緊急時にチャットボット技術が役立つ!?意外な活用方法を模索!
日本にチャットボットが上陸して、2018年7月現在で約2年半。まだまだ導入企業は少ないものの、各企業では様々な用途で利用されている。問い合わせ対応を自動化、商品検索・注文、アンケート形式、サイトへの誘導タイプなど、当初は「AIチャットボットが顧客からの問い合わせを自動化します!」という売り文句のみであったが、この2年半で活用方法は急激に進化し、近い将来、企業にとってなくてはならないコミュニケーションツールとなるであろう。さらにチャットボット技術は緊急時にも役立つ可能性があり、そんな意外な活用方法を考えてみる。
まず緊急時を考えてみる
緊急時というシーンは様々あるだろうが、挙げてみると下記のようになる。
・交通事故
・体調不良
・自然災害(地震など)
・家庭内DV
・事件性のある事象
このように大きく分けると要素は異なるものの、生活する上では、緊急性が高いものであることがわかる。実際に上記のようなシーンに遭遇した場合にチャットボットという技術はどのように活用するべきなのか。緊急時には、電話が最も早く緊急事態ということを誰かに伝えることができる手段である。しかし、電話ができない状況において(例えば自然災害による電話回線の通信基地が機能しなくなる など)は、使い物にならない。
3.11東日本大震災Twitterでの知られざる秘話
本題と少し脱線するが、2011年3月11日に発生した東日本大震災での知られざるTwitterの話がある。東日本大震災が発生した後、各社大手携帯キャリアの電話回線の通信基地が壊滅し、電話やメールが繋がらず、安否確認が非常に困難だった。そんな中、TwitterやFacebookで安否確認する方法が取られ、それらSNSを通じて日本全国また世界中から多くのアクセスがあった。しかし、そんなSNSでの安否確認もアクセス過多により、サーバーダウンする恐れがあった。しかし、Twitterのアメリカ本社に勤める1人のエンジニアによってアクセス過多によるサーバーダウンを回避することができたのだ。
彼は上司に許可を取ることなく、とっさの判断で急遽サーバーを3倍に増設し、Twitterでの連絡手段を継続できるようにしていたのだ。したがって、Twitterだけはサーバーダウンすることなく生き残り、それによって多くの日本人が連絡を取り続けることができたわけだ。
3.11東日本大震災で誕生したLINE
今では日本国内でユーザー数7,300万人を超えているLINE。このLINEが誕生したきっかけは、東日本大震災だと言われている。TwitterやFacebookには存在していなかった機能で、「既読」というものを実装したチャットアプリだ。創業者は、「既読」という機能を実装したチャットアプリ「LINE」を立ち上げ、チャットを送った相手がチャット文章を読んでいるかどうかで安否確認がわかるようにした。そうして今日に至る。
今では、日本人にとって必要不可欠なLINEであるが、誕生したきっかけというのは、緊急時での必要性を感じたものであったわけである。
緊急時、チャットボット技術の活用方法を探る
このように緊急時に非常に役立ってきた歴史を持つSNSであるが、ここにチャットボット技術を取り入れることでどのように進化することできるのであろうか。日本は地震大国であるため、地震発生時にはこれまでと同様にSNSを活用することが望ましいと思われるが、当然、地震のような自然災害だけでなく、個々人でも様々な緊急性を帯びた事象があるだろう。
人命救助チャットボット「911bot」
出展:TechCrunch 詳細はコチラ
アメリカで開発されたFacebookメッセンジャーbotである「911bot」。これは緊急時での対応をサポートしてくれるbotだ。
交通事故などの画像などをFacebookメッセンジャーにチャットすると、911botが判断し、ユーザーに対してどのような対応・行動を取るべきかをサポートしてくれるものだ。さらに警察等へ自動で通報し、位置情報などを送ることで、素早い対応が可能となっている。さらに911botからの要請を受けた警察側は、ユーザーに対して有人チャットを行ないテキストベースや動画、画像などを送り、コミュニケーションを取ることで適切な対応を促すこともできる。
※911:アメリカでの緊急通報番号
緊急チャットボットとSNSを繋げる
上記の911botのように、緊急チャットボットは必要不可欠のように筆者は考えている。電話やメールだけでは心許なく、当たり前のように利用されているSNSに緊急チャットボットを取り入れるだけで、緊急性の高い事故や事件を防げるのではないだろうか。
・交通事故:事故が発生した際の対応案内
・体調不良:位置情報による緊急車両要請や近くの病院案内
・自然災害:応急処置等をサポートする救急
・家庭内DV:家庭内や虐待などの相談窓口
・事件性のある事象:音を立てられない状況での位置情報発信、精神不安解消
上記のような活用方法が考えられるが、全て1つにまとまっていることが望ましく、緊急時に汎用的に利用できるチャットボット開発を目指すべきである。
緊急チャットボットまとめ
日本では、東日本大震災で活躍した各SNSではあるが、これからも緊急時にはこのSNSを活用していくことになるであろう。そのSNSにチャットボット技術を用いることが増えてきた現在において、人間の生活が危険にさらされた時に、緊急用のチャットボットが大いに役立つことだろう。電話・メール・チャットと当たり前になっている連絡手段に、チャットボットという1つの技術を取り入れるだけで、生活が激変する。しかし、電話やメールなど、それぞれの緊急時のシーンによって使い分けをするだけでよく、緊急チャットボットが全てをカバーする必要がない。誰しもが想定できず、混乱しやすい緊急時において、連絡手段が多くあればそれだけで不安が解消されるはずだ。
当然イタズラが増えるかもしれないが、平和な証拠だとも言うことができる。オオカミ少年でも緊急事態になった時には、この緊急チャットボットを使わざるを得ない。
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