コロナ禍を経て、EC市場は急激に拡大しています。
その中でも最近注目されているのが手軽にショップを開設できる「BASE」や「STORES」といったECプラットフォームです。
双方とも「初心者でもかんたんに開設できる」と宣伝しているので、どちらを利用したらよいか迷う方も多いでしょう。
この記事ではBASEとSTORESについて、手数料や機能などを徹底比較します。どちらのサービスでショップ開設するのが向いているのか、ぜひ参考にしてください。
初めてのネットショップ開設はBASEとSTORESがおすすめ
ネットショップを開設したいと思っても、最初はハードルが高く感じられるものです。
特にネットデザインの知識がなかったり、PCが苦手という場合は尚更です。
しかしネットショップに必要な機能を組み合わせるだけのプラットフォームサービスであるBASEやSTORESなら初心者でも簡単に本格的なショップを開設することができるのです。
初めてネットショップ開設におすすめのBASEとSTORESですが、ではどのようなサービスなのかそれぞれ見ていきましょう。
BASEとは
「BASE」とは、2012年11月にリリースされた、簡単にネットでお店を開くことができるカート型ネットショップ開設サービスです。
特徴は無料でかんたん、ショップを開設したその日から販売できることです。
リリースと同年に設立したBASE株式会社が現在も事業を拡大しながら運営しています。
2013年にはiOS版アプリ、2015年にはAndroid版のアプリがリリースされています。
STORESとは
「STORES」とは、2012年8月にSTORES.jpがリリースした「最短2分で、驚くほど簡単にオンラインストアがつくれる」ネットショップ作成プラットフォームです。
STORES.jpは2018年に決済サービス「Coiney」のコイニ―株式会社と経営統合したヘイ株式会社により運営されています。
2020年1月より「STORES.jp」と「Coiney」が「STORES」ブランドに統一されました。
特徴は、初めての人もすぐ、簡単に自分だけの個性的なネットショップを開設できることです。
STORESには無料のフリープランと、売上が多いショップ向けの有料スタンダードプランがあります。
BASEとSTORESの共通点
BASEとSTORESは、上記で紹介したとおり大体同じ時期にリリースされています。
意外に感じますが、両サービスともすでに10年近くの歴史をもつ実績のあるサービスであるという共通点があります。
両サービスの共通点は、ネットショップに必要な基本的なデザインや機能がほとんど無料で揃えることができ、それらを
自在にカスタマイズすることにより誰でも個性的なネットショップを作ることができることです。
こうした共通点をみると、どちらも初心者にも使いやすく、また信頼できるサービスであることが分かります。
BASEとSTORESの比較
では、ここからはBASEとSTORESについて詳しく比較していきます。
BASEとSTORESのシェア・ユーザー数
最初はシェア数やユーザー数について比較していきます。
BASEのショップ開設数
BASEは2021年10月にネットショップ累計開設数が160万件を突破したと発表しています。
またショッピングアプリ「BASE」は800万ユーザーが利用しています。
STORESのショップ開設数
STORESの公式ウェブサイトでは、毎月1万以上のショップがSTORESから開設されていると掲載されています。
STORESでは「BASE」のようなショッピングアプリはありません。
BASEとSTORESのデザインの比較
次はネットショップ作成を考えるときに気になるデザイン機能について比較します。
BASEのデザイン機能
BASEでは「ショップテーマ」が用意されています。シンプルやクール、シックやポップといったイメージからテーマを選ぶことができます。
さらに多くの「デザインパーツ」を選んで組み合わせていくことで、好きなデザインのショップを作成することができます。
そのほかに「ページ追加App」から足りないページを追加できるほか、有料にはなりますが「BASEデザインマーケット」よりデザイナーが制作したワンランク上のデザインを利用することも可能です。
STORESのデザイン機能
STORESには48種類の無料デザインテンプレートが用意されています。
そのほかにも背景を選択して利用したり、「パーツエディタ―」によるバナー・ランキング・告知ボード・シール・動画埋め込みなどのパーツ配置、編集が可能となっています。
オリジナルのストアロゴを作成できる機能もあります。
BASEとSTORESのドメインの違い
次はネットショップの個性のひとつでもある「ドメイン」について比較してみましょう。
BASE
BASEでは最初に10個のドメイン名から好きなものを選択することが可能です。
BASEの名前のついた「base.shop」「base.ec」のほか、扱う商品内容により「handcrafted.jp」「fashionstore.jp」「kawaiishop.jp」、販売形態を示す「supersale.jp」「official.ec」といったドメインも使用できます。
このほか、拡張機能「独自ドメインApp」を利用することで10個のドメイン以外の任意のURLへ変更することも可能です。
STORES
STORESでは、無料のフリープランの場合、ドメインはすべて「stores.jp」となります。
