チャットボットには、「シナリオ型」「AI型」「ハイブリット型」の3つの種類があり、それぞれの仕組みや導入が向いている企業が異なってきます。
この記事では、チャットボットの種類をはじめ、それぞれの仕組みや導入の成功事例などを詳しく解説していきます。
チャットボットとは
チャットボットとは、「チャット」と「ボット」を組み合わせた造語であり、人間相手ではなくロボットと自動で会話を行うプログラムのことです。
LINE公式アカウントにメッセージを送るとすぐに返信されてきたり、webサイトの右下に出てくる「吹き出しマーク」や「チャット画面」であったり、webサービスにて「何か質問はありませんか?」というように質問を行うプログラムをご覧になったことはありませんか。
これらのシステムの裏側にはチャットボットが導入されています。
チャットボットとは?AIとの違い・種類・選び方など、総まとめ
チャットボットの種類
チャットボットの種類は「シナリオ型チャットボット」「AI型チャットボット」「ハイブリッド型チャットボット」の3つの種類に分類されます。
シナリオ型チャットボット
シナリオ型(ルールベース型)チャットボットは、あらかじめ設定したルールに合わせて回答を行うチャットボットのことをいいます。
チャットボットがユーザーに対して選択肢を提示し、ユーザーが選択肢を選ぶことで最終的にチャットボットが回答を提示するという流れになります。
シナリオ型のメリットとしては、選択肢に沿って回答を提示できるため、ユーザーの求める質問の意図と大きく異なる回答を提示してしまうということは起りません。
また、「正確な回答」を期待できる点が利点といえるでしょう。
デメリットとしては、シナリオに登録されていないような複雑な内容の質問には対応できない点と、言葉の揺らぎに対応できない点が挙げられます。
AI型チャットボット
AI型チャットボットとは、その名前の通り「人工知能」を搭載したチャットボットのことをいいます。
AI型のチャットボットは機械学習によりユーザーとの対話ログから学習を行い、的確な回答を提示します。
「フリーワード」や「言葉の揺らぎ」にも対応できるのがこのチャットボットの強みです。
「自然な会話」を実現できるため、ユーザーにとっても「人間相手」と会話をしている感覚で質問を行うことができます。
デメリットとしては、事前の学習期間が必要になる点、誤った学習をしてしまうと間違った回答を提示してしまう可能性がある点、学習期間が短いことが原因により、対話ログが少ないと会話が続かなくなる点が挙げられます。
ハイブリッド型チャットボット
ハイブリッド型チャットボットとは、自動でチャット対応を行うチャットボットと有人対応を組み合わせたチャットボットのことをいいます。
チャットボットでユーザーからの質問に対して、ルールに基づいた機械的な回答を提示しつつ、チャットボットでは対応できないような難しい質問については有人対応に切り替えることができます。
「半自動半有人対応」型のチャットボットであるといえるでしょう。
メリットとしては、チャットボットのメリットも有人対応のメリットも両方とも活かせる点と、顧客満足度を向上させることができる点です。
デメリットとしては、チャットボットの設計に手間と時間が掛かる点、人手が必要になる点、有人チャットは24時間の対応ができない点が挙げられます。
チャットボットの仕組みを種類ごとに図解で解説
チャットボットの種類ごとの仕組みを図形を交えながら解説していきます。
シナリオ型チャットボットの仕組み
先程も説明しましたが、シナリオと呼ばれる会話のフローを事前に設定しておき、シナリオに沿って会話を進めるチャットボットになります。
AI型に比べて容易・安価で導入することができます。
「シナリオ」とはユーザーが疑問に感じていることを解決するまでの道筋のことであり、フローチャートのように選択肢を階層に分けて作成を行い、最初の「大きいジャンル」から絞っていき、最終的にピンポイントの質問の回答を提示します。
ユーザーは簡単に自分の疑問や質問を言語化できないので、適切な選択肢を設定してあげることでユーザーの求める最適な回答を提示することができるようになります。
メリットも多いシナリオ型チャットボットですが、複雑な内容の質問や言葉の揺らぎには対応できないというデメリットもありますので、注意が必要です。
シナリオ型チャットボットが向いている企業
シナリオ型のチャットボットが向いているのは、銀行や生命保険などの生年月日や性別を入力した後に、その内容から月額保険料金やオススメの商品を紹介する事業を提供している企業、ユーザーをコンバージョンポイントに誘導するためのマーケティングを利用していたり、想定される質問と回答がパターン化しやすい企業などです。
AI型チャットボットの仕組み
AI型チャットボットとは、初期設定の際に登録した膨大なデータと運用していく中でAIが学習したデータを駆使して、ユーザーの質問に対して最適な回答を提示するチャットボットになります。
機械学習機能の性質により、ユーザーとの会話によるデータの蓄積量が多いほど、受け答えの精度が高くなっていき、自然な会話も可能になります。
そのため、データ量が少ない場合には回答の精度も低くなりますし、導入後はシナリオ型よりも運用できるようになるまでに手間が掛かるなどのデメリットがあります。
具体的に説明しますと、人が日常的に使用している言語を分析・処理を行うNLP(自然言語処理)とAIにデータのパターンや傾向を分析させるML(機械学習)という技術を使用して会話を行っています。
