人材系チャットボットが果たすべき使命

人材系チャットボット

人材系チャットボットは求職者にとって使命を果たしているのか


チャットボットが普及し始めており、現在、様々な業界で導入がなされている。
使い方も様々で、ヤマト運輸のように配達情報を手軽に確認できたり、JR東日本では、運行情報のみならずコインロッカーの空き状況確認も可能だ。航空券やバス検索、企業ホームページのFAQ、雑談トークのみのもの、その企業のユーザーに合わせて色々な用途がある。
そういった様々な利用用途がある中で、人材企業によるチャットボットも当然存在する。今回は求職者にとって、どのようなチャットボットが最適なのか、企業側の視点ではなく、ユーザー目線で考察していきたいと思う。

目次

  • 人材系チャットボットの役割
  • 人材系チャットボット構築で重要なポイント
  • 人材系チャットボットの拡張性を探る
  • ユーザーにとって身近なチャットボットの事例
  • まとめ
  • 人材系チャットボットの役割

    人材企業でチャットボットを導入している企業は多い。
    しかし、求職者にとって本当に使いやすく、求職者自身の悩みや課題を解決できるツールになっているだろうか。

    求職者の状況を確認しておこう(想像してみる)

    大きく分けるとこの2つの分類になる。

    ●無職の求職者
    ●現職中の求職者

    無職は、主婦や学生も含まれる。そして、当然現職中の求職者もいるため、転職希望ということだ。
    筆者が想像するに、まず主婦や学生ではない全くの無職の求職者は、チャットボットツールにだけ頼ることはない。人材企業への登録、面談、ハローワークなど日々多くのツールを使用するので、チャットボットはその中の1つにとどまる。
    主婦や学生は、本業が家事や学業であるため、空いた時間を有効活用するタイプに属する。
    そして転職希望者も同じく、現職中のため、時間を有効活用したいと考えるはずだ。

    求職者の空いた時間「すきま時間」を有効活用

    このように想像すると、人材系チャットボットは求職者の「すきま時間」に訴求するツールである必要がわかる。もちろん、全くの無職の求職者も朝や夜、移動中など、この「すきま時間」を有効にするためにチャットボットを使うことが想像できる。

    この「すきま時間」に訴求するチャットボットというのは、非常に簡単な仕様でなければならなそうだ。通常の求人サイトの検索のように、様々な検索条件を引っ掛けて行なうものではなく、スマートフォンで、1タップで行えるような手軽さが要求されるであろう。そうでなければ、求人サイトと何ら変わらなくなるからだ。

    人材系チャットボットの企業側の視点(メリット)も確認

    手軽さが要求されると同時に、チャットボットという自動応答はもう1つのメリットを生む。
    それは、24時間365日稼働する点で、求職者をアサインする面が広がることだ。

    人材企業には営業時間があるため、早朝や夜遅くに人材コーディネーターは対応することができない。もちろん土日祝日もそうだ。(一部の企業では休日出勤を余儀なくされているところもあるようだが。)
    しかし、求職者がチャットボットを利用することで、リアルタイムに情報を人材企業に反映することができ、そのままチャットボットが自動受付する形になるか、あるいは、従来のメールのように後日コーディネーターが人力で対応するかで、差が大きく変わるであろう。

    当然、チャットボットの自動受付であれば、求職者にとってはすぐに受付完了となることで安心でき、後追いという形にはなるがコーディネーターにとっては、属人的な能力によって追うべき数字が左右されることがなくなる。

    このように人材系チャットボットの役割というのは、求職者とコーディネーター双方に良いメリットを生むことが想像できる。しかし、求職者目線という意味ではまだまだ追求できていないのが現状である。

    人材系チャットボット構築で重要なポイント

    前述での人材系チャットボット役割を踏まえて、人材系チャットボット構築において重要なポイントを押さえておこう。

    求職者の単純な疑問を解消すること

    まず、求職者の「すきま時間」で確認できる単純なFAQは必ず実装しておくことだ。特に人材派遣という働き方を希望する求職者は、派遣法に関しては無知だ。(中には人材企業の担当者より詳しい人もいるが。)
    日雇い派遣、付随業務(ふずいぎょうむ)、觝触日(ていしょくび)などの派遣法の知識がないことで、人材企業とトラブルになるケースも少なくない。基本的な派遣法FAQは当然実装した方が良いだろう。
    また、すでに就業中の派遣社員からは、年金や保険などの確認電話がひっきりなしにかかってくる。これらの情報もチャットボットに実装する必要がある。

    今回は人材派遣が特にわかりやすいため、例として挙げたが、このように求職者や、さらには在職者からの単純かつ簡単な質問に対応できるようにしておくことが重要である。

    求職者が使いやすい仕様であること

    そして何度も述べているが、使いやすい仕様にとことんこだわることだ。
    チャットボットは「いつでもどこでも」に訴求する点が魅力的だ。人材企業独自のアプリケーションに実装するも良いが、特に国内ユーザー7,000万人(2017年時点)のLINEとチャットボットを接続させることが、求職者にとってはより使いやすいであろう。
    日本国民の2/3が利用しているLINEで、企業がチャットボットを導入する動きが増えてきており、様々な背景の求職者がいる中でこのLINEを活用したチャットボットは必要不可欠と言える。
    また、LINEチャットボットでは、様々な機能を持っており、様々な構築方法が模索できるであろう。

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    人材企業はチャットボットで生産性向上を目指すべき