有料のスタンダードプランでは独自ドメインの設定が可能です。
なお、スタンダードプランでの独自ドメイン機能は2021年5月にアップデートされ、決済ページや会員登録ページなどそれまで独自ドメインが適用されなかったページも含めたすべてのページに独自ドメインが適用可能となりました。
BASEとSTORESのSSL対応の比較
次はネットショップに欠かせないセキュリティ対策、ページの通信が暗号化される「SSL対応」について比較していきます。
BASEのSSL対応
BASEはすべてのショップのすべてのページが自動的にSSL対応となります。
独自ドメインについてもサーバ証明書を無料で取得し、BASEで更新管理を行っています。
STORESのSSL対応
STORES はすべてのショップについて、すべてのページがSSL対応となっています。
独自ドメインのショップについてもすべてSSL対応です。
BASEとSTORESの機能の比較
次にネットショップの作成しやすさに直結する機能面について比較していきます。
BASEのおすすめApps
BASEでは便利な拡張機能「Apps」を使ってショップページをカスタマイズすることができます。
目的別に多数あるAppsから、ぜひインストールしておきたい人気のAppsを挙げてみましょう。
- SEO設定App/検索エンジン対策として検索キーワード、説明文を設定できる
- 送料詳細設定App/商品ごと、地域ごとに合わせた配送手段や送料を設定。「〇円以上送料無料」という設定も可能。
- カテゴリ管理App/商品カテゴリを最大3階層まで設定可能。
- Blog App/商品の魅力を伝えるBlogが簡単に作成。固定記事機能でトップにお知らせとして公開も可能。
- ラベルApp/商品に注目させるラベルを追加できる。「NEW」「SALE」「一押し商品」など選べるラベルは全240種類。メッセージApp/お客様とメッセージ窓で簡単にやりとりできる。
BASEでのみ利用することができる機能
BASEにはいろいろ拡張機能がありますが、商品を準備、作成することができるAppsがあります。
オリジナルTシャツやスマホケース、アクセサリーやグッズなどを作成して販売できます。
この機能により、元々売るものがない場合でもショップ開設が可能になります。
STORESのおすすめアドオン
STORESでは「アドオン」を追加することで機能を拡張できます。STORESでおすすめのアドオンを挙げてみましょう。
- クーポン機能/割引、値引きや送料無料などのクーポンを発行。有効期限や使用条件を細かく設定可能。
- レビュー機能/購入したお客様へメールでレビューを依頼できる。書いてもらったレビューはアイテムページに反映。
- まとめ販売機能/「まとめ割」「セット割」の割引設定ができる。
- 定期販売機能/毎週・毎月・3ヶ月ごとといった定期販売ができる。
- 英語対応機能/ショップ内の表記、自動送信メールを英語に切り替える機能。
STORESでのみ利用することができる機能
STORESには「配送先別指定(ギフトフォーム)」機能があります。
購入された商品の発送先を、お客様の登録住所ではない別の住所に指定できるので、ギフト系のショップには大変便利です。
BASEとSTORESの初期費用・月額費用
このあとは費用について比較していきます。まずは初期費用・月額費用についてみていきましょう。
BASEの初期費用・月額費用
BASEではショップ開設にあたっての初期費用や月額費用はかかりません。無料です。
STORESの初期費用・月額費用
STORESでは、初期費用はありません。
月額費用は「フリープラン」は無料、「スタンダードプラン」は2,178円/月(税込)です。
スタンダードプランの月額費用は、クレジットカード払いでは初月無料となるほか、「まとめ払い」による割引もあります。
割引内容は6ヶ月払いでは1,960円/月(10%OFF)、12ヶ月払いで1,742円/月(20%OFF)となっています。
BASEとSTORESの決済手数料
次に決済手数料について比較します。
- BASE【かんたん決済手数料】 3.6%+40円(1回の注文の総合計(送料含む)に対して)
【サービス利用料】 3%(同上) 合計6.6%+40円 - STORES 【決済手数料】 フリープラン5%、スタンダードプラン3.6%(1オーダーの支払金額(送料を含む)に対して)
その他サービス利用料などはありません。
BASEの決済方法
BASEの決済方法は次のとおりです。
コンビニ(Pay-easy)、銀行振込、クレジットカード、後払い、キャリア決済、PayPal(ペイパル)、Amazon Pay
STORESの決済方法
STORESの決済方法は次のとおりです。
コンビニ決済、銀行振込、クレジットカード、翌月後払い、キャリア決済、PayPal(ペイパル)、楽天ペイ
コンビニ決済、キャリア決済は別途支払い手数料220円(購入者負担)が発生します。
BASEとSTORESの振込手数料
次は各サービスからショップ指定口座への振込手数料を比較します。
- BASE 【振込手数料】一律250円 【事務手数料】振込額2万円未満:500円、2万円以上:無料
- STORES 【振込手数料】 275円 【事務手数料】1万円未満の振込希望の場合:275円
BASEとSTORESのクレカ決済審査の有無
次に、クレカ決済審査について比較してみます。
BASEのクレカ決済審査
