サイロ化とは、企業内の部門やシステムが連携できていない状態を指しています。
この記事では、サイロ化についての解説をはじめ、サイロ化による問題点・サイロ化を解消する方法・チャットボットを活用した解消方法などについて詳しく解説していきます。
サイロ化とは
サイロ化とは、組織における部署・業務プロセス・システムなどが独立して存在し、全体の連携が図れない状態に陥っていることを意味します。
家畜の飼料などを種類別に保管している「サイロ」から起因し、ビジネス用語で使用されるようになりました。
企業におけるサイロ化には「組織のサイロ化」と「システムのサイロ化」の2つがあります。
組織のサイロ化とは
「組織のサイロ化」とは、部門や部署間の連携が取れていない状態のことを意味しています。
事例を挙げますと、開発部と営業部がサイロ化していますと、「開発部と営業部が同じような資料を作成している」というような無駄が発生してしまいます。
部門・部署間だけでなく、「店舗が孤立している状態」も組織のサイロ化といえます。
組織のサイロ化が起っていますと、ある店舗では売上を伸ばす施策を打ち出すことができていても、他の店舗では成功事例を参考にできないため、売上が伸びない状態に陥ってしまうケースもあります。
システムのサイロ化とは
「システムのサイロ化」とは、各部門がそれぞれ独自にシステムを構築・導入してしまったため、利用しているソフトウェア・ツールの連携が取れていない状態のことをいいます。
事例を挙げますと、各ソフトウェアのデータ形式が違う場合に、他の部門のソフトウェアではデータを閲覧できない可能性があります。
営業部・開発部・カスタマーサポートなどがそれぞれ独自にシステムを導入しており、各システムで連携できない場合には、参考にできるのは自部門で管理している顧客情報のみになってしまいます。
そういう状況に陥っていますと、営業・カスタマーサポートに日常的に顧客の声が寄せられていたとしても、開発部にその情報が共有されないため、品質やサービスの向上に繋がらず、最終的に顧客離れに繋がってしまうケースがあります。
サイロ化の原因は縦割りの組織
組織・システムのサイロ化が進んでしまう原因として考えられるのは「縦割りの組織構造」です。
組織の規模が大きくなるほど、組織が縦割り構造になってしまうケースが多くなります。
縦割り構造が進んでしまうと、部門内のコミュニケーションが密になるのに対して、企業全体で情報を共有する機会が少なくなってしまい、場合によっては部門間で「対立構造」に陥ってしまうケースも少なくありません。
他の部門との連携を考えなくなると、各部門が独自にシステムを構築してしまいますので、それぞれのシステムが連携できないだけでなく、データの形式が違ってくると情報をまとめられずにサイロ化してしまいます。
サイロ化による問題点
サイロ化になってしまった際に考えられる問題点は、「効率悪化によるコスト増」「サービス品質低下による顧客満足度の低下」「経営判断の鈍化」「AIやIoT化の妨げになる」などの問題点が挙げられます。
効率悪化によるコスト増
サイロ化されたデータベースでは、ほとんどの場合データが整理されていませんので、社員は特定のデータを得るのに無駄な時間が掛かってしまいます。
各サイロにサーバーやシステムセキュリティがそれぞれ設置されていることも多いと思いますが、その場合には「サーバー代」等の無駄なコストが発生してしまいます。
情報がサイロ化されていますと、作業コストが上がるだけでなく、社員の士気が落ちるとともに業績に悪影響を与えかねません。
企業の業績を落とさないためにも情報のサイロ化の問題は解決する必要があります。
サービス品質低下による顧客満足度の低下
サイロ化は、サービスの品質低下・顧客満足度の低下を招く恐れがあります。
部門を超えて情報が共有できている状態では、営業部・カスタマーサポートに集まった顧客の声を開発部がサービス改善・品質向上に活かすことができます。
しかし、サイロ化が進んでいる状態では情報共有ができていないため、自部門が集めた情報のみで仕事を進めてしまいます。
そのため、顧客のニーズとかけ離れた商品・サービスを開発してしまい、顧客離れに繋がってしまいます。
また、営業部とカスタマーサポートが連携していない場合では、同じ顧客に対して別々の内容を案内してしまい、トラブルに発展するケースもあります。
経営判断の鈍化
サイロ化している組織では、情報の収集に時間が掛かってしまうため、経営上の意思決定が遅れてしまい、ビジネスチャンスを逃してしまう可能性があります。
