不動産業界では物件の検索・問い合わせ、契約の申し込み等、顧客と企業のやりとりが頻繁に発生し、顧客対応の業務のリソースが大きいため、従業員の負担が増加しています。
不動産業界にチャットボットを導入しますと、これらの顧客対応の業務をチャットボットが代行してくれますので、業務効率化を図れるため、チャットボットを導入する不動産会社が増加しています。
この記事では、改めてチャットボットの説明をはじめ、チャットボットと不動産業界の相性・不動産業界でのチャットボットの活用方法・不動産業界でチャットボットを導入するメリット・不動産業界のチャットボット導入の注意点やポイント・不動産業界のチャットボット導入事例などについて詳しく説明していきます。
チャットボットとは
チャットボットとは、「会話(チャット)」と「ロボット(ボット)」を掛け合わせた言葉であり、人間相手ではなくロボットと会話ができる技術やサービスのことをいいます。
公式LINEアカウントにメッセージを送ると自動で返信が返ってきたり、Webサイトを見ていると「吹き出しマーク」と「チャット画面」が出てくることがあると思いますが、そのようなシステムの裏側にチャットボットが導入されています。
問い合わせ対応・マーケティング支援に使用する企業が多く、カスタマーセンターでは顧客から寄せられる質問に回答したり、社内ヘルプデスクでは他部署の従業員からの質問に回答するなどの対応を行えるため、担当者の業務負担が軽減されます。
チャットボットについてさらに詳しく知りたい方は、以下のURLの記事をご覧ください。
チャットボットとは?AIとの違い・種類・選び方など、総まとめHummingbird (humming-bird.info)
チャットボットの種類
チャットボットは大きく分けて以下の2種類に分けられます。
①AI型
人工知能が搭載されたチャットボットになります。
フリーワードでの質問に対応できたり、機械学習の仕組みを活用することで、チャットボット自身が自ら学習を行い、回答の精度を向上させることが可能なチャットボットです。
AI型のメリットは以下の通りです。
⒈フリーワードでの質問に回答できる
⒉言葉の揺らぎに対応できる
⒊機械学習により回答の精度が向上していく
AI型のデメリットは以下の通りです。
⒈シナリオ型と比較してコストは高くなる
⒉学習期間が必要になるため、導入した段階ですぐに効果が出ない
②シナリオ型
シナリオ型のチャットボットは、人間があらかじめ設定したルールに合わせて回答を行うチャットボットです。
「AならばB」「Cが含まれる場合にはD」といったように決まった内容を返答します。
シナリオ型の特徴は以下の通りです。
⒈選択肢での回答に限定される
⒉フリーワードに対応できない
⒊言葉の揺らぎに対応できない
⒋精度向上のためのチューニングが必要になる
シナリオ型のメリットとしては、AI型のチャットボットと比較して導入コストが安い点、AI型が学習期間がかかるのに対して、FAQを登録するとすぐに使用できる点が挙げられます。
チャットボットと不動産業界の相性
チャットボットとは顧客・ユーザーからの問い合わせに対して自動で回答を行うツールになります。
顧客が質問内容をテキストで入力して、チャットボットもテキストで回答を行います。
不動産業界では、物件の検索・問い合わせ、契約の申し込みなどの様々なやりとりが発生する業界ですので、チャットボットは不動産業界に導入しても有効に活用できるといえるでしょう。
不動産会社の職員の方は、一般的にはメール・電話・LINE等でお客様に対応されている場合が多いと思いますが、業務の中でも顧客対応にかけるリソースが多くなっており、課題に感じている企業も多いかと思います。
顧客対応を効率化できれば、無駄な経費の削減・担当者の負担軽減に繋がる可能性があります。
不動産業界と相性の良いチャットボットを上手く活用することで、それらの効果を期待できますので、企業の課題解決に繋がる可能性が高いといえるでしょう。
不動産業界でのチャットボットの活用方法
不動産業界でのチャットボットの活用方法には、物件案内・予約、質問応答、顧客サポート、投資情報提供、物件比較・選定支援などの5つが挙げられます。
それぞれについて詳しく説明していきます。
物件案内・予約
チャットボットを導入することで、顧客の要望に基づいて適切な物件情報を提供し、内覧の予約をサポートすることに活用できます。
