チャットボットの導入準備をしっかりと行っていないと、チャットボットを導入したのにメリットや効果を得ることができず、コストだけが掛かってしまうという事態に発展することがあります。
チャットボットの導入目的の明確化~導入後のチューニングの重要性などについてしっかりと理解しておきましょう。
この記事では、改めてチャットボットの説明をはじめ、チャットボットのメリット・チャットボット導入の全体像・チャットボットの作り方・チャットボット導入までの期間・導入後のチューニングの重要性などについて説明していきます。
チャットボットとは
チャットボットとは、「会話(チャット)」と「ロボット(ボット)」を掛け合わせた言葉であり、人間相手ではなくロボットと会話ができる技術やサービスのことをいいます。
公式LINEアカウントにメッセージを送ると自動で返信が返ってきたり、Webサイトを見ていると「吹き出しマーク」と「チャット画面」が出てくることがあると思いますが、そのようなシステムの裏側にチャットボットが導入されています。
問い合わせ対応・マーケティング支援に使用する企業が多く、カスタマーセンターでは顧客から寄せられる質問に回答したり、社内ヘルプデスクでは他部署の従業員からの質問に回答するなどの対応を行えるため、担当者の業務負担が軽減されます。
チャットボットについてさらに詳しく知りたい方は、以下のURLの記事をご覧ください。
チャットボットとは?AIとの違い・種類・選び方など、総まとめHummingbird (humming-bird.info)
チャットボット導入の効果やメリット
チャットボット導入の効果やメリットには以下の3つが挙げられます。
①24時間365日稼働可能
②どんな時でも一定の回答が行える
③PDCA不要のマーケティングで売上拡大を狙える
以下で詳しく解説していきます。
24時間365日稼働可能
ネットショップなどにチャットボットを導入しておけば、平日の夜や休日なども関係なく24時間365日顧客からの質問に回答することができます。
顧客が問い合わせしたいタイミングでカスタマーセンター窓口などが営業時間外の場合、問い合わせをするまで待たないといけなくなります。
待っている間に顧客の購買意欲も低下してしまい、売上拡充の機会を逃すことに繋がりかねません。
ですが、24時間365日稼働可能なチャットボットであれば、顧客の購買意欲が下がる前に接客することができますので、そういった機会損失を発生させません。
また、新型コロナに関する問い合わせ対応などが必要な場合、有人で全て対応していますと人件費が大幅に掛かり過ぎて非常に効率が悪いだけでなく、担当者の負担も大きくなります。
チャットボットであれば、同時に何人ものユーザーの問い合わせに対応できるため、人件費の削減・担当者の負担軽減などの効果が期待できます。
どんな時でも一定の回答が行える
顧客の対応を有人で行っていますと、どうしても担当者のレベルによって対応内容に違いが出てしまうことがありますし、場合によっては内容の異なることを伝えてしまい、クレームに発展してしまう可能性があります。
しかし、チャットボットを導入しておくことで、ユーザーから寄せられる質問に対して、いつでも「一定の同じ回答」を行うことができます。
チャットボットはロボットが自動対応しますので、問題のあるクレーマーの対応でスタッフが辛い思いをすることを防ぐことができます。
クレーム防止やスタッフを守るなどのメリットを期待できます。
PDCA不要のマーケティングで売上拡大を狙える
チャットボットを利用したマーケティングは従来のPDCAマーケティングとは大きく違ってきます。
通常のマーケティングでは、ユーザーの意見や要望を頂く場合には、アンケートを行うなどアウトバンドで作業を行う必要があります。
一方でチャットボットはユーザーの意見や要望をダイレクトに貰うことができますので、手間をかけることなくデータ収集が行えます。
商品・サービスは販売したら終わりというものではなく、常に品質向上を重ねていかないといけません。
自社サービスや商品を使用してくれるユーザーの声を集めることが、品質向上に繋がる材料集めだといえるでしょう。
それらの改善を行うことで、企業やブランドのイメージが向上し、更なる売上拡充を狙うことができます。
ユーザーの視点で考えた場合、企業へ直接問い合わせることをハードルが高いと感じる方も多く居ますが、チャットボット相手だと気軽に問い合わせすることができるという声もあります。
自社HPに訪問するユーザーの問い合わせのハードルを下げられる点もチャットボットのメリットといえます。
チャットボット導入の全体像
チャットボット導入の手順・全体像は以下の通りです。
①導入目的・KPIの明確化
②チャットボットに求める機能の洗い出し
③チャットボットの設置場所の選定
④チャットボットツールの比較
⑤チャットボットのシナリオ構築
⑥チャットボットの導入
それぞれの項目について詳しく解説していきます。
導入目的・KPIの明確化
チャットボットを導入する前に最初に行うことは、「導入目的・KPIの明確化」です。
「どういった目的でチャットボットを導入するのか」「チャットボットから得たいメリットはどういったものか」というような導入目的を明確にする必要があります。
最も多い導入目的は「問い合わせ対応の自動化」です。
Webサイト内によくある質問・FAQページを作っていても、ユーザーがページを見つけることができずに電話・メールの問い合わせが減らないという問題を抱えている企業も少なくありません。
