病院やクリニックでは、患者の一人一人の質問や疑問に対して、窓口の担当者がしっかりと対応しないといけないため、従業員の長時間労働や病院の長い待ち時間が発生する原因となっています。
質問の回答や予約の対応などをチャットボットが代わりに行うことで、従業員の業務負担を軽減し、病院での長い待ち時間を少しでも短くすることができます。
この記事では、改めてチャットボットの説明をはじめ、クリニックにチャットボットを導入するメリット・チャットボットの活用用途・実際の活用事例などについて詳しく説明していきます。
チャットボットとは?
チャットボットとは、「会話(チャット)」と「ロボット(ボット)」を掛け合わせた言葉であり、人間相手ではなくロボットと会話ができる技術やサービスのことをいいます。
公式LINEアカウントにメッセージを送ると自動で返信が返ってきたり、Webサイトを見ていると「吹き出しマーク」と「チャット画面」が出てくることがあると思いますが、そのようなシステムの裏側にチャットボットが導入されています。
問い合わせ対応・マーケティング支援に使用する企業が多く、カスタマーセンターでは顧客から寄せられる質問に回答したり、社内ヘルプデスクでは他部署の従業員からの質問に回答するなどの対応を行えるため、担当者の業務負担が軽減されます。
チャットボットについてさらに詳しく知りたい方は、以下のURLの記事をご覧ください。
チャットボットとは?AIとの違い・種類・選び方など、総まとめHummingbird (humming-bird.info)
チャットボットをクリニックに導入するメリット
チャットボットをクリニックに導入するメリットは、「陥りがちな長時間労働対策」「患者の待ち時間が長くなる課題を解決」「24時間年中無休で受付出来る」の3つのメリットがあります。
以下で詳しく説明していきます。
陥りがちな長時間労働対策
多忙なクリニックが抱える問題として「長時間労働」が挙げられます。
健康を預かる公益性の高い業務を行っていますので、患者の些細な質問に対しておざなりな対応ができないため、受付スタッフは問い合わせ対応に多くの時間を割くことになってしまいます。
そのため、受付業務・会計業務・処方箋管理業務といった必須業務が度々中断されてしまい、その分業務が遅れてしまいます。
チャットボットを導入することで、問い合わせ対応の多くをチャットボットに任せることができますので、大幅な効率化を図ることができ、本来のコア業務に集中できるようになります。
また、時間外の対応も可能になりますので、窓口に寄せられる問い合わせの絶対数を減らすことができます。
患者の待ち時間が長くなる課題を解決
クリニックの多くが抱える「待ち時間が長くなる」という課題も解決することができます。
待ち時間が長くなる原因として、予約の仕組みが上手く機能していない、問診票の記入に時間がかかっているなどの問題が挙げられます。
チャットボットの種類によっては、待ち時間の解決のための予約機能をはじめ、事前問診票の送付機能・順番待ちカードの発行などの機能を利用できます。
「AI型チャットボット」を導入する場合には、予約受付や複雑な問診の多くを自動化することが可能です。
チャットボットを上手く活用すれば、待ち時間を大幅に削減することができる点もメリットといえるでしょう。
24時間年中無休で受付出来る
クリニックの営業時間後に次回の予約・診察内容についての問い合わせをする患者が多いため、スタッフの業務負担が増す原因となっています。
人の健康に関する業務であるため、対応せざるを得ない状況になっているため、スタッフの労働時間が増加してしまう要因の一つとなっています。
チャットボットを導入しておくことで、24時間365日いつでも患者の好きなタイミングで問い合わせができますし、全てチャットボットがスタッフの代わりに対応してくれます。
スタッフの負担が解消されるだけでなく、時間外でも予約・質問に対応して欲しいという患者のニーズを満たすこともできます。
チャットボットが時間外での対応が可能である点については、クリニックにとって大きなメリットといえるでしょう。
チャットボットの活用用途
チャットボットの活用用途は、「問い合わせ、予約対応の効率化」「予約率を向上させる」「問診票をチャット化」「相談窓口で新規顧客のハードルを下げる」の4つの用途があります。
問い合わせ、予約対応の効率化
電話の問い合わせを受け付けているクリニックは、電話が鳴ると窓口業務が滞ってしまい、患者の待ち時間が長くなってしまいます。
HP等にチャットボットを配置して診察案内や診療に関する質問の回答を自動化したり、予約案内や予約受付を任せることで、窓口の従業員の負担が軽減されることができます。
簡単な質問・定型的な質問はチャットボットに代行させて、難しい質問に対しては有人で対応することで、窓口の従業員の負担が軽減されるため、結果として患者の待ち時間も短くなります。
予約率を向上させる
チャットボットを使用すれば、来院の予約も自動で行えます。
来院予約の電話が少なくなることで、受付業務が中断されないため、業務の効率化を図ることができます。
