同じようにチャットで質問ができるChatGPT とチャットボットですが、似ているようで全く異なるツールです。
この記事では、改めてChatGPT とチャットボットの説明をはじめ、ChatGPT とチャットボットの違い・ChatGPT とチャットボットの使い分け・ChatGPT とチャットボットの連携などについて詳しく説明していきます。
ChatGPT とチャットボット
AIの技術が進化したことにより、コミュニケーションの効率化・ビジネスの幅の拡大が進んでいます。
ChatGPT とチャットボットは多くの企業が導入しているツールになりますが、それぞれに特徴があります。
以下で詳しく説明していきます。
ChatGPTとは
ChatGPTとは、サンフランシスコの非営利団体である「openAI」によって開発された「高度な対話型AI」のことをいいます。
2022年11月末に公開されたばかりにも関わらず、2023年2月時点で1億人を超えるユーザーが登録しています。
ChatGPTの特徴は、大量のテキストデータを学習し、人間と同等以上の自然言語処理能力を持っている点です。
質問応答タスク・対話タスクに特化してトレーニングされているため、実際の人間と会話を行う様な会話形式で回答を提示できます。
学習データはWebに存在する大量のテキストになりますので、一部間違った情報が含まれてしまう可能性があるため、全ての質問に対して正しい回答を行うことができない点がデメリットといえます。
chatGPTとは?活用方法や何が凄いのかを解説 | Hummingbird (humming-bird.info)
チャットボットとは
チャットボットとは、「会話(チャット)」と「ロボット(ボット)」を掛け合わせた言葉であり、人間相手ではなくロボットと会話ができる技術やサービスのことをいいます。
公式LINEアカウントにメッセージを送ると自動で返信が返ってきたり、Webサイトを見ていると「吹き出しマーク」と「チャット画面」が出てくることがあると思いますが、そのようなシステムの裏側にチャットボットが導入されています。
チャットボットのメリットとしては、以下の4つが挙げられます。
①業務の効率化を図ることができる
②顧客満足度の向上に役立つ
③顧客対応・サービス品質の改善に繋がる
④CVR改善に役に立つ
チャットボットについてさらに詳しく知りたい方は、以下のURLの記事をご覧ください。
チャットボットとは?AIとの違い・種類・選び方など、総まとめHummingbird (humming-bird.info)
ChatGPT とチャットボットの違い
ChatGPT とチャットボットの違いは、「意図した返答が出来るかどうかの違い」「技術的な違い」「返答精度の違い」「応用出来る範囲の違い」の4つが挙げられます。
意図した返答が出来るかどうかの違い
ChatGPTはあくまでネット上にある情報をまとめた内容を提示しますが、チャットボットの場合は相手の質問に対して「意図した返答」を行うことができます。
シナリオ型のチャットボットの場合では、事前に登録したよくある質問と回答やFAQの内容に沿って返信を行い、AI型の場合では会話内容を学習し、ユーザーからの質問の文字の揺らぎにも対応して適切な回答を提示できます。
つまり、ユーザーや利用者に対して「提示したい内容」を返信することが可能だということです。
技術的な違い
ChatGPT は、GPTアーキテクチャを使用したAIモデルであるため、膨大なテキストデータを学習し、自然な文章を生成できます。
この機能のおかげで高度な対話が可能になります。
チャットボットの場合は、設定された質問・回答の内容に沿って対話を行いますが、AI型のチャットボットの場合ではシナリオ型に比べて柔軟な対応が可能です。
ですが、あくまで基本的に設定された範囲内での対応になります。
返答精度の違い
ChatGPTの返信精度は高く、人間に近いレベルの対話が可能です。
状況に応じて表現を変えたり、ユーモアを交えた対話が行えるのは ChatGPTの強みといえるでしょう。
チャットボットの場合は、設定された範囲内での返答がメインになりますので、よくある質問やシンプルな質問には対応できますが、状況に応じた対話の対応は難しいといえます。