顧客はチャットボットとの会話の中で、予算・エリア・設備等の条件を伝えることで、適切な物件リストを受け取ることができます。
内覧等の予約もチャットボットが代行してくれますので、面倒な作業を代わりに行い、担当者の負担を軽減してくれます。
質問応答
チャットボットは顧客・ユーザーからの質問に迅速に回答でき、物件に関する詳細情報・手続きについての案内を提供しています。
駐車スペースの有無・最寄りの学校や交通機関に関する情報・物件の履歴に関する質問等に対して、リアルタイムで適切な回答を提供できます。
顧客が疑問に感じている内容についてすぐに回答を提示できるため、顧客満足度の向上に繋がります。
顧客サポート
契約手続き・アフターサポートに関する問い合わせに対して、チャットボットが迅速に対応します。
必要書類・手続きに関するガイダンス、支払いスケジュールの確認等を行うことで、顧客・ユーザーの手間を削減し、スムーズな取引をサポートします。
投資情報提供
不動産業界でチャットボット活用する方法として、投資情報の提供に活用する方法があります。
不動産投資家向けに、市場の動向・収益性に関する情報を提供するためにチャットボットを活用します。
投資目的・予算に応じて潜在的な投資先・リスクに関するアドバイスを行い、投資の意思決定をサポートします。
物件比較・選定支援
複数の物件を比較検討する場合に、チャットボットはそれぞれの物件の特徴・価格・利点を提供し、顧客が最適な選択ができるようにサポートします。
希望条件に合致する物件を見つけるためのアドバイス・提案を行うこともできます。
不動産業界でチャットボットを導入するメリット
不動産業界で働いている従業員は主に顧客対応にかかるリソースに悩んでいる方も少なくありません。
不動産業界にチャットボットを導入した場合には、顧客対応の業務の一部をチャットボットが代行してくれますので、業務の効率化に繋がります。
また、その他にもチャットボットは窓口の開いている時間以外でも、いつでも対応可能ですので、顧客の好きな時間に質問することができたり、電話やメールで問い合わせをするほどでもないと考えているユーザーにも気軽に使用して頂けるため、潜在ニーズを把握することにも繋がります。
それぞれについて以下で詳しく説明していきます。
顧客対応コストの効率化
不動産業界の従業員の業務のうち、顧客対応のリソースが大きくなっていますが、チャットボットを導入して一部の対応業務を代行させることで、顧客対応コストの効率化を図ることができます。
顧客対応コストを削減できますと、従業員はより重要なコア業務に集中できるようになります。
また、人手を削減することなく、カスタマーサポートの質を向上させることが可能です。
年中無休で顧客対応が可能になる
チャットボットは、24時間365日対応できるツールになります。
そのため、不動産業者が休業している時間帯・祝日などでも顧客の問い合わせに対応することが可能になります。
不動産業者からの回答を待ったり、窓口が開いている時間まで待つ必要がなく、すぐに回答を頂けますので顧客満足度の向上に繋がります。
顧客満足度の向上
チャットボットは顧客からの質問に対して、迅速な対応を行えますので顧客満足度の向上に繋がります。
チャットボットがない会社ですと、窓口が開いていない時間帯や会社の休日などには対応できず、顧客が待たされる形になってしまいます。
待たされているうちに、気持ちが変わってしまい、他所の会社に顧客を取られてしまうなどの機会損失に繋がる可能性も考えられます。
チャットボットが対応できれば、顧客は待たされることなく必要な情報を得ることができ、スムーズなコミュニケーションによって顧客満足度が向上します。
潜在ニーズの把握とマーケティングへの活用
住宅のような高額な買い物については、顧客の潜在的なニーズにアプローチすることが非常に重要となります。
チャットボットを導入しておけば、「電話やメールで聞くほどでもない」という疑問を抱えている顧客・ユーザーも気軽に利用して頂けます。
そういったユーザーからの問い合わせ内容が、今まで電話・メールでしか対応していなかった企業では得ることのできない潜在ニーズの発見に繋がる可能性があります。
これらで得た情報を活用して新たな施策を打ち出し、業績の向上と顧客満足度の向上に繋げることができます。
不動産情報は何百~何千といった物件情報のデータベースにより構築されています。
