Google Bardとは、chatGPTのような対話型AIサービスのことであり、Googleアカウントさえ持っていれば、無料で使用できるサービスになります。
無料であるにも関わらず、プログラミングコードの生成・多言語の翻訳・キャッチコピーの作成等、幅広い業務に活用できるサービスを利用可能です。
そんな便利なツールではありますが、情報の正確性や著作権の問題等、注意点もありますので、それらも把握した上で上手くビジネスに活用していかないといけません。
この記事では、Google Bardの説明をはじめ、Google BardとChatGPTの違い・Google Bardの使い方・Google Bardで出来ること・Google Bardを利用する際の注意点などについて詳しく説明していきます。
Google Bardとは
(引用:Bard (google.com) )
Google Bardとは、Googleが開発を行った対話型AIサービスのことをいいます。
人間との会話を行っているような自然なやり取りを行える対話型AIに、Googleの検索サービスを連携しており、チャットで質問をするだけでAIが大きなデータから自然かつ正確な回答を出力してくれます。
名前の通り、人間が使う様な自然な文章で回答することを見込んだネーミングとなっています。
チャットGPT等の対話型AIモデルと同様に、ユーザーの質問への回答・文章の自動生成、言語翻訳、ソースコードの生成、要約などの対応が可能です。
Google Bardは、世界中の幅広い知識を大規模言語モデルの知能・クリエイティビティと組み合わせることを目的にしています。
ジェネレーティブAIについて
Google BardはジェネレーティブAIを活用した対話型AIサービスになります。
ジェネレーティブAIとは、学習したデータをそのまま活用するだけでなく、創造的なアウトプットを生み出せるAIのことをいいます。
情報の蓄積だけでなく、文章・キャッチコピー等の創造性を必要とする作業にも対応可能となります。
2023年5月に日本語対応を発表
Googleが2023年2月6日にBardのサービスを発表し、当初は試験的な運用でサービスを提供していました。
2023年5月10日に日本語・韓国語のサポートを追加したことで話題となっています。
2023年7月25日時点で40を超える言語、230を超える国・地域にも対応しています。
今後も対応できる言語と利用できる国は増加していく予定です。
Google Bardの利用料金
Google BardはGoogleアカウントを持っていれば、全ての機能を無料で使用できます。
ブラウザからGoogle BardのWebサイトにアクセスして利用することになりますので、インストール・ダウンロード等の手間が一切かかりません。
Googleが提供しているツールの「Google Workspace」で利用する際には、Google Bardの利用料金は発生しませんが、 Google Workspaceのライセンス費用がかかってきます。
Google Workspace内で使用したデータは、全て安全に保管されます。
Google Bardで行った作業を残しておきたい方は、Google Workspace内でGoogle Bardを利用すると良いでしょう。
Google BardのLLMで自然に会話できる仕組み
Googleが開発した「LaMDA(LLM)」という大規模言語モデルをベースに作られています。
大量のテキストデータをトレーニングされた言語モデルで、人間に近い自然な会話ができますし、演算・文章作成などの処理技術も使用できます。
その後、Googleが年次で開催している開発者会議「Google I/O 2023」で発表した「PaLM 2」と呼ばれる最新のLLMに変更されました。
PaLM 2は「Pathway」の技術を使用して、より高速で尚且つ高精度な言語処理が可能となりました。
Google検索の結果も利用
Google Bardでは、Google検索と連動して回答を行うことができます。
Web上からリアルタイムの最新情報を取り込んで、新鮮で質の高い回答を提示しています。
Google Bardが提供している情報の信憑性が、Google検索というソースによって担保されていますので、ユーザーも安心して活用できます。
ですが、Google検索を反映した回答が全て正しいとは言い切れませんし、「回答が正しいこと」を保証している訳ではありません。
Google Bardの回答はあくまで確定的な答えではなく、暫定的な回答に過ぎないことを認識した上で利用していきましょう。
Google BardとChatGPTの違い
Google BardとChatGPTを比較した場合、有料版の有無の違いがあります。
また、回答速度についてはchatGPTの方が優位であるといえますが、最新情報を反映しているかどうかで比較した場合にはGoogle Bardに軍配が上がります。
他サービスの連携については、Google BardがGmailなどのサービスと無料で連携できるのに対して、ChatGPTが連携する場合には有料版を使用しないと連携できません。
それぞれについて以下で詳しく説明していきます。
また、ChatGPTについてさらに詳しく知りたい方は、以下のURLの記事をご覧ください。
chatGPTとは?活用方法や何が凄いのかを解説 | HummingBard (humming-Bard.info)
