チャットボットの導入効果を測るためのKPIとは?成功事例と一緒に

チャットボットの導入効果を測るためのKPIとは?成功事例と一緒に

チャットボットにKPIを設定することで、導入目的に対してどの程度の効果が出ているのかが検証しやすくなります。

この記事では、チャットボットの解説をはじめ、チャットボットで設定すべきKPIの種類・チャットボットでKPIを設定する際の注意点・チャットボット導入の成功事例などについて詳しく解説していきます。

目次

改めてチャットボットとは

  

チャットボットとは、「会話(チャット)」と「ロボット(ボット)」を掛け合わせた言葉であり、人間相手ではなくロボットと会話ができる技術やサービスのことをいいます。

公式LINEアカウントにメッセージを送ると自動で返信が返ってきたり、Webサイトを見ていると「吹き出しマーク」と「チャット画面」が出てくることがあると思いますが、そのようなシステムの裏側にチャットボットが導入されています。

チャットボットについてさらに詳しく知りたい方は、以下のURLの記事をご覧ください。

チャットボットとは?AIとの違い・種類・選び方など、総まとめ

 チャットボット導入時にはKPIの設定が必須

チャットボットを導入する理由には業務効率化・顧客満足度の向上・サービス品質改善・CVR改善などが挙げられますが、導入時にはKPIを設定しておくことが重要になります。

KPIの設定が重要な理由を以下で解説していきます。

導入が成功したのか、何を改善すべきかが明確になる

中間ゴールであるKPIを設定することで、目標達成のプロセスが明確になるだけでなく、最終ゴールに辿り着くための改善点も明確になります。

KPIを設定せずに導入してしまうと、効果が出ているのかが分かりにくくなるだけでなく、必要のない業務にリソースを費やしてしまい、必要な業務が後回しになってしまいます。

その結果、「非効率的な業務」となってしまいます。

定量的な数値のKPIを設定すれば、社員が何をすべきかを判断できるようになり、ゴールに達するまでの期間を短くすることができます。

担当者のモチベーション維持

KPIを設定することで担当者のモチベーション維持に繋がります。

社員がそれぞれ何をすべきかを理解でき、評価基準が統一されたりするためです。

KPIが設定されていないと「この業務が何故必要なのか?」「目標達成のために行うべき業務なのか?」と疑問を感じる社員が出てきてしまうため、モチベーションが下がりやすくなり、結果として業務効率が低下してしまいます。

評価基準が統一されていない場合には、「何」を達成すれば評価されるのかが分からないだけでなく、評価基準がブラックボックスの場合では「努力しても無駄だ」とやる気を失う社員が出てきてしまいます。

KPIを設定することで社員のやるべきことが明確になり、個人目標もはっきりと分かるようになりますので、モチベーションが向上し、結果として業務効率の改善に繋がります。

 チャットボットで設定すべきKPI

チャットボットに設定すべきKPIは「チャットボットの起動率」「チャットボットの回答数」「チャットボットの解答率」「ユーザーの解決率」「チャットボット以外からの問い合わせ数」などが挙げられます。

