AIチャットボットとは?
そもそも、「チャットボット」とは?
「チャットボット(ChatBot)」とは、短文でリアルタイムに会話する「チャット(Chat)」とロボットを意味する「ボット(Bot)」を組み合わせた造語です。
つまり、チャットボットとは「チャット上で話しかけた内容に対して、自動で答えを返すプログラムのこと」を指します。
例えば、LINEの公式アカウントで何か発言するとすぐに自動で回答が返ってきますよね。または、銀行のホームページで右下に出てくる「いつでもお問い合わせください」のフォーム。あの裏側には、チャットボットのシステムが入っています。
AIチャットボットとは?
AIチャットボットとは、AI(Artificial Intelligence)を搭載したチャットボットのことを指します。
AIはそのものは「人工知能」と呼ばれるプログラムです。我々人間と同じように、自ら学習してデータを蓄積していき、そのデータに基づいた推測・判断ができるのが特徴です。
1950年代半ばに最初のAIが生まれて以来年々進化を続け、近年では音声認識や自動車の自動運転、交通機関の制御など、さまざまな形で利用されるようになりました。
では、なぜ「チャットボット」と「AIチャットボット」が分けられるかというと、チャットボットには大きく分けて2種類あるからです。
チャットボットには、AI型(人工知能型)とシナリオ型(人工無能型)がある
チャットボットには、大きく分けて①AI型(人工知能型)と、②シナリオ型(人工無能型)があります。
「チャットボット」と聞くと非常に先進的なもののようなイメージを抱きますが、全てがAI(人工知能)を用いて作られているわけではなく、作成者が定めたルールに合わせた回答をするようにプログラムされているもの(=シナリオ型)も多いのです。
①AI型(人工知能型)のチャットボット
こちらは、機械学習という仕組みを使うことで、チャットボット自身が自分で学習をして回答の精度を上げていくことができるチャットボットです。
「A」ならば「B」のようなシンプルな回答がなされるシナリオ型と異なり、複雑なルールのもとで運用がなされます。
②シナリオ型(人工無能型)のチャットボット
シナリオ型のチャットボットは、人間があらかじめ設定したルールに合わせて回答するチャットボットです。
基本的には「AならばB」「Cが含まれていたらD」のように、決まった内容を返します。そのため、「ルールベース型」と呼ばれることもあります。
そのため、シナリオ型のチャットボットはユーザーがよくする質問などを計測し、日々メンテナンス・チューニングを続ける必要があります。
この記事では、①のAIチャットボットに焦点を当ててお話します。
AIチャットボットができること・できないこと
「AI」と聞くと、ついなんでもできる未来のテクノロジーのように感じてしまいますが、AIにもできること・できないこと(あるいは、得意なこと・不得意なこと)があります。
AIに不向きなことをやってもらおうと思っても、思うような成果を出すことができません。
AIチャットボットができること
文章全体の意味・文脈を判断した回答
AIチャットボットは、会話の文脈を判断した回答をすることができます。これは、「AならばB」のように定められた回答しか返すことができないシナリオ型との大きな違いです。
「プレゼント用にしたい」という入力に対して「ギフトラッピングはこちらです」のように、一致しない言葉であっても求められる回答を返すことができます。これには、学習が必要となります。
言葉のゆらぎを解消した回答(自然言語処理)
「猫」「ねこ」「ネコ」は全て「ネコ」として判断、のように、カタカナや漢字、ひらがなの組み合わせなどの表記揺れにも対応することができます。
回答の精度を高め続ける
ユーザーデータをAIチャットボットに学習させることで、回答の精度を高め続けることができます。
AIチャットボットができないこと
情報がないものに対して回答することはできない
AIは、データとしてインプットされていないものを回答することはできません。AIが回答するのに必要なデータはこちら側で与えておく必要があります。
AI自身は回答の良し悪しを判断できない
AI自身が回答内容の軌道修正をすることはできない
AIチャットボットはデータを用いて学習を続けます。悪質なデータが蓄積されると、回答もこちら側の意図と異なる悪質なものに寄っていく可能性があります。これを防ぐためにも、定期的なチューニングが必要です。
AIチャットボットのメリット・デメリット
前述のできること・できないこととも一部被りますが、AIチャットボットには、それぞれメリット・デメリットがあります。
AIチャットボットのメリット・デメリット
メリット | デメリット |
・データの蓄積で徐々に会話の精度を高めることができる ・シナリオ型と比較して、複雑な質問にも答えられる |
・質の良いデータ収集、地道なメンテナンスが必要 ・回答が予測できない ・費用が高め |
AIチャットボットのメリット
AI型は、ユーザーがチャットボットを利用して蓄積したデータを学習することで徐々に会話の精度を高めることができます。
これによって、シナリオ型に比べて複雑な質問にも答えることができます。
AIチャットボットのデメリット
AI型は上記のような「データの学習プロセス」が必要です。
そのため、学習のために質の良いデータが膨大に必要となること、地道なメンテナンス・チューニングが必要であることが大きなネックとなります。
また、回答が予測できないこともデメリットと言えるでしょう。費用も比較的高めになりがちです。
AIチャットボットの費用相場
チャットボット導入にかかる費用
チャットボット導入には、大きく分けて初期費用と月額費用の2種類の費用が発生します。
