人事部門の抱える問題を解決するために、多くの企業がチャットボットの導入を行っています。
チャットボットを上手く活用できれば、人事部門の業務効率化を図ることができ、長時間労働の是正を可能にし、社員の定着率を向上させることができます。
この記事では、人事の抱える課題の説明をはじめ、改めてチャットボットの説明・人事部門にチャットボットを導入するメリット・人事部門にチャットボットを導入する際のポイントなどについて詳しく説明していきます。
人事の抱える課題
多くの一般企業の人事で抱えている課題は以下の通りです。
①採用・育成・評価・配置・問い合わせの対応業務等、業務の範囲が広い。
②多くの業務を抱えている場合があり、十分な時間を確保できていない。
③世間では働き方が多様化しているが、十分に対応できる状況になっていない。
④業務が人に依存しやすい傾向がある。
⑤法律・精度の改正が行われると、対応に時間が取られる。
⑥テレワークへの移行・推進が進み、問い合わせ件数が増加している。
企業を円滑に運営していくためには、人事がスムーズに機能している状態にしておかないといけません。
しかし、新型コロナウイルスの流行が原因となり対応すべき業務負担が増えてしまっており、多くの企業が人事の問題解決の方法を探しています。
人事の課題解決のために進むチャットボットの導入
企業でのチャットボットの活用をイメージすると、カスタマーサポートやECサイトなどでの活用をイメージされる方も多いと思いますが、人事でもチャットボットを活用することで抱えている課題の解決に役立ちます。
そのため、多くの企業が人事への導入を進めて、人事が抱える課題・問題の解決のためにチャットボットを活用しています。
チャットボットとは
チャットボットとは、「会話(チャット)」と「ロボット(ボット)」を掛け合わせた言葉であり、人間相手ではなくロボットと会話ができる技術やサービスのことをいいます。
公式LINEアカウントにメッセージを送ると自動で返信が返ってきたり、Webサイトを見ていると「吹き出しマーク」と「チャット画面」が出てくることがあると思いますが、そのようなシステムの裏側にチャットボットが導入されています。
問い合わせ対応・マーケティング支援に使用する企業が多く、カスタマーセンターでは顧客から寄せられる質問に回答したり、社内ヘルプデスクでは他部署の従業員からの質問に回答するなどの対応を行えるため、担当者の業務負担が軽減されます。
チャットボットについてさらに詳しく知りたい方は、以下のURLの記事をご覧ください。
チャットボットとは?AIとの違い・種類・選び方など、総まとめHummingbird (humming-bird.info)
チャットボットで人事部門の効率化
人事部門にチャットボットを導入した場合、「社員からの問い合わせ対応業務」をロボットが代行して解答してくれるため、人事の抱える業務負担を軽減することができます。
人事部門は採用・人材育成・評価・労務管理等、様々な業務を抱えていますが、他部署の社員からの問い合わせ対応も抱えている業務の一つになります。
他部署の社員から寄せられる質問は以下の通りです。
①有給休暇申請を何日前までに提出すればよいのか?
②氏名変更届について教えて欲しい。
③慶弔休暇は何日取得できるのか?
人事部門に寄せられる社員からの質問を拝見していますと、社内FAQや就業規則を見れば解決できるような質問も少なくありません。
すぐに回答できる質問であっても、多くの質問が寄せられると対応する時間が膨大になってしまいます。
その都度、業務を中断されてしまうと、人事部門の従業員の業務効率が悪くなってしまいます。
そういった「よくある質問」についてチャットボットが代わりに対応できる体制にしておくことで、人事部門に寄せられる質問を大幅に削減できますので、人事部門の業務効率化を進めることが可能になります。
人事部門がチャットボットを導入するメリット
人事部門にチャットボットを導入するメリットには、「働き方改革の推進」「人的コストの削減」「業務効率化」「属人化からの脱却」「社員の定着率の向上」「年中無休で対応出来る」の6つのメリットが挙げられます。
働き方改革の推進
(引用:5分で分かる「働き方改革」とは?取り組みの背景と目的を解説 | ボーグル (bowgl.com) )
人事部門にチャットボットを導入することで、働き方改革の取り組みの一つである「長時間労働」を是正することができます。
働き方改革の施策の影響により、労働者の一人一人が生産性を高めて、限られた時間の中で今までの業務を捌いていかないといけない状況になっています。
また新型コロナウイルスの流行により企業のリモートワークの導入が進められ、人事部門に電話する・足を運ぶといった問い合わせを気軽にできなくなってしまいました。
チャットボットを導入して対応業務を自動化することで、今まで社員の対応を行っていた時間を別の業務の時間に充てることができますので、最終的には長時間労働の是正に繋がります。
リモートワークで人事部門に問い合わせを行うことができなくても、チャットボットに確認すれば回答が返ってくるため、他の社員にとっても大きなメリットがあるといえるでしょう。
人的コストの削減
人事部門にチャットボットを導入することで以下のコストの削減等が期待できます。
①人件費
②電話対応にかかる時間
③FAQ・社内Wikiの更新のためのリソース等
④調査にかかる時間・諸費用等
⑤内線などの通信費