 チャットボットの起動率

チャットボットの起動数とは、言葉の通りユーザーがチャットボットを起動した回数のことです。

Webサイトに訪れたユーザーの訪問回数のうち、どの程度の割合でチャットボットが利用されているのかを判断できます。

極端に起動数が少ない場合には、Webサイトからチャットボットまでの導線が不適切である可能性が高いといえます。

チャットボットの設置場所や表示方法が適切であるのかをしっかりと検討しましょう。

チャットボットの回答数

チャットボットの回答数とは、ユーザーがチャットボットに送った質問に対して回答できた件数のことをいいます。

回答数が少ない場合には、チャットボットの意義そのものがなくなってしまっている可能性があります。

ユーザーからの質問に回答できる件数が増えていくように、しっかりと調整していく必要があります。

チャットボットの解答率

チャットボットの解答率とは、ユーザーの質問に対してチャットボットが解答できた割合のことです。

この項目ではユーザーの知りたいと感じている情報をどれだけ用意できているのかが分かります。

解答率が低い場合、ユーザーが尋ねたい質問の数が不十分であることが考えられます。

解答率を考える際には、メール・チャット・電話などのログを確認し、ユーザーから多く寄せられる質問に回答できるように質問内容を見直してください。

ユーザーの解決率

ユーザーの解決率とは、チャットボットの回答に満足したユーザーの割合のことです。

解決率が低い場合には、「回答の文章」の内容が分かりにくい状況であることが予測されます。

専門用語・難しい表現が多すぎますと、一般のお客様には理解できないケースが考えられます。

チャットボットを運用すると、少しずつチャットボットに記載する質問が増えていきますが、質問数が増えたとしても解答率を高い水準で維持するために、定期的に回答の文章の見直しを行ってください。

チャットボット以外からの問い合わせ数

チャットボット以外からの問い合せ数とは、電話・メール・チャットなどの有人窓口にユーザーから問い合わせがあった回数のことです。

問い合わせ数が多い理由としては、ユーザーが求める質問と回答がチャットボットに用意されていない場合や回答の文章が分かりにくいものになっていることが考えられます。

その他にも、Webサイトからチャットボットへの導線が不適切なケースも考えられます。

他のKPIも併せて確認を行い、問い合わせ数が多くなっている原因を明確にして対応する必要があります。

CVR(コンバージョン率)

チャットボットのKPICVRを設定することも効果的といえます。

CVRが低い状況が続きますと、多くのユーザーがWebサイトに訪問してくれているにも関わらず、売上の向上には繋がっていきません。

CVRを向上させていくためには、チャットボットのコンテンツの内容・特定の行動までの導線を改善していかないといけません。

チャットボットのKPIを設定する際の注意点

チャットボットのKPIを設定する際の注意点には以下の4点が挙げられます。

以下で詳しく解説していきます。

絶対数ではなく率を中心に見る

チャットボットの効果測定を行う上で、「絶対数」ではなく「率」を中心に見ていくことが重要になります。

もし以前よりも絶対数が多くなっていたとしても、率で見た際にそこまで大きく数値が向上していない場合にはチャットボットの効果で増加したとは判断できないといえるでしょう。

逆に絶対数が増えていないにも関わらず、率が向上している場合ですとチャットボットの効果が出ていると判断しても問題ないといえます。

母数が必要なためユーザーの目に触れやすい場所に設置する

チャットボットの効果測定を行うためには、ある程度の母数が必要になりますのでユーザーに使用して頂かないと効果測定を行えません。

そのために、起動率が低い場合にはチャットボットの「導入場所」を再度検討する必要があります。

例を挙げますと、公式LINEアカウントにチャットボットを導入したり、Webサイトに小窓を設置したり、問い合わせページに埋め込んだりすることで、ユーザーに目に触れやすくなり、結果として使用して頂ける可能性が高くなります。

KPIは分析改善を行なってはじめて効果がある

KPIは設定するだけではなく、「分析・改善」を行ってはじめて効果が期待できます。

現在KPIがどの程度達成できているのかを分析し、未達要因を仮説・検証して改善策を考えていきます。

そのためにも専任の運用担当者を決めていき、運用履歴の管理・トラフィックの確保・有人対応履歴の活用等、「PDCA」を回していくことが重要となります。

KPIが売上に繋がっているかの確認も

チャットボットで設定するKPIが結果として売上向上に繋がっているのかを確認するようにしてください。

折角、KPIを設定して従業員が達成するために努力したとしても、結果として売上に繋がらなければ、チャットボットに掛かったコストが全て無駄になってしまいます。

そのため、KPIを設定してチャットボットを運用した際には、必ず売上に繋がっているのかを確認し、場合によってはKPIの設定を見直していきましょう。

 チャットボット導入の成功事例

チャットボット導入の成功事例を3件ほどご紹介していきます。

株式会社ブッチ・ジャパン・インク

株式会社ブッチ・ジャパン・インクは、ペットフードの輸入販売を行っている企業になります。

売上の89割がオンラインでの通信販売であり、残り1割がペットショップでのオフラインの販売の売上になります。

当時から公式LINEアカウントを活用して、時々お知らせを配信していましたが、お知らせを配信したタイミングで購買が見られるため、そこから売上拡大が見込めるのではないかと判断したため、チャットボットの導入を決めました。

