな自治体関係者様は多いのではないでしょうか?
もし、いま所属されている自治体が「人力」「コールセンターを用いて」予約を受け付ける予定である・または受け付けているようであれば、ぜひこの記事を読んでいただきたいです。すでに予約システム導入済みだけど、不具合が多いなどの理由で不安でいらっしゃる自治体様にも参考にいただける内容だと思います。
この記事では、コロナワクチン予約システムの自治体導入状況や現状のオペレーションが引き起こしている課題、システム選定の際の注意点などについて紹介します。
この記事を書いた人
hachidori株式会社 執行役員 濱田拓馬
LINEやWEBに対応したチャットボット開発ツール『hachidori』を運営しています。『hachidori』は、LINE株式会社のSales Partner/Technology Partnerです。WEBやLINEを活用した予約システムの自治体導入状況
ワクチン接種の予約は、「自動(システム)」、「半自動(システム+コールセンターなど)」、「人力(コールセンター)」のいずれかで対応する形になります。
システムの導入割合は各自治体によって大きく異なりますが、例えば群馬県では35市町村のうち22市町村がLINEを用いた予約システムを利用する※など、かなり高い割合でシステムを導入している状況が見られます。
※2021.4.22 東京新聞<新型コロナ>LINEでワクチン予約 県がシステム導入 沼田・安中など22市町村が利用予定
また、LINEを活用したコロナワクチン予約システムの導入数は、2021年1月21日時点のLINE社による公式発表では100を超えます。1月時点で100を超えていますので、すでにその数倍の規模の自治体がLINEによるコロナワクチン予約システムを導入していてもおかしくありません。
予約システムを導入するべき理由
それでは、なぜWEB・LINEの予約システムを導入するべきなのでしょうか?
その答えは、連日ニュースで取り上げられている「コールセンタートラブル」にあります。
コールセンターの予約が逼迫し、予約受付を中断せざるを得ない事態に
皆様もご存知のとおり、システムに頼らず人力で予約受付を行おうとした結果、コールセンターの予約が逼迫して予約受付を中断せざるを得ないなどの事態に陥ってしまった自治体が多数存在します。
予約の受付電話がつながらないと住民がワクチン接種の予約をできないだけでなく、必要以上に自治体への不安や不満を募らせてしまう結果になりかねません。
不可能に近い「コールセンターを用いた完璧なオペレーション」
コールセンターによる予約システムのパンクは、オペレーター・回線不足に起因する場合がほとんどです。
もちろんこれらの不足が解消できれば良いのですが、上の記事でも「数千回線はないとつながらない」とこぼす接種担当者がいるように、この問題を解消するには大幅な人員・委託費の確保が求められます。
コールセンターだけで全ての予約を受け付けるオペレーションを作り上げるのはかなり難しく、おおよそ不可能と言っても過言ではないのが現状ではないでしょうか。
予約システム導入における費用対効果
先ほど、コールセンターで完璧な受付オペレーションを達成するには「大幅な人員・委託費の確保が求められる」とお話しました。
そこで気になるのが、「システムを導入したら、果たして問題は解決するのか?」という点ですよね。
ここでは、弊社が提供するシステムの価格を前提に「コールセンターだけで運用した場合」と「システムとコールセンターを併用した場合」の試算を紹介します。
あくまでも概算にはなりますが、システムの費用対効果の参考にしていただければ幸いです。
前提となる考え方
- コロナワクチン接種予約システムを導入すると、3割程度の住民がシステムで予約を行います。 (3割という数字は、日本のLINE普及率8割をベースに、地方の高齢化率などを勘案して保守的に試算しています)
- 見方を変えると、システムを入れると3割の電話対応を削減できるということになります。
- 削減幅とシステム導入費を比べて、削減額が上回れば(削減額>システム導入費となれば)システムを入れたほうがお得ということになります。
- 上記の考え方のとおりに計算すると、結論としては「人口6000人以上の自治体であれば、削減額が上回るのでシステムを入れた方がお得」ということになります。試算の根拠は以下に示す通りですので、「本当に?」と思う方は試算結果についてもぜひご参照ください。
※この前提は、過去LINE公式アカウントを活用した類似の実績をもとに当社にて想定したデータになります。 ※前提が明らかに実態と異なる場合は、変数を変更して試算してみてください。
試算
次に、上記の前提となる考え方をもとに、住民数別に3つのパターン(A・B・C)ごとに実際の数字を紹介します。パターンC(住民6,000人)が、損益分岐点となります。
パターンA 前提:住民1万人、2回の接種を電話受付、受電単価500円 電話で受ける場合:10,000人×30%(システムで置き換えられる割合)×2回×500円=300万円 システム導入費用:180万円(年間)
パターンB 前提:住民3万人、2回の接種を電話受付、受電単価500円 電話で受ける場合:30,000人×30%(システムで置き換えられる割合)×2回×500円=900万円 システム導入費用:240万円(年間)
パターンC(損益分岐点) 前提:住民0.6万人、2回の接種を電話受付、受電単価500円 電話で受ける場合:6,000人×30%(LINEで置き換えられる割合)×2回×500円=180万円 システム導入費用:180万円(年間)
LINE・WEB予約システムの概要(イメージ)
数字のイメージは持っていただけたと思いますが、実際のLINE・ WEB予約システムはどのようなものなのでしょうか?