このような問題はチャットボットを導入してユーザーが回答に辿り着きやすい環境を整えることで、問い合わせ件数の削減を行うことができます。
その他にも、ユーザーからの問い合わせのハードルを下げる目的でチャットボットを使用するケースがあります。
電話で問い合わせるのはハードルが高い・メールは面倒といったユーザーでも、気軽に問い合わせしやすくなりますし、ユーザーの購入意欲を下げる前に回答を提示することができますので、機会損失を防止する効果が期待できます。
またチャットボット導入の際に中間ゴールである「KPI」を設定しておくことで、目的達成のプロセスが明確になりますし、最終ゴールに辿り着くための改善点も理解できるようになります。
KPIを設定していないと、どの程度の効果が出ているのかが分からなくなりますし、必要のない業務に無駄なリソースを費やしてしまうなどの非効率な運用を行ってしまう可能性が高くなります。
チャットボット導入の際のKPIについてさらに詳しく知りたい方は、以下のURLの記事をご覧ください。
チャットボットの導入効果を測るためのKPIとは?成功事例と一緒に | Hummingbird (humming-bird.info)
チャットボットに求める機能の洗い出し
次に行うことは、「チャットボットに求める機能の洗い出し」になります。
機能に関しては、AI型かシナリオ型のどちらにするのか・有人対応が必要なのかを検討しなくてはいけません。
例を出して説明しますと、以下の通りになります。
定量的な質問に回答させる⇒シナリオ型
自由入力も対応できて、問い合せ数を大幅に削減したい⇒AI型
基本的に自動対応、難しい場合は有人対応に繋げたい⇒有人対応機能搭載
対応させたい要件によって必要な機能・求める機能も変化してきますので、目的の明確化を行いましたら、まずはチャットボットベンダーに相談してみると良いでしょう。
機能以外にも、月額費用・導入時期・外部ツールとの連携が必要になるか等もしっかりと確認しておいてください。
プラットフォームもしっかり検討しよう
(引用:ヘルプチャット |マルイウェブチャネル (0101.co.jp) )
チャットボットを導入するプラットフォームは「Webサイト」「SNS」「アプリ」などに大きく分けられます。
①Webサイト
【メリット】
・ユーザーは登録なしで利用できる
・比較的コンバージョンの高いサイトの訪問者にアプローチが可能
・複数のページにチャットボットを設置できる
・チャット内で該当ページのリンクを提示できるので、ユーザーに導線を提示できる
【デメリット】
・サイトを離れると、その後利用してもらえない可能性高い
②SNS
【メリット】
・ユーザーは使い慣れた画面で利用できる
・ユーザーがHPを離れてもSNS経由でアプローチができる
・LINEの場合、リッチメニューや配信機能などSNS固有の機能と組み合わせた使い方もできる
【デメリット】
友だち登録・フォローしてもらう等、ユーザーからのアクションが必要となる
③アプリ
【メリット】
・Webビューの場合、タグ埋め込みのみで簡単に導入できるケースが多い
・Live2Dとの連携や音声出力等の独自のカスタマイズが可能
【デメリット】
・ユーザーの範囲が限定される
・アプリへのチャットボット組み込みにあたって開発費用が発生するケースがある
チャットボットの設置場所の選定
チャットボットの設置場所を選定する必要があります。
Webサイト上でユーザーとコミュニケーションを行うチャットボットなので、より多くのユーザーに使用して頂くためには、適切なページに設置する必要があります。
そのため、自社製品・サービスの傾向やユーザーニーズに応じた効果的な設置場所を選ばないといけません。
また、複数のページにチャットボットを設置する場合には、費用面を必ず確認しておきましょう。
設置ごとに料金が追加されていくサービスの場合、設置場所が多くなると総額が割高になてしまう可能性があります。
多数のWebサイトを運用している企業の場合では、追加料金なしで設置が可能なチャットボットを選定すると良いでしょう。
チャットボットの選定場所についてさらに詳しく知りたい方は、以下のURLの記事をご覧ください。
チャットボットはwebのどのページに置くべき?利用率を上げるためにできること | Hummingbird (humming-bird.info)
チャットボットツールの比較
自社に導入するチャットボットを決める段階になります。
チャットボットの種類・サービスを提供するベンダー・作成ツールには多くの種類があります。
ベンダーによって機能・料金プラン・導入実績・サポートの内容等、特徴が異なってきます。
複数の候補を絞り込んでから、自社に適したサービスを提供しているチャットボット・ベンダーであるかを比較検討していきましょう。
チャットボットツールやベンダーを選定する場合には、無料トライアルを利用すると非常に参考になります。
トライアル期間のうちに、チャットボットの使用感や現場スタッフの意見などを確認しておきましょう。
先程も少し触れましたが、チャットボットは大きく分けるとAI型とシナリオ型に分けられますが、自社の目的に合ったツールを導入するようにしてください。
チャットボットのツールの比較についてさらに詳しく知りたい方は、以下のURLの記事をご覧ください。
AIチャットボットとは?シナリオ・ルールベース型との違いも | Hummingbird (humming-bird.info)
チャットボットのシナリオ構築