初期費用にはチャットボット構築費用などが含まれます。API連携などが必要な場合はここに含まれることが多いです。月額費用は毎月システム利用料として支払います。
なお、それ以外にも個別カスタマイズ費用やシナリオ制作費用などがかかる場合があります。事前にかかる費用についてしっかりベンダーに確認しておきましょう。
AIチャットボットの費用
AIチャットボットはシナリオ型のチャットボットと比較して費用が高めになる傾向にあります。
あくまでも参考ではありますが、AIチャットボットは初期費用が20~100万円、月額費用が10~30万円程度になるようです。これは利用しているAIなどによって大きな幅があります。
なお、シナリオ型は初期費用10万円前後、月額費用は5~10万円程度が平均となるようです。
AIチャットボットの事例
ここで、実際にAIチャットボットが使用されている事例を紹介します。
ロート製薬(アルガード)
ロート製薬(アルガード)では、フリーワード式のAIチャットボットを設置しています。(画像はロート製薬ホームページよりキャプチャ)
質問のキーワードを読み取り、それに対してチャットボットがより深堀りした質問を投げかけ、その回答によって適切な回答を導く形です。
こちらは、「コンタクトしたままでも大丈夫ですか?」という主語がない曖昧な質問をしています。それに対して「使用しているコンタクトレンズの種類は何ですか?」という回答が返され、
ソフトコンタクトレンズと回答すると、想定通りの回答をもらうことができました。
今では非常になめらかな動きをするこのチャットボットも、最初はうまく回答ができなかったことが予想されます。学習・チューニングを続けた成果として今があるのではないでしょうか。
よろしければ体験してみてください:ロート製薬(アルガード)チャットボット
チャットボットはAI(人工知能)型を選ぶべき?
メンテナンスの手間はかかるものの、自分で学習してくれるAI型のチャットボット。シナリオ型より融通が効きそうな気もするし、AI型の方がいいのかな……
そう思う方もいらっしゃると思います。しかし、チャットボットを選ぶときに大切なのは「何のためにチャットボットを導入するのか」という目的です。
この目的によって、AI型とシナリオ型どちらを選ぶべきか、などが大きく変わってきます。
チャットボット導入目的例
- コストを削減したい
- 業務効率化をはかり、人件費を削減したい
- 機会損失をなくし、リードを獲得したい
- 顧客エンゲージメントを向上させたい
これらの目的と、自社の予算などを鑑みて判断をすることになります。
以下、一般論にはなりますが、AI型は目的それぞれに対して向き不向きがあります。
コストを削減したい
もし、FAQの代わりに導入してスタッフの対応コストを削減したい、というような目的であれば、FAQの内容を全て入れ込んだシナリオ型のチャットボットの方が向いていると言えます。FAQの内容を更新し続ければシナリオ型で十分対応できるからです。
一方、回答の精度をどんどん精度を高めていきたいという目的があるのでしたら、AI型も推奨できます。
業務効率化をはかり、人件費を削減したい
こちらも「コストを削減したい」と同様です。単純な質問回答であればシナリオ型のチャットボットがおすすめです。
中長期的に回答精度を高めていきたいのであればAI型も良いですが、前述の通りAI型にはメンテナンス・チューニングコストが別途かかってくるため、逆に人件費がかかってしまうことは認識しておく必要があります。
機会損失をなくし、リードを獲得したい
「電話担当がおらず、問い合わせ電話が取れなかった」……そのような機会損失をなくしたい場合であれば、入力事項もシンプルで定まっているので、シナリオ型のチャットボットで問題ないと思います。
チャットボットで顧客情報を入力してもらい、それがそのままSFAなどに転記されるようなプログラムを組めれば、マーケティングにとっても嬉しく、営業にとっても負担が大きく減ることでしょう。
顧客エンゲージメントを向上させたい
例えばLINE公式アカウントなどに顧客を誘導し、そこでエンゲージメントを向上させたいような場合であれば、AI型もシナリオ型もどちらもおすすめです。
一例ですが、もしキャラクターがいるようであれば「みんなで作る◯◯」のような企画で質の良い質問を集めることも可能ですし、シナリオ型でクイズなどのコンテンツを提供することも可能です。
いずれも、用途や目的によって使い分けることが必要となります。
まとめ – AIチャットボットを選ぶ際は目的を明確に
この記事では、AIチャットボットについてお話しました。
AIチャットボットはとても便利に見えるものですが、目的を明確にして導入・運用をしないと宝の持ち腐れになってしまいます。また、自社にとっては過剰な投資をしてしまうことにもなりかねません。
「なぜチャットボットを導入したいのか?」「チャットボットを通じて何を達成したいのか?」目的を明確にした上で、自社に合った機能や価格帯のサービスを選ぶことで、これらの失敗をなくすことができるでしょう。
実際にチャットボットを使っている事例を調べ、自社と似た事例をベンダーに相談してみて、可能なところを選ぶ方法もおすすめです。
hachidoriについて
当社hachidoriは、ルールベース+自然言語処理を搭載したチャットボットを運営する企業です。
低コストで高機能なチャットボットを作りたい、そんな企業にぴったりのツールを提供しています。
この記事を読んで、「チャットボット導入を検討しているが、AI型のチャットボットは自社にはオーバースペックかもしれない。」そのように思った方は、hachidori公式HPより、ぜひお気軽にお問い合わせください。