自治体がチャットボットを導入する効果とは?

自治体がチャットボットを導入する効果とは?

自治体にチャットボットを導入することで、住民からの問い合わせ業務を削減できたり、外国人住民への対応も可能になります。

この記事では、チャットボットの解説をはじめ、自治体で使用されるチャットボットの用途・自治体に導入する際のメリット・注意点・実際の活用事例について詳しく解説していきます。

目次

そもそもチャットボットとは

 

チャットボットとは、人間と会話をしているような受け答えをシステムで自動で行うコミュニケーションツールです。

ECビジネスにおいては、Webサイト上で人ではなくシステムで問い合わせ対応することで、顧客対応の効率化・顧客満足度向上の目的で導入が進んでいます。

LINE公式アカウントにユーザーが質問をすると自動で回答が送られたり、何かのサイトを見ていると右下に出てくる「吹き出しマーク」や「チャット画面」がありますが、それらの裏側にチャットボットのシステムが導入されています。

LINE公式アカウントやWebサイトにチャットボットを導入することで、ユーザーからの問い合わせ対応が自動化されますので、問い合わせの工数を削減することができます。

また、LINEチャットボットを活用し、1つのチャネルとすることで普段展開しているLPECサイトなどではリーチできないユーザーにも自社情報を発信できます。

Webサイトに導入しておきますと、FAQの中から解答を探す手間が省けるため、ユーザーの手間を省くことができます。

チャットボットについてさらに詳しく知りたい方は、以下のURLの記事をご覧ください。

チャットボットとは?AIとの違い・種類・選び方など、総まとめ

 自治体で使われるチャットボットの用途

 

自治体でチャットボットが使用される用途には、以下の3つの用途があります。

住民の問い合わせ対応

自治体におけるチャットボットの用途の1つとして挙げられるのは、「住民からの問い合わせ対応」です。

具体例を挙げますと、住所変更手続き・結婚・妊娠・出産手続き・ゴミ捨ての方法等、日々住人から寄せられる「よくある質問」をチャットボットで対応しているケースがあります。

コロナやワクチン関連の対応

その他にも、「新型コロナウイルスに関する情報提供」に活用している事例があります。

具体例を挙げますと、新型コロナウイルスワクチン接種・感染症対策・熱や咳などの症状がある場合の問い合わせ等、コロナウイルスに関する「よくある質問」にチャットボットで対応しています。

自治体の公式LINE

LINEを用いた問い合わせ」に活用している事例もあります。

具体例を挙げますと、災害情報や新型コロナウイルスに関する情報発信等、自治体の公式LINEアカウントと友だちになったユーザーに対して、プッシュ通知で情報発信を行う用途で活用されています。

 自治体がチャットボットを導入するメリット

自治体にチャットボットを導入して活用するメリットには、「24時間365日対応が可能」「住民が問い合わせを行いやすくなる」「外国語への対応も可能」「自治体の業務負担の軽減」などのメリットが挙げられます。

24時間365日対応が可能

チャットボットを導入しますと、平日や休日に関係なく24時間365日いつでもチャットボットに問い合わせをすることができます。

住民にとって「都合の良いタイミング」で問い合わせが可能になります。

住民が問い合わせを行いやすくなる

自治体の窓口は平日の17時に閉まってしまうため、住民も働きながら役所に相談する場合には、仕事を休むか・休憩時間に問い合わせる必要がありますが、忙しい社会人には負担が大きいといえるでしょう。

先程の内容と被る部分はありますが、24時間365日対応可能なチャットボットを導入しておくことで、住民の問い合わせがしやすいタイミングで問い合わせできるようになるため、住民の負担を軽減できることに繋がります。

外国語への対応も可能

在留外国人が多く移住している自治体では、外国人住民への対応に課題を感じているケースも少なくありません。

役所が扱う業務内容は煩雑ですが、多言語対応できる職員が確保できていないため、日本人と同様のサポート体制を作り切れていない状況にあります。

その場合でも、多言語対応のチャットボットを導入することで、スタッフ育成にかかる時間・コストを削減しながらも、増加している在日外国人の満足度も向上させることが可能です。

自治体の業務負担の軽減

チャットボットは同じような問い合わせ対応を減らすことができるため、職員のストレス軽減や業務効率化を促進し、電話対応での人手不足解消・人件費削減に貢献できます。

チャットボットの種類によっては、自動応答から有人対応へと切り替えることができますので、チャットボットを「一次対応」として設置することも可能です。

自治体がチャットボットを導入する際の費用コスト

自治体で利用が増加しているチャットボットは、実際に導入する際にはどの程度のコスト・費用が掛かるのでしょうか?

