チャットボットを導入しても、中々ユーザーの利用率を上げることができない場合、チャットボットにキャラクターを設定する方法で改善できる可能性があります。
現在、カスタマーサポート業務に導入されているチャットボットのうち、約52%の企業がキャラクターを設定しており、チャットボットの導入の際にキャラクターを設定することが一般的なマーケティング戦略の一つとなってきました。
この記事では、改めてチャットボットの説明をはじめ、チャットボットにキャラクターを設定するメリット・チャットボットにキャラクターを設定する方法・チャットボットにキャラクターを設定している事例などについて詳しく説明していきます。
チャットボットとは
チャットボットとは、「会話(チャット)」と「ロボット(ボット)」を掛け合わせた言葉であり、人間相手ではなくロボットと会話ができる技術やサービスのことをいいます。
公式LINEアカウントにメッセージを送ると自動で返信が返ってきたり、Webサイトを見ていると「吹き出しマーク」と「チャット画面」が出てくることがあると思いますが、そのようなシステムの裏側にチャットボットが導入されています。
問い合わせ対応・マーケティング支援に使用する企業が多く、カスタマーセンターでは顧客から寄せられる質問に回答したり、社内ヘルプデスクでは他部署の従業員からの質問に回答するなどの対応を行えるため、担当者の業務負担が軽減されます。
チャットボットについてさらに詳しく知りたい方は、以下のURLの記事をご覧ください。
チャットボットとは?AIとの違い・種類・選び方など、総まとめHummingbird (humming-bird.info)
チャットボットにキャラクターを設定するとは?
(引用:ローソンのチャットボットは日々10万人が利用 炎上を防ぐ舞台裏:日経クロストレンド (nikkei.com) )
チャットボットにキャラクターを設定することで、ユーザーの利用率を向上させることができます。
例として、ローソンのあきこちゃんの事例をご紹介します。
LINE公式アカウントに導入されたあきこちゃんは、問い合わせ対応以外の何気ない会話にも力を入れたため、問い合わせ・キャラクターとの会話の2つの目的を目当てに利用して頂けるユーザーが増加しました。
チャットボットのキャラクターとは、チャットボットにキャラクター性を持たせたものをいいます。
これにより、ユーザーに親しみやすさを感じさせることができ、より多くのユーザーの利用を促す効果を期待できます。
多くの企業がキャラクターを設定している
チャットボットにキャラクターを設定している企業は増加しており、2020年10月にカスタマーサポート用に使用されている国内のチャットボットを調査したところ、52%のチャットボットがキャラクターを採用していることが判明しました。
国内のチャットボットを使用している企業の2社中1社がキャラクターを採用していることになります。
このことから、魅力的なキャラクターを取り入れたチャットボットの運営に注目が集まっているといえるでしょう。
採用企業からは「愛着が持てる」「利用促進に繋がっている」という声が出てきており、キャラクターを設定することで多くのメリットを享受することができます。
チャットボットにキャラクターを設定するメリット
チャットボットにキャラクターを設定すれば、ユーザーに親近感を持っていただくことができますので、利用促進に繋がるだけでなく、会話が継続しやすくなる効果を期待できます。
さらにキャラクターのチャットボットに質問する形になりますので、ユーザーは「問題解決+キャラクターと楽しく会話すること」ができますので、UXの向上に繋がります。
その他にも、チャットボットのキャラクターはブランドイメージの定着にも効果があります。
つまり、「ブランディング」の効果を期待できるということです。
それぞれについて以下で詳しく説明していきます。
ユーザーに親近感を持ってもらえる
チャットボットは事前に登録したFAQの内容を返答することになりますので、ユーザーには機械的な印象を与えてしまうことがあります。
チャットボットにキャラクターを設定すれば、チャットボットの機械的な印象を和らげることに繋がり、ユーザーに親近感を感じてもらいやすくなります。
キャラクターに親近感を持ってもらうことで、チャットボットの利用率も向上します。
キャラクターとの会話を目的として、チャットボットを利用してくれるユーザーが増える可能性が高く、顧客満足度の向上にも期待できます。
会話が継続しやすくなる
キャラクターを設定しているチャットボットと会話すると、人と会話しているようにチャットする人が増えますので、会話が続きやすくなりユーザーの悩みやニーズを引き出しやすくなります。
キャラクターとの会話を通じてユーザーの本音を聞き出すことができれば、マーケティング戦略や自社製品・サービスの改善に活用できますので、顧客満足度が向上し、企業の利益獲得に繋がります。