BASEではショップの決済方法として「BASEかんたん決済」の利用申請が必須であり、かんたん決済にはクレジットカードも含まれています。
利用できるクレカのブランド4つのうち、VISA・MasterCardについては、かんたん決済の利用申請によりすぐに利用可能です。
JCB・アメリカンエキスプレスカードについては「利用準備期間」がありすぐには利用できません。その期間は事業形態によって異なります。
【特定商取引法に基づく表記「個人」の場合】申請後2~3営業日後から使用可能
【特定商取引法に基づく表記「法人」の場合】審査が必要
STORESのクレカ決済審査
STORESは決済方法を設定の設定でクレジットカード決済の導入申請を行います。
申請から審査結果まではおよそ4営業日です。審査はクレジットカード会社にて行われます。利用申請が多い場合、審査情報の不備がある場合は4営業日を超えることもあります。
なお、審査中でもショップは公開できます。審査中はクレカ以外の決済方法が利用可能です。
BASEとSTORESの販促・集客サポートの有無
次に販促・集客サポートの有無について比較します。
BASEの販促・集客サポート
BASEには販促・集客のための拡張機能(Apps)が用意されています。
具体的には「Instagram販売・広告」「商品説明カスタム」「レビュー」「クーポン」「セール」「メールマガジン」などです。
なお、「MORE BASE」というサービスでは、全国の商業施設やスペースでの商品の販売ができます。出店前後のサポートもあります。
STORESの販促・集客サポート
STORESにも販促・集客のための機能やアドオンが用意されています。
「メールマガジン」「ニュース作成」「クーポン」「再入荷リクエスト」「Instagram販売連携」「note for shopping」、スタンダードプランで利用できる「アイテム動画埋め込み」があります。
BASEとSTORESの入金スピード
最後に、売上金の入金スピードについて比較してみましょう。
BASEの入金スピード
BASEの売上金はショップ側からの振込申請によって振込手続されます。
振込申請から入金までは、土日祝日を除き10日後です。
どうしても急ぎたい場合は、申請の翌営業日に入金される「お急ぎ振込」があります。「お急ぎ振込」には振込申請金額の1.5%の手数料がかかる、すべてのショップが利用できるわけではなく審査がある、といった注意点があります。
STORESの入金スピード
STORESの売上金の入金は「オーダー発生の翌月末」となります。
ただし売上振込設定が「10,000円以上で振込む」設定の場合は、10,000円を超えた月の月末まで振込はされません。
なお、STORESでも申請から翌日に振込を受けられる「スピードキャッシュ」サービスがあります。最低2ヶ月前後の利用があり、振込対象売上が10,000円以上あるショップが対象となります。
ネットショップ開設はどっちがおすすめ?
さて、BASEとSTORESについていろいろ比較してきましたが、どちらでネットショップを開設するか、参考になったでしょうか。
では、どんな方にどちらのサービスがおすすめか、まとめてみましょう。
BASEがおすすめの方
- 初めてネットショップの運営をはじめる方
- 固定費ゼロでショップの運営をしたい方
- 売りたい商品数が少ない方、商品がないけどネットショップをはじめてみたい方
- パソコン操作やデザインに詳しくない方
- シンプルなショップを自分で作ってみたい方
STORESがおすすめの方
- 実店舗販売をしている、または売りたい商品を持っている方
- ネットショップをまず無料で試してみたい方
- ネットショップの運営に時間や労力をかけられない方
- 月額費用や決済手数料を抑えたい方
- 定期販売や予約販売を利用したい方
その他良く比較されるshopifyについて
今回紹介したBASE、STORESに並んで「shopify(ショッピファイ)」というサービスも気になるところです。
shopifyについて、BASEやSTORESとの類似点や相違点を簡単に確認してみましょう。
爆伸びしているShopifyとは?注目される背景から出来る事までを徹底解説
shopifyとBASE、STORESとの類似点
- 本格的なショッピングサイトが作成できるECプラットフォーム
- デザインや機能の拡張機能が多く用意されている
- 初期費用が不要
- 「shopifyペイメント」の利用でクレジットカード手数料以外の手数料はかからない
- SNS連携やSEO対策に対応。Instagram販売連携など。
shopifyとBASE、STORESとの相違点
- 運営会社の拠点が海外(カナダ)
- 月額費用は有料(Shopifyライト:$9 約945円~プレミアム:$299 約31,395円など)
- 多言語、通貨、海外発送に対応しておりグローバル展開に便利
- 英語やHTML/CSSなどの知識が必要
- 日本語での電話などによるサポート対応がない
ShopifyとBASEの徹底比較!料金プランや機能、デザインカスタマイズ性など
BASEやSTORESに比べてShopifyでのショップ開設は少しハードルが高い印象ですが、海外展開を視野に入れている方にはおすすめのサービスと言えます。
EC運営に合わせて確認したいこと
EC運用に合わせてSNSの運用は出来ていますでしょうか?
ECにおいて、SNSの活用は必須です。
LINEやInstagramをECに活用した事例を下記にてまとめていますので、併せてぜひご覧ください。