チャットボットベンチャーの中から「hachidori」のチャットボットを導入しましたが、hachidoriに決めた理由としては、管理画面・シナリオを使い方を見て「開発に詳しい専門家が居なくても簡単にできそう」と判断したからです。

チャットボットを導入した結果ですが、LINE経由の売上が2倍にアップしました。

お客様にLINEでメッセージを送信すると、そこから商品一覧・購入導線を載せたリッチメニューが立ち上がりますが、パラメータを確認するとそこからの購入があることが明確に分かります。

導入目的であった「この部分から売上を拡大できれば」という観点で、非常に効果があったといえます。

事例の詳細はこちら

名古屋市

名古屋市子ども・若者総合相談センターの事例をご紹介します。

名古屋市子ども・若者総合相談センターではご予約を頂いて対面でご相談をお受けするスタイルのみで運用していましたが、その方法ですとご本人様からの相談が2割程度だったため、ご本人様が気軽に相談できる手段を検討していき、LINE相談窓口の導入を決めました。

LINEで相談を受け付ける試みは初めてだったため、全てのご相談をさばくことは難しいと考えました。

そういった背景を踏まえて、hachidoriのチャットボットの導入を決めました。

活用事例としては主に相談者の振り分けとチャットで利用しています。

相談者の対象が名古屋市在住の1539歳と限定されていますので、最初に年齢・性別・氏名・ご相談内容を質問して振り分けを行います。

全ての質問をクリアした方には相談内容の確認を行い、相談員におつなぎする仕組みになっています。

さらに相談員がチャットで相談をお受けした上で、「実相談でお会いしてサポートした方が良さそうだな」と判断した方には直接お会いするように促しています。

導入後の結果としては、元々ご本人様からのご相談が2割程度でしたが、LINE相談の場合にはご本人様からの相談が9割ほどになっており、導入目的の観点から見ても成功したといえるでしょう。

自治体ではチャットボットを導入・活用する事例が増えてきています。

自治体でチャットボットを活用することについてさらに詳しく知りたい方は、以下のURLの記事をご覧ください。

自治体がチャットボットを導入する効果とは?

事例の詳細はこちら

神戸市

神戸市では時間と場所に関係なく、自分が知りたい健診(検診)についてスマホを使用して、対話形式で気軽に確認できる市民サービスの実現とお電話での問い合わせ件数の削減を目的にチャットボットを導入しました。

導入前は1時間に約34件の問い合わせの電話が来ており、常に誰かが電話での対応に追われていました。

加えて、健診の内容により担当者部署が分かれており、違う部署で対応すべき問い合わせも混ざっている状況にありました。

同じ時間に対応できる件数も限られているため、混み合う際にはお電話をお待たせしてしまうこともありました。

その中でhachidoriのチャットボットを導入しましたが、hachidori1を選んだ理由としては以下の3点が挙げられます。

他社よりも初期費用と月額利用料が抑えられたから。

他のベンダーはアクセス数に応じた課金が多い中で、hachidoriの月額料金が固定となっている料金体制に魅力を感じたから。

他の自治会・大学での導入実績があったから。 

健診には健康診断やがん検診など様々な種類がありますので、電話を受けた担当者がお尋ねになりたい健診の種類について確認を行い、内容に応じて当該窓口に繋いでいました。

チャットボットを導入してからは、担当者に代わって「年齢」「健診内容」「受診券の有無」などのいくつかの簡単な質問を行い、該当する健診に関する手続きのご案内や回答を行っています。

チャットボットを導入後、悩みの種になっていた電話対応の件数・対応時間を削減できました。

1時間に34件あった問い合わせの電話を23時間に1件程度にまで軽減することができました。

担当者も電話対応の時間を削減できたため、空いた時間で新しい事業の提案などのコア業務へ取り組むことができています。

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