次にチャットボットのシナリオ構築を行っていきます。
シナリオ構築を行うタイミングとしては、契約後・導入前になります。
例を挙げますと、問い合わせ対応を導入目的としている場合では、よくある質問(想定させる質問)と回答を用意しないといけません。
また、コンバージョンを導入目的とする場合には、ユーザーをコンバージョンに導くためのフローを検討する必要があります。
シナリオ構築を難しいと考えている方も多いかもしれませんが、チャットボットベンダーによっては、シナリオを簡単に作成できる仕様・テンプレートを用意している場合があります。
打ち合わせの段階でその点についても確認しておきましょう。
チャットボットの導入
ここからは実際にチャットボットを導入するフローに入ります。
シナリオの確定後は、チャットボットの設置方法や運用体制について確認する必要があります。
その点について問題がない場合には、実際にWebサイト等に設置していきます。
もしくは、LINEや他のツールとの連携を行い、導入完了になります。
チャットボットの作り方
チャットボットの作り方は主に以下の3つの方法があります。
①無料作成ツール
オンラインで配布されている無料作成ツールを使用して、社内で自社向けのチャットボットを作成する方法です。
ITの知識が無くても作成できますし、低コストで利用できます。
作成したチャットボットを社内で運用・調整する必要がありますし、ベンダーのようなサポートは期待できません。
無料版は基本的な機能のみとなりますので、自社の要望を叶えることができないケースも多いといえるでしょう。
②自社開発
社内でシステム開発を行って、チャットボットツールを構築する方法です。
自社の要望に合わせた独自のチャットボットを作成できます。
自由度が高く、特定業務に適した特殊な機能を搭載することも可能になります。
ただし、システム開発に膨大なコストが掛かる・IT専門の有識者が必要になる・維持するためのメンテナンスのコストが掛かるといったデメリットが考えられます。
③ベンダーに依頼する
チャットボットベンダーのサービスを使用する方法です。
専門業者が開発していますので、チャットボットの利便性・操作性が高く、機能面が充実している傾向にあります。
サービスを利用するためには、初期費用・月額費用が掛かりますが、自社開発の場合よりもコストを抑えることができるといえるでしょう。
他社のベンダー製品には搭載されていない機能があったり、サポートが充実しているケースも考えられます。
自社の目的に合わせた相性の良いベンダーを選択すると、快適な運用が行えます。
チャットボットの作り方についてさらに詳しく知りたい方は、以下のURLの記事をご覧ください。
チャットボットの作り方とは?自作とツール使用それぞれの方法を比較 | Hummingbird (humming-bird.info)
併せて専任担当の準備も
チャットボットは導入後も定期的なチューニングを行わないと、効果的な運用を行うことができないツールになります。
そのため、専任担当者を決めておき、1~3人の少数の運用チームを設置しておきましょう。
またどんな社内体制でチャットボットを使用していくのか等、自社体制の確保を行う必要があります。
完全無人対応でチャットボットを運用する場合には、チャットボットが回答できなかった場合の別手段を用意しておかないといけません。
電話・メール等の別口の対応を行う体制を確保しておきましょう。
チャットボットの返答には回答までの目安日数・営業時間等を記載しておくと良いでしょう。
また、チャット上で有人対応を行う場合には、オペレーターのエスカレーションフローを作成しておくと効果的です。
「オペレーターを呼び出します」の回答欄に営業時間・返答までの所要時間の目安を記載しておくと、相手側は親切だと感じるでしょう。
チャットボット導入までの期間
結論から言いますと、チャットボットの導入までの期間は、事前に要件がまとまっている状況で即日~1週間程度、シナリオ代行やチャットボットベンダーに依頼する場合には1~3ヶ月程度となります。
ただし、導入後の運用が上手くいくことが重要になりますので、焦って導入せずに分からない点をしっかりとベンダーに相談しながら導入を進めるようにしましょう。
チャットボットは導入後の改善が必須
チャットボットは導入すれば終わりというツールではなく、導入後のチューニングが必要になってきます。
チャットボットが使用される状況や環境に合わせて、適切な回答を行っていけるようにチューニングを行わないといけません。
回答のチューニングを行うための理由は以下の2つになります。
①ユーザーに適切な回答を行うため
事前によくある質問と回答のセットを用意しておいたとしても、それ以外の質問が多く寄せられることもあります。
実際に寄せられるユーザーからの質問を反映しておくことで、チャットボットの精度が向上します。
②ユーザーの離脱を防ぐため
チューニングを行わないと、回答率が低い状態が続いてしまい、ユーザーは最終的にチャットボットを使用して頂けなくなります。
「チャットボットに問い合わせても、回答が手に入らない」と判断されてしまうからです。
そういった事態を防ぐためにも、チャットボットのチューニングが必要になります。
チャットボットのチューニングについてさらに詳しく知りたい方は、以下のURLの記事をご覧ください。
チャットボットの運用にはチューニングが重要!ポイントや背景を解説 | Hummingbird (humming-bird.info)