社内でデータが散在している状況ですと、どの部門がどんな情報を持っているかを調べないと先に進めることができなくなります。
その上、各部門が別々の形式でデータを保管している場合、統合してまとめる作業も必要になります。
経営上の判断が遅れてしまいますと、「新たな市場への参入が遅れる」「業績が良くない事業の対策が遅れて赤字が出てしまう」などの損失に繋がってしまいます。
AIやIoT化の妨げになる
先端技術であるAIやloTシステムを使用してデータの解析・処理を行えば、作業効率の改善・需要予測を行うことができます。
それを行うためには統合したデータを得る必要がありますが、サイロ化の状態ですとデータが様々なソフトウェアで取得されているために互換性がなかったり、一つのフォーマットにまとめることができないなどの問題が発生してしまいます。
情報がサイロ化されていますと、ビッグデータを処理するAIを使用できなくなります。
サイロ化を解消する方法
サイロ化を解消する方法には、「統合システムの導入」「共通ビジョンの明確化」「部署間コミュニケーションの活性化」などの3つの方法があります。
以下で詳しく解説していきます。
統合システムの導入
社内にあるデータを1ヵ所にまとめることでサイロ化を解消できます。
このような企業の情報・技術・経験を1ヵ所にまとめて検索しやすくしたデータベースを「ナレッジベース」といいます。
EPRのように販売管理・勤怠管理をはじめとした基幹業務に関する機能を複数の部門で利用できる統合型システムであれば、マスタの一元管理が可能になります。
各部門のシステムが保持しているマスタを一元化することで、情報の整合性を担保でき、変更が発生した場合の作業負担の軽減にも繋がります。
全社共通で使用しても不便なく使用でき、他の部門のデータにもすぐにアクセスできるので、サイロ化を防ぐことができます。
ナレッジベースについてさらに詳しく知りたい方は、以下のURLの記事をご覧ください。
共通ビジョンの明確化
企業として何を目指しているのか等、「目標」や「ビジョン」を社内で共有することが重要となります。
「サイロ化」は組織内で部分最適を進めたことによって発生する現象です。
表面的なサイロ化を解消しても、いずれ部分最適が起ってサイロ化に繋がってしまいます。
そういった事態を防ぐためにも、企業の目標に向けて全体最適を行うことが重要であることを全ての社員が認識しないといけません。
そのためには「目標の共有」が有効といえます。
部署間コミュニケーションの活性化
全体最適を目指すために関連する部門同士がお互いの業務を理解して、必要に応じてサポートし合える体制を作っていくことが重要といえます。
そのためには部署間のコミュニケーションを活性化する必要があります。
部門間で交流できる機会を設けたり、部門を超えてコミュニケーションを図ることのできるツールを導入したり、部門間の風通しを良くすることがスムーズな業務の進行に影響していきます。
チャットボットを活用したサイロ化の解消方法も
情報を一元管理して有効活用する際には「チャットボット」を活用する方法があります。
チャットボットとは、「会話(チャット)」と「ロボット(ボット)」を掛け合わせた言葉であり、人間相手ではなくロボットと会話ができる技術やサービスのことをいいます。
LINE公式アカウントにメッセージを送ると自動で返信が返ってきたり、サイトの右下に出てくる「吹き出しマーク」や「チャット画面」などのシステムの裏側にチャットボットが導入されています。
チャットボットはユーザーがチャット上で質問すると、ボットがその質問の回答を提示してくれます。
社員がある情報を探している際に、チャットボットに質問をすると当該の情報を提示してくれるため、目当ての情報にすぐに辿り着くことができ、業務効率化を図ることができます。
従来のチャットボットではFAQ作成に時間が掛かってしまいますが、チャットボットの種類によっては既存の資料をPDF化して登録しておくことで、AI機能によりボットが資料の中から回答を探して提示することができます。
またチャットボットの種類によっては「ユーザーラニング機能」を搭載しているケースがあり、どの担当者に聞けばいいのかわからない疑問についても、チャットボットの仲介で情報を持っている社員を見つけることができます。
チャットボットについてさらに詳しく知りたい方は、以下のURLの記事をご覧ください。