費用は求めるレベルによって価格が変わってきます。

運用目的な機能によって価格帯が異なる

チャットボットは機能によって価格帯が変わりますので、運用目的に合わせたチャットボットを導入するようにしましょう。

以下で詳しく解説していきます。

手ごろな価格のチャットボット

テンプレートを利用する・比較的簡単にチャットボットを構築できるものを選ぶと良いでしょう。

その他にも、各種機能追加を求めないなどの選択肢の幅を狭める必要があります。

月額1万前後のチャットボット

チャットボットの会話は選択式だけ、会話のシナリオ基準を自分で行いベンダーに頼らない、デザインを最低限に抑える、チャットボットで解決できないケースは有人対応に切り替える等、必要機能を抑える必要があります。

高額な価格帯のチャットボット

高度なAIチャットボットを使用する、会話のシナリオの準備をベンダーに依頼する、オリジナル機能を付ける、デザインにキャラクターを使用する、外部システムと連携させる等、求めるレベルが高くなりますと、初期費用や月額費用も高額になります。

自治体がチャットボットを導入する際の注意点

自治体でチャットボットを導入する際の注意点は以下の通りです。

運用目的を明確化する

チャットボットの導入目的をしっかりと明確にするようにしてください。

チャットボットを導入すること自体が目的になってしまいますと、期待した効果が得られない可能性があります。

住民の利便性向上のために、問い合わせ先にチャットボットを導入したのに、AIFAQに不足があると「一部の質問にしか回答ができない」「すぐに窓口に案内される」等の問題が発生します。

住民にとって情報が得られないだけでなく、結局窓口に問い合わせないといけないため、工数削減に繋がりません。

この場合では、導入したとしても全く意味のないものになります。

KPIの設計が大切

チャットボットを導入した後に「成果が出ているのか」を分かりやすくするために、KPIを設定するようにしましょう。

チャットボットのKPIの代表的な項目は「回答率」「正答率」「解決率」などです。

その他にも、自治体で導入する際には「問い合わせ対応の工数削減率」などを目標にすることで、チャットボットの効果でどの程度の工数削減に貢献できているかを明確にすることができます。

必要な機能を定義する

チャットボットの主な機能は以下の通りです。

・自動学習機能(AI型)

FAQ連携

・有人対応連携

・アンケート機能

・ログ機能、レポート機能 

目的に合わせて利用する機能

・外部システム連携

・多言語対応

・聞き返し機能(AI型)

・入力補完機能

・レコメンド機能

などがありますが、自治体の導入目的と照らし合わせて、必要となる機能を定義するようにしましょう。

やはり機能が多くなりますと、費用・コストが高くなりますので、目的に必要のない機能を付けてしまうと活かしきれないだけでなく、コストが高くなって経営にも影響が及びます。

設置場所が多くの人の目に触れることも重要

チャットボットを自治体でうまく活用する場合は、「分かりやすい場所」に設置する事です。

つまり、多くの人の目に触れる場所に設置すると効果的だといえるでしょう。

横浜市・川崎市・海老名市などでは、住民が最初に訪れる自治体のHPへチャットボットを設置しています。

まず、分かりやすい・目につきやすい場所に設置しておかないと利用して頂けません。

利便性が分かればそれ以降は使用して頂けるようになりますし、口コミが広がって多くの人に利用して頂けることに繋がります。

自治体のチャットボット導入事例

それぞれの自治体での導入事例をご紹介していきます。

 名古屋市

名古屋市の事例では、「名古屋市子ども・若者総合相談センター」のLINEアカウントでチャットボット内製ツールhachidori plusを導入された事例をご紹介します。