ただし、AI型の場合では会話内容を学習することで、ユーザーごとの表現の違いにある程度対応できるようになります。
応用出来る範囲の違い
ChatGPT は高度な対話能力を活用して、顧客対応・マーケティング・社内コミュニケーション等、様々な場面で活用が可能です。
自然言語処理技術を活用すれば、文章の改善等の別の用途でも使用できます。
一方でチャットボットは、FAQ対応・ネットでの商品案内・予約システム等、設定された範囲内で効率化を図ることに役立ちます。
チャットボットはプラットフォームに関しても、Webサイト・SNS・LINEなどのメッセンジャーアプリなど、幅広い分野での活用が可能です。
ChatGPT とチャットボットの使い分け
ここまでChatGPT とチャットボットを比較してきましたが、2つのツールが活躍する場面が異なるため、それぞれのツールの使い分けと注意点を把握しておく必要があります。
ChatGPT とチャットボットのそれぞれの活用場面について詳しく説明していきます。
チャットボットの方が優れている点もある
チャットボットの方が優れている点は以下の3つになります。
①コスト・費用面での優位性
従来のチャットボットは、ChatGPT みたいに多くのテキストを学習させなくても使用できますので、導入準備・運用メンテナンスに掛かる費用やコストが安くなります。
コスト面では、チャットボットの方が優れているケースが多いといえるでしょう。
②正しい情報の回答
ChatGPT はあくまでWebサイト上にある情報を総合的にまとめて提示するため、一部間違った内容の回答をしてしまうケースもあります。
一方でチャットボットの場合では、事前に登録されたFAQに沿って回答を提示しますので、確実に正しい回答をユーザーに提示できます。
間違った回答を提示してしまい、ユーザーからの信頼が失われてしまう場面ではチャットボットを活用する方が良いといえます。
③柔軟性がある
従来のチャットボットは、顧客からの問い合わせ対応のためにカスタマーセンターに設置したり、社内での問い合わせ対応のためにヘルプデスクに設置したりと、様々な用途に使用できる柔軟性があります。
そのため、ビジネスシーンで幅広い活用方法が考えられます。
ChatGPTを活用すべき場面
ChatGPTの活用場面は主に以下の5つを挙げることができます。
以下で詳しく説明していきます。
カスタマーサービス
特に海外の企業では、カスタマーサービスにChatGPTを活用している事例が多くあります。
例を挙げますと、食品メーカーの商品の味や食感、付け合わせ等、顧客の好みに関する回答が手に入ると、回答内容に沿ったオーダーメイドをChatGPTが作成することも可能です。
コンテンツの作成
説明文・記事・クイズの作成などのコンテンツの作成も可能です。
海外でもコンテンツの作成のためにChatGPTが使用されている事例があります。
長文を要約することも可能であり、高い要約精度を誇っているのもChatGPTの強みといえるでしょう。
調査・分析
ChatGPTがネット上の大量のデータを蓄積していますので、ChatGPTを使用して情報収集を行ったり、分析に使用するケースもあります。
ChatGPTを活用すれば、自分で検索するよりも早く情報が集まりますので、効率化を図ることができます。
翻訳
ChatGPTは世界各国の言語を翻訳することが可能です。
日本のみならず、海外でもChatGPTを翻訳に活用する事例が数多く存在します。
ソフトウェア開発・デバッグ
最後にご紹介する活用場面は、ソフトウェアの開発・デバッグです。
ChatGPTはコードの記述するのが大きな特徴といえます(アプリ・Webサイトの構築など)。
今まではコードの記述は人間の手で行っていましたが、ChatGPTを活用すれば人力の作業を大幅に削減できます。
ChatGPT利用時の注意点
ChatGPT利用時の注意点を以下でまとめています。
①データのプライバシー
ChatGPTは入力された情報に沿って回答を生成しますが、機密性の高い情報・個人情報を扱う際には気を付けないといけません。
②コスト・費用面