ここでは、hachidori株式会社のシステムをもとにLINE・WEB予約システムの概要(イメージ)を紹介します。以下の画像はあくまでもイメージであり、実運用とは異なる点をご了承ください。
住民側の接種予約方法
ログイン
住民は接種券に記載された接種番号と生年月日でログインを行い、会場や予約日、予約時間を選択することで簡単に予約が完了します。
LINEを通じて予約リマインドも可能
電話・WEB・LINE、どの経路での予約であっても、住民の方のLINE宛にリマインド配信を設定することができます。LINE社が提供する特殊な仕組みを利用して実現しますため、これはどのシステム業者でも実現できることではありません。hachidoriのようなLINE社公認のTechnology Partnerであり、かつ過去に十分な実績がないと実現ができない仕様です。
詳細はhachidoriまでお問い合わせください。
自治体側の接種管理方法
アカウント作成
予約管理システムを扱う職員はそれぞれ職員用アカウントを作成し、管理を行います。作成後、アカウントに登録した内容の編集やアカウントが扱えるデータの権限設定を行うことが可能です。
データのインポート・エクスポート
接種券データや会場データ、予約枠データ、予約枠一覧データはCSVを用いてインポート(エクスポート)できます。
データは上記のような形でエクスポートされます。(あくまでもイメージになります)
予約システム選定における見落としてはいけない罠
ここまでシステムの魅力をお伝えしてきましたが、予約システムを選定する上で見落としてはいけない罠がいくつかあります。
コールセンター委託とセットでの契約しか受け付けない業者も
システム会社とコールセンター事業者が提携したパッケージの場合、「システム」に加えて「コールセンター委託」のセット契約が強要される場合があります。
もちろんセット契約自体に問題はありませんが、すでに行政・自治体側で特定のコールセンター事業者が存在する場合には不都合が生じます。上記に該当する場合は、システム単体でも提供が可能かどうかは、最初に必ず確認する必要があります。
WEB予約はできてもLINE予約はできないシステムも
システムの提供はWEB版(ホームーページ版)のみで、LINE公式アカウントでは利用できないシステムも多く存在します。
LINEは日本国民の約8割が日常的に利用する、インフラと言っても過言ではないツールです。使い慣れたLINEで予約できることで、システムの利用率を上げてコールセンター対応の軽減に貢献することが可能です。LINEについては、一次セキュリティ問題も大きく取り上げられたましたが、その問題はすでに解決済みです。システム選定の際はぜひ、WEBだけでなくLINEにも対応している事業者を選ぶことをおすすめします。
ちなみに、LINEを用いた予約システムの提供は、原則LINE株式会社が認定した開発パートナーが行っています。認定パートナー以外も開発自体は可能ですが、LINE社からの情報提供が十分ではないことや、開発経験が不足している可能性が高いため、認定パートナーの中から選定されることを強く推奨します。
LINE株式会社の資料「LINEを活用した新型コロナワクチン接種予約システムを提供」、最下部にパートナーの社名が一覧で記載されているので、検討の際の参考にしてください。
実績があり信頼できるシステム会社であるかどうか
コロナワクチン接種予約システムを提供する会社は、実績・信頼性のあるシステム会社であるか?という点が非常に重要です。
せっかくシステムを使用しても、不具合が頻発して結果として自治体職員の負担が増えてしまうなどの問題も起こっているようです。
「信頼できる」は計測しづらい指標でもありますが、今回のような場合は「自治体との取引実績が多数あるか(自治体が求める基準を満たせるサービスを提供する会社か)」を基準に考えると良いかと思います。
条件をクリアすれば、LINEを自治体業務で活用することには問題なし!
直近のLINEのトラブルに関する報道などで、「LINEは自治体で利用するのが難しい」とお考えの方も多いかもしれません。
国から発表された結論※としては、条件をクリアさえすればLINEを自治体・行政の業務で活用することには問題がありません。
条件となるポイントは2点です。
- 機密性のない情報であること。機密性のない情報であれば、LINEを使うことは問題ないとされています。
- LINE株式会社とは別の委託先(例:hachidori株式会社)が適切にセキュリティが確保されたシステムを構築すること。hachidoriではもちろん、こちらを満たしています。
※参考:令和3年4月30日『政府機関・地方公共団体等における業務での LINE 利用状況調査を踏まえた今後のLINEサービス等の利用の際の考え方(ガイドライン)』
hachidoriでは、セミナーや個別説明会を随時実施しています
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