    人材企業の特徴としては「労働集約型」な現場であることだ。
    特に営業マンが多く在籍していればいるほど、売上に直結するというロジックが基本とされている。
    労働人口減少している中で、人材企業では新卒など多くの雇用を生み出しているという点では、大変評価できる。
    しかし一方で、人材をたくさん抱えていることで、1人あたりの労働生産性が下がり、社内評価としては、一握りの人材が高評価を受け、その他の多くの人材が低評価になり、離職へと繋がっているのが現状である。人材業界は離職率も非常に高く、このことが原因だと筆者は考える。

    採用する人数を減らすことを勧めているわけではない。「労働集約型」をロジックとするのであれば、低評価とされている人材の労働生産性を上げるべきだ。企業にとっては、離職となった場合、新しい人材を採用しなければならず、本来の業務がそれに伴う教育研修などに時間を割かれるため、生産性がさらに悪くなるという悪循環が生まれてしまう。

    その生産性を上げるためにチャットボットは活用されるべきである。
    人材企業の営業時間外でも、チャットボットは稼働するため、求職者情報を24時間365日、常にチャットボットで集約し、集約した情報をコーディネーターがまとめ、営業マンがアサイン・クロージングする。
    チャットボット導入で面が広がることにより、このアサイン数が増加し(母数増加)、クロージングするシーンを増やすことができるのではないか。従来のKPIも大きく変化することが期待され、属人的な能力の偏重による生産性から、安定的な生産性へと変化することが期待できる。

    人材系チャットボットの拡張性を探る

    人材系チャットボットに期待することは、簡単に求人情報を検索することができる点であろう。しかし、それでは求人サイトと何ら変わらない。
    先に述べたように単純な疑問を解消してくれるようなFAQを実装する必要もあり、検索においても検索する階層を少なくすることで、より手軽さに訴求したりと、考えるべきことはたんさんある。
    さらなる拡張性としては、時期的なキャンペーン情報を配信(LINEの場合はプッシュ通知など)したり、コールセンターなど大量に人材を必要とする求人には特集を組んで、求職者の就業が決まった際には、特典を設けたりと、プラスαの情報をチャットボットでプロモーションすることも可能だ。
    そのプロモーションをする上で、日常的にチャットボットで求職者が発言するコメントを集計し、マーケティングへと繋げていくことが重要だ。
    電話やメールと異なり、チャットボットは自動応答であるため、相手が人間ではない。チャットボットツールを利用することは、普段、電話やメールでは集計できない貴重なコメント(情報)を集計できるということだ。
    この生の情報をマーケティング、そしてプロモーションへと繋げ、さらなる拡張性を探っていくことができるだろう。

    ユーザーにとって身近なチャットボットの事例

    特に重要なことは、「いつでもどこでも」に訴求し、求職者にとって「身近な存在」であることにこだわること。
    現在の主要なコミュニケーションツールである電話やメールは、人材企業のコーディネーターや営業と直接コミュニケーションを取る形になるため、心理的に身構えする傾向になるだろう。
    しかし、チャットボットは人工知能や、人工無脳ロボットが自動応答するため、求職者は心理的に身構える必要が全くない。というより、自然体で扱うことができるツールだ。
    その特性を活かして、「身近な存在」になるべく、チャットボットを構築する必要がある。求職者がどのシーンで利用するのか。起床後や就寝前、昼食中かカフェやたばこの一服中なのか、電車の中なのか、仕事中なのか。様々なシーンが想像できるが、このように求職者が利用するシーンを想定して構築することが重要であり、自ずとシンプルでわかりやすいチャットボット構築が必要になるとわかってくるであろう。

    人材系チャットボットではないが、シンプルで使いやすいチャットボットを下記に記載する。

    ヤマト運輸

    ヤマト運輸ではLINEチャットボットを利用し、配達に関わる情報をすぐに確認することができる。例えば、再配達依頼のボタンをタップすると、不在票に記載してある番号入力を求められ、その番号を入力することで、再配達依頼の受付が完了するという手軽さだ。

    ヤマト運輸チャットボット

    JR東日本

    JR東日本でも、同じくLINEチャットボットを利用し、普段利用している路線の運行情報がすぐにわかる。自分の利用している路線を登録するだけで完了。あとは、運行情報ボタンをタップすれば、いつでも自分が登録した路線情報を簡単に入手することができる優れものだ。

    JR東日本チャットボット

     
    どちらも1タップで情報確認ができるチャットボットだ。
    上記2つのチャットボットは、ユーザーにとって自然体で扱うことができるツールであり、結果として非常に身近な存在でもあることはおわかりいただけたであろう。1タップにこだわる必要はないが、このようにユーザーにとってわかりやすく、操作しやすいチャットボット構築にこだわる必要がある。

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    まとめ

    人材系チャットボットは数多く存在するが、筆者はまだまだ求職者目線で構築できていないと考えている。求人サイトや会員登録画面に遷移させるだけのチャットボットが非常に多いと感じる。チャットボットは真新しい分野であるから、最初は面白おかしく利用するが、そのうち飽きられてしまうであろう。話題だけのチャットボットでは全く意味がない。
    求職者は、仕事に就くことをゴールとしている。そのゴールを目指してフルサポートしてくれるようなチャットボットでなければならず、さらに、派遣社員にとっては就業中でもフルサポートしてくれるようなチャットボットでなければならない。そんな時間を貴重とする求職者にとって、手軽で質の高いチャットボット構築が今後、必要不可欠であると言えるだろう。

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