有料版の有無
Google Bardについては全ての機能を無料で使用できますが、chatGPTについては無料版と有料版の両方があり、無料版では全ての機能を使用できません。
chatGPTの有料版は月額20ドル(1ドル=150円とすると約3,000円)で利用できます。
chatGPTの料金体制についてさらに詳しく知りたい方は、以下のURLの記事をご覧ください。
ChatGPTの無料と有料版の違いとは?ChatGPTplusは買いなのか? | HummingBard (humming-Bard.info)
回答速度
回答速度はchatGPTの方が優位であるといえるでしょう。
Google Bardは若干遅く感じられ、サクサクと文章を生成できるchatGPTと比べますと、時間がかかるように感じられます。
しかし、最新のLLMの導入により、更なる改善が見込まれていますので、より早く正確な回答を提示できるようになると予測されています。
最新情報を反映するかどうか
最新情報を反映しているかどうかで比較した場合には、Google Bardに軍配が上がります。
Google BardはGoogle検索と連携していますので、ネット接続によってWeb上のコンテンツ情報を活用でき、リアルタイム性の高い回答を実現できます。
一方で、chatGPTは2021年9月までの情報しか学習していませんので、それ以降のデータを利用した回答を得ることはできません。
chatGPTで最新情報を得るためには、「WebChatGPT」「ChatGPTplugins」といった拡張機能を使用しないといけません。
ただし有料版のChatGPTPlus(GPT4)を使用すれば、最新情報を得ることが可能となります。
他サービスとの連携
先程も説明しましたが、Google BardはGmail等の他のGoogleサービスと連携可能ですが、ChatGPTの無料版には連携機能がなく、有料版でAPIを使用しないと他のサービスと連携できません。
Google Bardを活用すれば、Bardにメールの内容を作成してもらえたり、カレンダーに予定を入れてもらうなどのサービスを利用できます。
Google Bardの使い方
GoogleBardは通常以下の2ステップで利用できますので、比較的に簡単に使い始めることができます。
①Google Bardにログインしセットアップ
②テキストボックスに質問を打ち込む
以下で詳しく説明していきます。
Google Bardにログインしセットアップ
通常利用しているブラウザを立ち上げて、検索窓にGoogle Bardと入力して検索を行います。
検索上位に「https://bard.google.com」と表示されたリンクが表示されますので、クリックしてサイトにアクセスします。
Google Bardのページに移動してから、Googleアカウントにログインを行います。
アカウントをお持ちでない方は、新しく作成しないと利用できません。
また、Google Workspaceを利用している方で、管理者がGoogle Bardへのアクセスを有効にしていない場合には利用することができません。
Googleアカウントにログインしたら、「Bardを試す」のボタンを選択します。
「利用規約とプライバシー」に同意をしますと、セットアップは完了になります。
テキストボックスに質問を打ち込む
下部に表示されている「ここにメッセージを入力してください」と記載されたテキストボックスに質問内容を打ち込むだけで、対話するように自然な回答を得ることができます。
質問回数に制限はありません。
位置情報の利用にも対応
Google Bardは位置情報の利用にも対応可能です。
ユーザーがGoogle Bardに位置情報を保存しておけば、現地の天気を質問できたり、一番近いコーヒーショップはどこ?などのお店に関する情報も質問できるようになります。
Googleアカウントに位置情報を保存したくない方は、「Bardアクティビティの保存を一時停止」メニューから停止できますが、最長72時間は停止していても保存されます。
Google Bardで出来ること
Google Bardで出来ることは以下の通りです。
①プログラミングコードの生成
学級日誌の作成をお願いし、子供でも分かるサイトのソースコードの作成依頼を行うと、プログラミングコードを作成してくれます。
②多言語への翻訳
日本語→英語・フランス語などへの翻訳ができます。
③画像検索
質問に対する回答を画像で説明できる機能を備えています。
④文章の校正と校閲
文章の変換ミス等を校正してもらえます。
⑤長文要約
論文・演説等の長い文章を要約するのにも活用できます。
⑥キャッチコピーの作成
⑦台本やトークスクリプトの作成
それぞれについて詳しく説明していきます。
プログラミングコードの生成
プログラミングコードの生成も行ってくれます。
「学級日誌を作りたいです。子供にも分かるサイトをソースコードで作成してください」と入力しますと、以下のような回答・コードを提示してくれました。
(引用:Bard (google.com) )
プロンプトを変更しますと、様々なプログラミングも可能になります。
デザインの希望・機能の要望なども具体的に指示すると対応してくれます。
多言語への翻訳
Google Bardは英語・フランス語への翻訳も行えます。
「今年の冬は暖冬だ。去年の方が寒かった。を英語とフランス語で翻訳して」と指示しますと、以下の画像のように翻訳してくれます。