ユーザーから入力されたテキストの中から重要なキーワードを拾い上げて、ユーザーの意図を読み取り、FAQの中から適切な回答を探して、場合によっては組み合わせを行い、精度の高い回答を提示します。
同じ意味を示す内容であっても、人によっては言葉や表現の仕方が異なりますが、AI型は学習経験から柔軟にユーザーの意図を解釈することができますので、結果として精度の高い対応が可能となります。
AI型チャットボットが向いている企業
AI型チャットボットの導入が向いているのは、多くの顧客から様々な内容の問い合わせが予想されるサービスを提供している企業、問い合わせの内容が定型化されていない企業、ユーザーに対してより自然な会話を提供したい企業などです。
チャットボットの成功事例
チャットボットを導入して成功している事例をいくつかご紹介していきます。
アイペット
アイペット損害保険株式会社は、ペット専門の保険業を行っている企業です。
「hachidori」というチャットボットを導入し、契約書類の不備連絡のために通知メッセージ配信をメインに使用しています。
LINEのリッチメニューには、「ご契約者様向け」と「ご検討中の方向け」のメニューに切り替えができるようになっており、ご契約者様にはマイページや優待サイトへの導線を表示しており、ご検討中の方にはお見積りシナリオや申込ページの導線を表示しています。
アイペットの客層は40~60代の顧客が多いですが、年配層のお客様にもご好評いただいています。
他部署とも分担し連携を取りながら設定・配信を行っているだけでなく、配信後は効果測定を行い、数値やお客様の声をフィードバックすることで配信内容を改善しています。
クレジットカード支払いの不備の書類返送率は通知メッセージを活用した場合ですと、1~2%上昇しました。
また、これらの努力により友だち追加後のブロック率を月に2%という低い水準で抑えることができています。
わかさ生活
株式会社わかさ生活は健康食品の研究開発・商品企画・販売を行う企業です。
2017年から公式アカウントで運用していましたが、アカウントの活用目的やお客様のメリットが不明確だという課題があり、「hachidori」というチャットボットを導入しました。
hachidoriの導入に至った経緯ですが、1番の決め手となった理由が「コストの低さ」です。
その他にも、修正対応をはじめ、やりたいことの実現に向けた相談にも乗って頂けたことも理由となっています。
わかさ生活では、LINE公式アカウントのシナリオを用いてリッチメニューをWEBコンテンツのように見せることで、新しい情報や旬な情報をいち早くお伝えする手段に活用しています。
お客様から健康上の悩みを相談されますので、チャットボットの「よくある質問」と有人オペレータによる「LINE相談」で対応しています。
導入後の結果としては、リッチメニューのタップ数は約1.3倍、リッチメニューからの売上は約2倍になりました。
また、チャットボットと有人対応の両方を使用したことで、WEBへのお問い合わせが約5%減少しました。
当時は新形態の商品を販売していた時期であったため、問い合せ数も増えると予想されている中、5%程度の減少だったため、大きな成果が出ているといえるでしょう。
ブッチジャパンインク
ブッチジャパンインクは、ペットフードの輸入販売業を行う企業です。
2019年11月に「hachidori」というチャットボットを導入しています。
導入理由は公式アカウントを利用することで、売上が作れるサインが見られたためです。
hachidoriに決めた理由ですが、管理画面やシナリオの使い方が簡単であるため、開発に詳しいスタッフがいなくてもできそうだと考えたからです。
また、お客様の反応を見てスピーディーに修正していく必要があるため、現場で働く人でも修正できる必要がありましたが、hachidoriならそれが可能であると考えました。
LINE公式アカウントとチャットボットを活用して、売上を約2倍に増やすことができました。
プレミアムコスメ
プレミアムコスメは、コスメ等のD2Cブランドを複数展開している企業です。
プレミアムコスメは、LINE公式アカウントに「hachidori Marketing」という成果報酬型プランを導入されました。
導入した理由ですが、「検索広告からライティングページに遷移させる」などの既存媒体と比較して同程度の単価、割安で獲得数を伸ばせる手法を探していましたが、このプランが向いていると判断したからです。
実際に行った施策ですが、HP流入→離脱防止バナーでLINEチャットボットへ誘導→LINEチャットボットのコンテンツでナーチャリング→CVへ誘導という流れで行いました。
公式HP上に離脱防止バナーを設置し、HPから離脱する際にポップアップが現れて、LINEの友だち追加を促します。
LINEの友だち登録を行うと、「肌診断」コンテンツを楽しむことができるだけでなく、いくつかの質問に答えることでお客様の肌を診断し、それに応じて商品を提案していきました。
その他にも、リッチメニューを活用してFAQ対応を行ったり、商品について理解を深めるためのコンテンツを提供しました。
2週間の検証期間において、他社の離脱防止バナーと比較すると、LINE遷移離脱防止バナーであればCTRが約2倍になり、LINE経由のCVRも約10%と高い結果を出せています。