元々子ども・若者総合相談センターは、ご予約を頂いて対面でご相談をお受けするというスタイルだけで運営していました。

しかし、ご本人様からの相談が2割程度であり、他にご本人様から気軽に相談できる方法はないかを模索して、LINE相談窓口を導入しました。

ですが、LINE相談窓口に寄せられる全ての相談をさばくことが難しいと考えたため、「hachidori」のチャットボットを採用しました。

活用方法としては、主に「相談者の振り分け」と「チャット」で利用しています。

最初に年齢・性別・氏名・ご相談内容を質問して振り分けを行い、全ての質問をクリアした人には相談内容を確認し、相談員におつなぎする仕組みを採用しています。

そこで実際にチャットで相談を受けた上で、実際にお会いしてサポートした方が良さそうだなという方については対面でのご相談を案内する流れで対応しています。

電話やメールでの相談はご本人様ではなく、家族や支援機関の連絡が多かったですが、LINE経由だと9割がご本人様からのご相談になっており、今でも11015名ほどの方がチャットでご相談に来られます。

 事例の詳細はこちら

神戸市

神戸市で健診の問い合わせ・申込案内のためにチャットボットを導入した事例をご紹介します。

チャットボットを導入した目的ですが、自分の知りたい健診をスマホを使って、対話形式で気軽に確認できる点が市民サービスに繋がること、電話での問い合わせ件数を削減することの2点です。

今までは平均で1時間に問い合わせの電話34件も来ており、常に誰かが電話に対応していました。

チャットボットの中でも「hachidori」を選んだ理由は、初期費用と月額利用料が抑えられた点、他のベンダーと違い、月額の利用料が固定されていた点、他の自治体・大学での導入実績があった点の3つの理由があります。

 

チャットボットの活用方法ですが、今までは電話で健康審査・がん審査などの種類について確認し、内容に応じて該当窓口に繋いでいました。

チャットボット導入後は、年齢・健診内容・受診券の有無などいくつかの質問を画面上で行い、該当する健診に関する手続きや回答を行っています。

結果として、今まで1時間に34件来ていた電話の問い合わせが、今では23時間に1件程度に削減することができ、担当従業員の負担も軽減でき、新しい事業の提案などの業務に時間を使用できるようになりました。

事例の詳細はこちら 

 長崎市

  

長崎市はワクチン接種予約の対応のため、コールセンターのみでの予約対応の運用が難しいと判断したため、チャットボットを導入しました。

hachidori plus W」を導入した理由ですが、LINE経由とWeb経由どちらの予約にも対応している点、その中でも6月初旬の開始までにスピーディーな実装ができる点の2つの理由が決め手になりました。

長崎市ではコロナワクチンの集団接種会場の1回目・2回目の予約をする際には、コールセンターのオペレーターが電話で予約を代行する方法と住民がご自身でWebサイトで予約する方法があります。

hachidoriのチャットボットを導入して良かった点は、契約の締結からシステム構築・運用開始まで2週間弱という厳しいスケジュールにスピーディーに対応して頂けたこと、システムで予約を行うまでの操作が非常にシンプルで扱いやすかったことです。

シンプルな操作のおかげで、導入時のコールセンターへの教育コストも少なく済み、一人あたりの予約を完了するまでの時間が短くなったので、コールセンターの対応時間の削減にも繋がりました。

 事例の詳細はこちら

鹿児島県屋久島町

鹿児島県屋久島町では、コロナワクチンの対応のためにチャットボットを導入されました。

ワクチンの通達があった当時、担当者が1人しか居ない状況であったため、職員の少なさをカバーするためにワクチン予約をシステムで行えないかと考えたため、チャットボットを導入することを決定されました。

その際に、若者はLINEを活用すると予想できますが、高齢者はコールセンターが必要になると考えたため、両方を利用することを決めていました。

hachidori」のチャットボットに決めた理由ですが、予約情報を基幹システムで一括管理してコールセンターの運用とLINEからの予約を一括でお願いできる点、OCRで摂取券の読み込みが行える点の2点から決定しました。

 活用方法ですが、病院側と予約枠を調整して、決定したら予約システム側に設定・反映しています。

住民から予約を受け付けたら、システムから予約一覧を抽出したCSVデータを病院に送付していました。

キャンセル待ちを希望の方は、役所で一括で管理して当日摂取分のワクチンの廃棄が出ないようにしていました。

導入後の効果としては、「職員の業務量を削減できた」ことが挙げられます。

ワクチン接種スケジュールの管理・キャンセルの受付などの多岐に渡る業務を並行して行う中で、システム化したおかげで他の業務に取り組み時間も増やすことに繋がりました。

事例の詳細はこちら

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