Google Bardは直前の文章を記憶していますので、「同じ文章を〇〇語に翻訳して」と書き込みますと、続けて翻訳してくれます。
画像検索
Google Bardは質問に対する回答を画像で説明できる機能を搭載しています。
この機能はオンライン上で検索した画像を表示しています。
「可愛い猫の写真が見たい」と入力しますと、以下の画像を表示してくれます。
文章の校正と校閲
文章の校正と校閲も可能です。
「今日は寒いが、明日はもっと簸えるようだ。しっかりと寒さ対策を行うようにしよお。を校正して」と入力しますと、以下の画像のように文章を校正してくれます。
「簸えるようだ」→「寒くなるようだ」
「行うようにしよお」→「するようにしよう」
などのように校正してくれます。
Web記事・業務日報・報告書・企画書・提案書等の仕事で文章を書く場合に、提出前にGoogle Bardで校正を行うと良いでしょう。
長文要約
Google Bardは論文・演説等の所謂長文の文章の要約にも使用できます。
文字数を指定しますと、意図にあった文章に要約可能です。
要約した内容が本来の文章の意図と異なる場合もありますので、文章全体を確認して正しく表現されているかを見ておきましょう。
キャッチコピーの作成
Google Bardはキャッチコピーの作成も可能です。
「米粉を使用したカレールウを作成して、アレルゲン対策に使用していきたい。こちらの商品のキャッチコピーを作成してください」と入力しますと、以下の画像のような回答を頂けます。
キャッチコピーとそのキャッチコピーを付けた意味を提示してくれます。
台本やトークスクリプトの作成
台本・トークスクリプトの作成も行うことができます。
商品の価格交渉をしたい場合に、「取引先への商品の価格交渉の台本を作成して」と入力しますと、以下のような台本を作成してくれます。
(画像全ての引用先:Bard (google.com) )
相手の回答や反応についてもある程度想定して提示してくれますので、事前に台本を作成して頭の中を整理しておくと、スムーズに営業を進めることができるでしょう。
Google Bardを利用する際の注意点
Google Bardは非常に便利なツールではありますが、回答内容が全て正しいとは限りません。
誤りや捏造が多く含まれている場合もあります。
また、Google Bardをビジネスで活用する際には、利用におけるルールを策定しておかないと、予期せぬトラブルに発展してしまう可能性が考えられます。
また生成した文章の個人情報や著作権に気を付けないといけないことが問題となっています。
それぞれについて詳しく説明していきます。
回答は絶対ではない
Google Bardなどの全ての対話型AIサービス全般に言えることですが、回答で得られた内容・文章を鵜呑みにしないことが重要です。
今の段階では、AIによる回答には誤り・捏造が多く含まれているからです。
対話型AIサービスは膨大な量のテキストデータを学習して、それを基にして回答を生成しますが、常識・事実についての理解がある訳ではありません。
データに基づいて回答を作成しますので、非常識な文章・事実ではない回答を提示しているケースも少なくありません。
また回答が分からない状態であっても、回答を捏造して提示してしまう場合があります。
画期的なテクノロジーではあるものの、現段階では正しい情報なのかを人間が確認しないといけない段階であることを把握しておきましょう。
個人情報や著作権に気を付ける
Google Bardが生成した文章の著作権がどうなるのかを「Google Bardのよくある質問」や「生成 AI の追加利用規約 (google.com) 」では言及していません。
Google BardはジェネレーティブAIを使用していますが、この技術は個人情報の流出・著作権侵害等の問題が伴います。
そのため、確認せずに回答を流用しますと、誤った情報を拡散してしまう危険性があります。
その他にも、GoogleはAI原則に基づいてAI開発を行っています。
より適切な回答をするために、ユーザーの位置情報・過去の会話の履歴などを最長で3年間保管しています。
安全に管理されているとはいえ、外部からの不正アクセスの発生など、第三者に悪用されてしまう可能性がゼロとはいえません。
Google Bardを安全に使用するためには、プロンプトに個人情報を入力しないようにしましょう。
Google Bard利用後は、「Bardアクティビティ」から会話の履歴を削除できますので、定期的に行いましょう。
利用にもおけるルールの策定
Google Bardなどの対話型AIサービスのビジネスユースがすでに進んでいますが、後でトラブルが発生しないためにも、利用上のルールを作成しておく必要があります。
例を挙げますと、対話型AIがGoogle検索として活用できることで、Web検索からサイト上の記事を読む方が減少する可能性があります。
SEO施策を講じているWebサイトでは、今までのようなアクセスを得られなくなることも想定できます。
ですが、現段階では対話型AIが提示した回答が正しいかどうかを調べる必要があり、検索エンジンは絶対に必要です。
Google Bardを導入すれば、自動翻訳・自動文章生成といった部分で業務効率アップの効果を期待できますが、正しい情報を提供するためにはAIをどこまで介入させるのか、人間の目が行き届くような維持をしつつ活用できるのかといった点に考慮する必要があります。