勿論、チャットボットが人事部門の全ての機能を代行できるわけではありませんので、場合によっては有人での対応が必要になりますが、チャットボットを導入することで多くのコスト・リソースの削減を行うことができます。
業務効率化
先程も説明しましたが、人事部門にチャットボットを導入することで業務効率化を進めることができます。
人事部門は本来のコア業務と他部署の社員から寄せられる質問や問い合わせに対応する業務を抱えており、問い合わせが入る度に業務を中断して対応しないといけない状況で業務を行ってきました。
業務を中断する度にコア業務が進まなくなりますので、結果として人事部門の業務の効率化が悪化していき、残業で対応しないといけない事態に陥っている企業も少なくありませんでした。
チャットボットを導入して他部署の社員の問い合わせ対応を自動化することで、人事部門の従業員は今まで問い合わせ対応していた時間をコア業務に充てることができますので、残業時間を削減することができ、人事部門の業務効率化を進めることができます。
属人化からの脱却
問い合わせを受ける人事部門の従業員の知識量の違いによって、返答内容が異なってしまう場合があります。
この場合、人事部門内での「属人化」が起こっている状態といえるでしょう。
チャットボットを導入して対応業務を代行させることで、「返答内容が均一」になり、伝達ミスが起こりにくい体制を確立することができます。
有人で対応する際に発生していた「属人化」から脱却することができ、問い合わせをする社員にとっても均一の安定した回答を得られるため、安心してチャットボットに問い合わせを行うことができます。
社員の定着率の向上
業務効率化を進めることができずに、常に残業が発生している職場ではどうしても社員の定着率は低下してしまいます。
チャットボットを導入して、人事部門の業務効率化を進めていき、従業員の負担を軽減できれば、自然と定着率は向上していきます。
年中無休で対応出来る
人事部門にチャットボットを導入すれば、24時間365日自動で対応できるようになります。
有人のヘルプデスクとは違い、チャットボットは休息を取る必要がないからです。
有人での窓口が閉鎖している間に、他部署も社員が問い合わせを行わないといけない事態に発展した場合、人事部門の受付が再開するまで業務が停滞してしまう可能性があります。
しかし、チャットボット相手であれば、24時間いつでも問い合わせができますので、トラブル・緊急時の際にも業務を停滞させる心配がありません。
人事部門にチャットボットを導入する際のポイント
人事部門にチャットボットを導入する際のポイントには、「導入目的の明確化」「閑散期に導入を進める」「導入実績の確認」「サポート体制の確認」の4つのポイントが挙げられます。
導入目的の明確化
チャットボットを導入する際には、しっかりと導入目的を明確化してから導入するようにしましょう。
導入目的が明確になっていない状況でチャットボットを導入してしまうと、業務効率化などの効果が出ているのかが分からない状態で毎月コストを支払うことになってしまいます。
また的確な目的がない状況で導入されたチャットボットは、チャットボットのメリットや効果を最大限に発揮できない恐れがありますので、毎月コストを支払っているだけという状態に陥ってしまう可能性があります。
必要な機能の洗い出し
導入目的を達成するためにどの程度の機能が必要になるのかを洗い出しておく必要があります。
当然ですが、機能が多くなるほど価格は高額になっていきますので、必要でない機能は排除しつつ、目的・目標達成のために必要になる機能は見落とさずにしっかりとついているチャットボットを選択するようにしてください。
運用体制の整備
チャットボットを導入する際には、運用体制を整備しておくことも重要になります。
チャットボットは運用中のメンテナンスにより回答精度を向上させていきますので、シナリオやFAQの整備・見直しを行う人材を複数人、確保しておく必要があります。
運用体制を事前に整備しておくことで、継続的にチャットボットの精度を向上させていくことができます。
閑散期に導入を進める
チャットボットを導入する際には、「閑散期」に導入するようにしましょう。
チャットボットは導入してすぐに運用開始できるものではありません。
FAQを登録するなどのチューニングが必要になりますし、AI型の場合では学習期間が必要になります。
その他にも、現在のシステム環境下でどのように動作するのか等を確認するために、テスト運用も必要になります。
導入時にはタスクが多くなりますので、閑散期のスケジュールに余裕がある時期に導入するようにしましょう。
導入実績の確認
チャットボットの導入実績を確認しておくことも重要な項目になります。
同じ業種・業界の企業が取り入れている、自社と同じ課題の解決に利用している企業が実績に含まれているなど、自社の状況や目的に照らし合わせて導入実績を確認しておきましょう。
サポート体制の確認
チャットボットの問い合わせ対応で高い精度の回答を行うためには、チャットボットのチューニング等が必要になります。
ただチャットボットの利用を繰り返すだけでは、思ったように精度を向上させることができない場合があります。
その際には学習データに誤りがないか等を確認し、定期的にブラッシュアップしていく必要があります。
チャットボットの導入が初めての場合には、どのようにブラッシュアップしていけば良いのかが分からず、不安になってしまう方も多いと思いますが、その際にはベンダーのサポートに問い合わせて教えて頂くようにしましょう。
そのためにも、ベンダーごとのサポート内容の違いを導入前に必ず確認しておくようにしてください。