24時間いつでもチャットボットが処理してくれるため、クリニックの営業時間外にしか問い合わせができない患者の予約が可能になりますので、患者にとっても非常にメリットがあります。
問診票をチャット化
患者は重症でない場合でも、身体の異変を感じることで、はっきりとした理由を知るために病院へ行きます。
来院してから問診票を記入する従来の方法よりも、チャットボットから事前に問診票を送付して頂くことで、患者の待ち時間を削減することができます。
相談窓口で新規顧客のハードルを下げる
身体に異変を感じた場合、何かの病気ではないかと考えるため、患者はインターネットで症状を調べることがあります。
しかし、知識量が少ない状況でそのような行為を行うと、深みにはまってしまい患者にとって大きな不安に繋がります。
この場合でも、医療従事者が監修したチャットボットを使用することで、相談窓口を設置することができます。
チャットボットが問診を行い、事前に登録したデータを元に来院の必要性を判断し、ユーザーに回答します。
上記の方法を行うことで、本当に来院が必要な患者であるのかを判断することができますので、病院・患者どちらにとってもメリットがあるといえます。
チャットボットの活用事例
チャットボットの活用事例を3つほどご紹介していきます。
電話対応件数の削減
チャットボットを導入して、電話対応件数を削減できた「神戸市」の事例をご紹介します。
神戸市では、チャットボット導入前には1時間に3~4件の問い合わせの電話が掛かってきており、常に誰かが対応している状況でした。
加えて、健診の内容により担当部署が分かれているため、違う部署で対応すべき問い合わせの内容が混ざってしまっている状況でした。
神戸市では、電話での問い合わせ件数の削減、市民サービスの向上のためにチャットボットの導入を決めました。
数あるベンダーの中から「hachidori」のチャットボットを選択した理由は以下の3つです。
①初期費用・月額費用が抑えられる。
②月額の料金が固定されている。
③自治体・大学への導入実績がある。
チャットボットの運用では、担当者に代わって「年齢」「健診内容」「受診券の有無」などの簡単な質問を行い、該当する健診に関する手続きやご案内を回答しています。
結果として、1時間に3~4件あった問い合わせの電話を2~3時間に1件まで削減することができ、副次的な結果として電話が混雑することで発生していたクレームを削減することができました。
LINEでの相談率が二割から七割に
LINEでの相談率が向上した「名古屋市」の事例をご紹介します。
名古屋市の子ども・若者総合相談センターでは、ご予約を頂いて対面でご相談をお受けするスタイルで運営していましたが、ご本人様からの依頼が2割しかなく、ご本人様からの問い合わせを増やすためにLINE相談窓口の導入を決めました。
LINEで相談を受けるのは初めての試みであり、全ての質問をさばくことが難しいと判断したため、hachidoriのチャットボットを採用しました。
LINEチャットボットでは、最初に年齢・性別・お名前・ご相談内容を質問して振り分けを行い、全ての質問をクリアした方は相談内容の確認をして、相談員におつなぎする仕組みで運用しています。
チャットで相談を受けたうえで、「実相談のサポート」の必要性がある方とは直接お会いしています。
元々は電話とメールで面談の日を決めていましたが、若い方にとって「電話」はハードルが高かったようです。
電話とメールで運用している時にはご本人様からのご相談は2割程度でしたが、LINE相談では9割がご本人様からの相談となっており、現在も1日10~15名の方がチャットでご相談に来られるようになりました。
CRMツールとしてLINEからの売上が2倍に
CRMツールとしてLINEから売上が2倍になった例として、「わかさ生活」の事例をご紹介します。
2017年から公式LINEアカウントの運用や定期的な情報発信を行っていましたが、アカウントの活用目的やお客様のメリットが不明確であるという課題がありました。
公式LINEアカウントを「お客様とのコミュニケーションを取ることができ、お客様としてはお悩みを解決できる」「お客様との縁を深められる」というツールにするため、チャットボットの導入を決めました。
数多くのベンダーの中で「hachidori」を選んだ理由ですが、1番の決め手となったのが「コストの低さ」です。
その他にも、修正対応を柔軟に聞き入れて頂ける点、会社がやりたいことの実現に向けて親身に相談に乗ってくれる点が非常に魅力的なベンダーです。
わかさ生活の公式LINEアカウントで行っている施策ですが、シナリオを用いてLINEのリッチメニューをWebコンテンツのように見せることで、毎月新しい情報・旬な情報をいち早くお伝えする手段に活用しています。
また、「自分にはどの商品が良いのだろう?」と健康上のお悩みを抱えた方からお問い合わせを頂きますので、それらに対応できるようにチャットボットの「よくある質問」の対応と有人オペレーターによる「LINE相談」を行っています。
LINEリッチメニューの活用により、リッチメニューのタップ数は1.3倍、リッチメニューからの売上は約2倍になりました。