社内問い合わせ対応に活用する場合には、社員の本音を引き出せますので、社員が分かりにくいと感じている社内規定や手続き方法を把握できるようになります。
UXの向上
UXとはユーザー体験のことであり、製品・サービスを使って得られる体験のことをいいます。
本来であれば、問い合わせを行う行為自体がユーザーにとって負担になります。
しかし、キャラクターを設定したチャットボットに問い合わせを行う際には、「問題解決+キャラクターとの楽しい会話」という良い体験ができたと感じてもらいやすくなります。
チャットボットで問題が解決すれば、再びチャットボットを利用してもらえるようになるだけでなく、企業のイメージ向上にも繋がります。
ブランディングに繋がる
チャットボットのキャラクターは、ブランドイメージの定着にも効果があるといえるでしょう。
キャラクターのモチーフ・表情・服装・言葉遣いなどでユーザーに与える印象が変わってきます。
キャラクターがきっかけで、自社製品・サービスのファンになってもらえる可能性も高くなりますので、ブランドイメージに合っているキャラクターを設定するようにしましょう。
チャットボットにキャラクターを設定する際の注意点
チャットボットにキャラクターを設定する際には、手間とコストが掛かることを知っておく必要があります。
キャラクターを設定する場合には、コンセプト決め・デザイン作りからスタートしないといけませんし、外注する際にはコストが掛かります。
また、キャラクターと企業・ブランドイメージが大きく異なっていると、使用しているユーザーは違和感を感じてしまい、離脱の原因に繋がってしまいます。
それぞれについて以下で詳しく説明していきます。
キャラクター設定自体にコストが掛かる
新しくキャラクターを作る場合、「コンセプト決め」「デザイン作り」とボットの発話をキャラクターに合わせるために変更するなどの手間が掛かります。
キャラクター作りに時間をかけてしまうと、他の業務を圧迫してしまいます。
また、デザインを外注するケースも多いと思いますが、その際にはコストが発生してしまいます。
恐らく、自社でキャラクターデザインまで作れるケースは少ないと考えられますので、デザインの段階でコストが掛かってくるものだと把握しておきましょう。
イメージとの不一致でマイナス効果になることも
キャラクターと企業・ブランドイメージがかけ離れている場合、ユーザーがチャットボットを使用した際に違和感を感じてしまい、離脱されてしまう可能性があります。
キャラクターの言葉遣いなどにも気を付ける必要があり、クセが強くなりますと文章が読みにくくなり、必要な情報を届けることができなくなります。
離脱を回避するためには、自社のターゲットであるユーザーに親近感を感じてもらえるキャラクターを設定しないといけません。
しかし、キャラクター作りに力を入れすぎて、回答精度が下がってしまっては意味がありませんので、その点には注意してください。
チャットボットにキャラクターを設定する方法
チャットボットにキャラクターを設定するためには、まずはキャラクターのコンセプトを決めないといけません。
企業・ブランドイメージに合ったビジュアルになっているか、話し方や対応方法等の細かい設定についても事前に決めておきましょう。
次にチャットボットで返答する内容をキャラクターに合った回答に変更し、適切な会話調になっているかを確認しておきましょう。
最終的にPDCAを回していき、改善を重ねることでチャットボットの効果を最大限に発揮でき、ユーザーの利用率も増加していきます。
以下で詳しく説明していきます。
コンセプト設計
まずは、キャラクターのコンセプトを決めていきます。
「可愛らしい」や「クール」というような見た目や、モチーフを何にするのかを明確にしておきましょう。
企業のブランディング効果を狙う場合には、キャラクターの性格・ストーリー等の細かい部分まで考えておく必要があります。
チャットボットの目的を定義する
チャットボットを導入する目的は、企業・ブランドごとに異なります。
どんな目的でチャットボットを使用したいかを明確した上でキャラクターを設定しますと、イメージに合うキャラクターを作りやすくなります。
例を挙げますと、LOHACOのマナミさんや日本郵便のぽすくまなどはユーザーサポートが導入目的になりますので、親しみやすさ・伝わりやすい言葉遣いに重点を置いたキャラクター設定を行っています。
プリマハムのソップリンについては、10~30代の若いファンを増やすことが目的となりますので、インパクトのあるキャラクター性が重視されます。
このように目的に合うキャラクターを設定すれば、ユーザーの心を掴むことができます。
コンセプトに合うデザイン設定
コンセプトが決まりましたら、実際にキャラクターをデザインしていきます。
自社でデザインが困難な場合には、デザイン会社に外注するのも一つの手段だといえるでしょう。
その際には、コストが掛かりますので注意してください。
社内で対応する場合には、社内公募でデザインを集めて、その中から採用する方法などが挙げられます。