ChatGPTに使用しているAIは非常に高度な技術を使用していますので、運用コストが高くなってしまうケースも少なくありません。
無料プランも使用期限が限られていますので、予算や投資対効果をしっかりと検討して導入・運用を検討しましょう。
③間違った回答
ChatGPTはネット上の膨大な情報を元に回答を生成しますが、ネット上には間違った情報も紛れていますので、時には意図しない不適切な回答を行ってしまうケースがあります。
対外的なコミュニケーションで使用する場合には、適切な監視・フィルタリングが必要になります。
チャットボットを活用すべき場面
チャットボットの活用場面は主に以下の5つを挙げることができます。
以下で詳しく説明していきます。
カスタマーセンターでの活用
カスタマーセンター等の顧客に対するサポートやサービスの向上に使用する方法があります。
顧客側には以下のメリットがあります。
①テキストを入力するだけで問い合わせが可能である。
②すぐに質問ができ、回答も早く返ってくる。
③電話する必要がなくなる。
④オペレーターに繋がるまでの待ち時間がなくなる。
チャットボットで全ての質問に対応できるわけではありませんが、よくある質問などの問い合わせ件数が多い質問に対しては、事前に登録しておけばチャットボットが代わりに対応して頂けます。
そのため、オペレーターが直接対応するのは本当に有人対応が必要になる問い合わせだけになりますし、最終的には顧客満足度も向上します。
社内ヘルプデスクでの活用
社内ヘルプデスクでの問い合わせ対応に活用する方法があります。
チャットボットであれば、担当者に代わって24時間365日いつでも対応が可能となり、担当者の業務負担が軽減されますので、本来取り組むべき業務に集中して取り組むことができます。
採用活動の効率化
採用活動の効率化を図る際にもチャットボットが役に立ちます。
採用活動で活用する場合には、学生側の疑問に回答する際に利用できます。
社会経験のない学生は企業や業務内容等、分からないこと・疑問点を多く抱えています。
しかし、わざわざ採用担当者に電話を掛けることも、説明会で挙手をすることもハードルが高いと考えてしまう方も少なくありません。
チャットボット=ロボット相手であれば気軽に質問できる学生も多いでしょう。
疑問・不安を解消し、より多くの募集者の獲得に活かしましょう。
ニーズの把握
チャットボットは、顧客のニーズを把握するのにも活用できます。
チャットボットの多くはダッシュボード・アナリティクスなどの機能で、問い合わせ内容・時間・頻度の統計を取っています。
これらの情報を利用することで、ユーザーが抱える疑問点や興味を持っているユーザーの人数等を確認できます。
このデータを使用して、チャットボットの返答精度を向上させたり、営業活動・商品開発に活かすこともできます。
官公庁・自治体でのサポート等
チャットボットは官公庁や自治体でも導入・活用されています。
官公庁・自治体は国民や市民の問い合わせの数が膨大になります。
この数をカスタマーサポートだけでは対応できませんので、チャットボットを活用しているケースが増えています。
問い合わせ数の多いようなよくある質問をチャットボットが対応し、チャットボットで対応できない難しい問い合わせに有人で対応することで、多くの質問を捌くことができます。
チャットボット利用時の注意点
チャットボットは、あくまで事前に設定された回答を提示しますので、対応範囲が限定的になります。
今までにないような質問・難しい質問には対応できないケースがあるため、そういった質問には有人での対応が必要になります。
ChatGPTとチャットボットの連携
ChatGPTとチャットボットの連携で、導入後のチャットボットのFAQ登録やメンテナンスにかかる工数の削減を実現している事例もあります。
チャットボットのチャット画面で、「ChatGPTに聞いてみる」と入力するとChatGPTが回答を提示してくれます。
これにより、よくある質問・回答を間違えてはいけない質問に関してはチャットボットが対応し、チャットボットで対応できない質問に関してはChatGPTが対応可能です。
また、利用シーンや用途に応じて使い分けると効果的といえるでしょう。