チャットボットを通じてこれらの情報にアクセスできる環境は、ユーザーに不動産情報を提供するだけでなく、顧客とチャットボットの対話により、不動産情報を検索した過程の情報(=どんな条件でどんな物件に辿り着いたか)等のログがチャットボットに蓄積されます。
顧客との対話の中で得られたログで作成されたレポートは、顧客・ユーザーの潜在ニーズを知ることのできる情報源となります。
不動産業界のチャットボット導入の注意点、ポイント
不動産業界にチャットボットを導入する際には、導入目的を明確化することが重要となります。
導入目的を明確化しておかないと、チャットボットを効率的に活用できませんので、適切な効果を得ることができません。
また、導入するチャットボットが、導入目的を達成するために必要になる機能を搭載しているのかを確認しておきましょう。
機能が少なすぎても上手く活用できませんし、多すぎても専門的な知識が必要になるケースがあり、運用自体が困難になってしまう可能性があります。
その他にも、チャットボットを運用するためには定期的なチューニングが必要になりますので、専属担当者を設置して運用していく必要があります。
ベンダーについてもサポート体制がしっかりしているベンダーを選択することで、問題が発生しても上手く対応することができます。
それぞれについて以下で詳しく説明していきます。
導入目的の明確化
不動産業者でチャットボットを導入する際には、導入目的を明確化しておく必要があります。
導入目的を明確化できていないと、チャットボットを効率的に活用できませんので、想定していた効果を得ることができません。
顧客対応にかかる時間を削減したいという目的が定められている場合には、導入するべきチャットボットや運用方法、数字で決めた目標などが見据えられます。
導入目的が明確化されていることで、効果的にチャットボットを活用することができます。
機能に過不足ないチャットボットを選ぶ
不動産業界にチャットボットを導入する場合には、機能に過不足ないチャットボットを選定するようにしましょう。
目的達成のために必要な機能が足りない場合には、チャットボットを有効活用できません。
しかし、性能が高いチャットボットの中には、専門的なプログラミング・コーディングの知識が必要になるものも存在します。
そうなってきますと、社内に有識者が居ない場合には運用自体が困難になってしまう危険性があります。
可能な限り運用が容易であり、目的達成のために必要な機能が十分に搭載されているチャットボットを選択してください。
専属担当の設置
チャットボットは基本的に定期的なチューニングが必要なツールです。
チャットボットが顧客対応をしていくためには、事前に回答内容等を入力しておく必要がありますが、運用状況に応じて回答内容の修正・追加が必要になるケースも少なくありません。
また、ログデータの整理なども必要になります。
そのため、メンテナンスを実施していく専属担当者を設置しておく必要があります。
サポートのあるベンダーを選ぶ
チャットボットを初めて導入する企業も多いと考えられますし、社内にIT知識の有識者が滞在している企業も多いとはいえません。
そのため、サポート体制がしっかりとしているベンダーを選択しておくと良いでしょう。
問題が発生した際にも、迅速な対応が可能となり、スムーズな運用が可能となります。
不動産業界のチャットボット導入事例
不動産業界にチャットボットを導入した事例として、「グッドルーム株式会社」の事例をご紹介します。
グッドルームが2018年より運用している不動産管理会社・仲介会社向けサービス「Conomyオンライン」は、オンラインで賃貸申込等の手続きが行えるサービスになります。
Conomyオンラインはサービス自体が新しいため、使い方に関する問い合わせ件数が多くなっている点が課題でした。
管理会社や仲介会社のお問い合わせの手間を削減して、よりスムーズに使用して頂くために「hachidori」というチャットボットの導入を決めました。
Conomyオンラインでは、WEB画面にFAQチャットボットを設置して自動対応を行っています。
ログインを行っている利用者が管理会社と仲介会社のどちらかを判別して、自動的にシナリオを変更することで、利用者に合った情報を提供する工夫を行っています。
チャットボットの活用により、お問い合わせの件数を削減できています。