チャットボットのテキストを適切な会話調に
キャラクターを設定するといっても、チャットボットであることには変わりはありませんので、FAQを用意する必要があります。
またチャットボットの発言は堅苦しい文章にせず、キャラクターが発する話し言葉で表現する必要があります。
企業のファンを増やしたいと考えている場合には、問い合わせ対応に加えて、挨拶・雑談などの内容も設定しておきましょう。
PDCAで改善していく
運用開始後は、実際に利用しているユーザーの意見を聞いていき、キャラクターデザインやFAQの文言などを調整していきます。
チャットボットで対応できる問い合わせの範囲を広げるためには、チャットボットに寄せられた中で、回答できなかった質問のFAQを追加していくことも重要です。
そういったPDCAを回して改善しながら運営していきましょう。
チャットボットにキャラクターを設定している事例
チャットボットにキャラクターを設定している事例として、ユーザーサポートを目的に展開しているLOHACOの事例、バイトへの応募件数アップを目的にしているタウンワークの事例、ファンを増やすことを目的にしているローソンの事例、ECサイトのお問い合わせ改善を目的としているマガシークの事例などをご紹介していきます。
LOHACO
(引用:LOHACO – ヘルプ・お問い合わせ (yahoo.co.jp) )
LOHACOは生活雑貨等を扱う個人向けの通販サイトになります。
売上増加に伴って問い合わせ件数が増えていき、「顧客が自己解決できるツールを用意できないか?」と悩んでいましたが、チャットボットを導入することに決めました。
スタートした時点ではブランドロゴのアイコンで運営されていましたが、ユーザーから中々利用してもらうことができず、マナミさんを採用することにしました。
キャラクターに変更してすぐにセッション数が増加し、今現在マナミさんだけで9人分の働きをこなすまでに利用者が増加しました。
マナミさんは時間外対応・問い合せ等のサポート業務が中心となり、ユーザーと会話する中でQ&A形式でユーザーの知りたい答えを提示しています。
キャラクター設定にもこだわりがあり、雑談を楽しみながら質問できるところが特徴といえます。
600種類の回答の中で、100種類を雑談に充てることで、親しみやすさを演出しています。
タウンワーク
(引用:街でおしごと!ジョブーブ:タウンワーク (townwork.net) )
地域密着型の求人メディアであるタウンワークでは、アルバイト応募件数を増加させるために、可愛いブタのキャラクターを使用したチャットボットをLINEと公式サイトに登録しました。
公式サイトでは、ブタのキャラクターと会話しながら自分に合う求人情報を厳選して探すことができます。
一人で探す場合と違って、可愛いキャラクターにサポートしてもらえるため、安心感を感じることができます。
LINE公式アカウントでは「バイトを探して」と送ると、条件に合うバイトを紹介してくれます。
絞り込みたい条件を指定していくと、さらに細かく絞り込むこともできます。
バイト探しを手軽にできるようにした工夫とキャラクターの親しみやすさの相乗効果で、アルバイトへの応募件数が79%アップしました。
ローソン
(引用:ローソンのチャットボットは日々10万人が利用 炎上を防ぐ舞台裏:日経クロストレンド (nikkei.com) )
ローソンのキャラクターとして2010年にTwitterアカウントに登場したあきこちゃん。
LINEのチャットボットに登場することで人気を集め、現在では1日10万人もの訪問者が訪れるまでに人気が出ています。
あきこちゃんの目的はユーザーとの接点を持ち、ファンを増やすことです。
継続して利用して頂くために、あきこちゃんと楽しめるオセロ・占い、しりとりなどの年齢層を問わず使用したくなるコンテンツを用意しています。
実際にしりとりを行うと、ローソンの商品を交えながらの返答が送られてきますので、キャラクターと楽しい時間を過ごすことができます。
回答のバリエーションも多く、一度使用しただけでは飽きない点もユーザーの心を掴んでいる理由といえるでしょう。。
毎日使用して楽しめるコンテンツを用意し、キャラクターを活かした情報提供を継続することで、ブロック率を抑えることができています。
マガシーク
(引用:お問合せ – MAGASEEK )
総合ファッション通販サイトであるマガシークは、自社キャラクターであるMr.マガシープをチャットボット化してユーザーの問い合わせ対応に活用しています。
今までお客様からの問い合わせをフォームから対応していましたが、返答までに時間がかかることが課題となっていました。
その課題解決のためにキャラクターを設定したチャットボットを導入し、ユーザーの質問に素早く回答できるようになりました。
問い合わせフォームを使用するほどでもない些細な疑問にも、キャラクターを設定したチャットボットであれば気軽に質問しやすくなりました。
その結果、ユーザーの利用件数が増加し、顧客満足度が向上しました。