社内問い合わせ業務を抜本的に見直したいと考えるバックオフィス部門の担当者が、最初の一歩を踏み出せずにいるケースは非常に多いです。
- マニュアルや手順書を確認すれば、自分で対応できる問い合わせばかり寄せられる
- 全く同じ内容の社内問い合わせを1日に何回も対応している
- 社内問い合わせの対応が忙しくて、本来の業務が終わらない
結局何から手をつければいいのかわからないという声にお答えするべく、この記事ではバックオフィス部門の担当者が迷わずに改善を達成できるよう課題の発見・分析からその解決法までをまとめて解説します。さらに、個別の対応だけでなく社内問い合わせ業務全体の業務効率化にむけた手順やシステムを導入するときのポイントについても徹底解説しております。
この記事を読めば、これから社内問い合わせ業務の見直しを始めるバックオフィス部門の担当者が最適な管理体制をつくりあげるまでに本当に必要なメゾットが全てわかります。
社内問い合わせ業務について
社内問い合わせ業務は人事や総務、経理といったバックオフィス部門とシステム管理部門に寄せられる社員からの問い合わせに対応する業務を指します。
・人事、総務:勤怠や就業規則、社会保険、福利厚生など
・経理:経費処理、課税区分、勘定科目の確認など
・情報システム:デバイス管理と手配、社内システムやITツールの使い方、PCトラブルの対応など
最近は「副業の解禁」や政府の「少子化対策」、「DX化にともなう新しいツールの導入」の動きが活発で、これらに関する問い合わせは増える傾向にあります。
人や数字、システムなど主に社内の管理を行う部署は、社内からの問い合わせが集まりやすいので社内問い合わせ業務が増加します。
社内問い合わせ業務の課題
社内問い合わせ業務の課題は「社内問い合わせの発生」、「社内問い合わせの管理」、「社内問い合わせの対応」の3つに区分できます。
段階ごとの課題について一つ一つ解説していきます。
自己解決が困難な状況(社内問い合わせの発生)
社員の自己解決を阻害する原因はマニュアルやFAQの「未作成」と「未更新」の2つにわけられます。
社員が問題を解決するためにマニュアルやFAQは必須になりますので、未作成の場合は問い合わせをするほかに選択肢がない状況です。
また、マニュアルやFAQの内容が更新されていない場合、現状の実態に合っていないもしくは情報が古いままになっています。このような状況では問題を解決することはできないので、結果的に問い合わせに頼らざるを得なくなります。
社員が自己解決できない状況が続くことによるマイナス面はいくつかあります。
- 負荷が減らない
マニュアルやFAQの活用で簡単に解決できるトラブルに対する問い合わせを削減できないので、問い合わせ対応の負担は軽減されないままになります。
- 同じ内容の問い合わせが頻発する
マニュアルやFAQの不備やわかりづらいポイントを放置していることで、何度も同じ問い合わせに対応することになります。問い合わせの削減につながりますので早急な修正が必要です。
社内問い合わせの一元管理ができていない(社内問い合わせの管理)
社内問い合わせの一元管理とは、問い合わせを受け付ける場所や経路を一つに集約して管理することです。
担当者が個人で問い合わせを受け付けることで複数の窓口が存在してしまいます。
組織としての窓口を設定して、問い合わせの入り口を一つにすることが必要です。
また、最近は電話やメールだけでなくチャットやSNSなどコミュニケーションの方法は多岐にわたります。社内問い合わせで使用する連絡手段を一つに絞ることで連絡経路を限定できます。
社内問い合わせの一元管理ができていないことで、以下の悪影響が生じます。
- 余計な手間が増える
問い合わせをする側と受ける側の両方にデメリットがあります、問い合わせをする側は「だれに」、「なにを」を問い合わせるべきかを都度調べることが求められます。
問い合わせを受ける側は問い合わせの内容が自分の担当ではなかった場合、正しい担当者への取り次ぎが必要です。
- 問い合わせの状況が把握できない
問い合わせの件数や担当者、進捗状況など現状の把握が難しくなります。
最悪の場合、問い合わせ対応の抜け漏れが発生するリスクがあります。
- データを活用しづらい
問い合わせの履歴など情報の管理方法には個人差があります。そもそも履歴を残さない場合や履歴を残していても情報の区分や項目などにばらつきが生じるため、扱いづらいデータになってしまいます。
業務が属人化している(社内問い合わせの対応)
バックオフィス部門に寄せられる社内問い合わせの対応には専門性の高い知識が必要になるケースがあり、その業務に精通しているもしくは経験豊富な担当者に任せられることが多くなります。これにより、社内問い合わせ業務が特定の担当者に集中して、対応者が限定されてしまう状況が「業務の属人化」です。
業務が属人化することで、さまざまな弊害が発生します。
- 業務の負担が集中する
社内問い合わせ業務は特定の担当者が一人で対応することになるので、その担当者の負担が増加する。
- 問題解決までに時間がかかる
特定の担当者が休暇もしくは退職などで不在にしている場合は、知識や経験が乏しい担当者が対応することになります。不慣れなうえに対応方法を自分で調べる必要があるので、問題を解決するまでに多くの時間を要してしまいます。
- 社内問い合わせに対応しきれない
社内問い合わせが集中して、特定の担当者だけでは対応が困難な場合は複数の担当者で業務を分担する必要があります。しかし、業務が属人化している影響で社内問い合わせへの対応が停滞してしまいます。
社内問い合わせ業務の課題を解決する方法
社内問い合わせ業務の課題は「社内問い合わせ管理の仕組みの構築」、「チャットボットツールの導入」で解決することができます。
それぞれの解決法について解説します。
社内問い合わせ管理の仕組みの構築
社内問い合わせを管理するには「問い合わせ窓口の統一」、「問い合わせ履歴の作成」が必要です。
それぞれの内容について解説します。
問い合わせ窓口の統一
社内問い合わせを一元管理するには窓口の一本化が必要です。
部署ごとに窓口の担当者を設定して、問い合わせの受け付けから担当者の割り振りまでを行うことで業務負荷を分散できます。
また、利便性が高いことから電話よりもメールやチャットなどの連絡手段を利用するべきです。
問い合わせ履歴を作成
問い合わせ履歴の管理はいわゆる台帳などで行う方法もありますが、転記などの手間がかかり陳腐化する恐れがあります。しかし、メールやチャットを利用すればやり取りをそのまま残すことができます。
チャットボットツールの導入
チャットボットとは、「会話(チャット)」と「ロボット(ボット)」を掛け合わせた言葉であり、人間相手ではなくロボットと会話ができる技術やサービスのことをいいます。
公式LINEアカウントにメッセージを送ると自動で返信が返ってきたり、Webサイトを見ていると「吹き出しマーク」と「チャット画面」が出てくることがあると思いますが、そのようなシステムの裏側にチャットボットが導入されています。
社内ヘルプデスクでは他部署の従業員からの質問に回答するなどの対応を行えるため、担当者の業務負担が軽減されます。
チャットボットについてさらに詳しく知りたい方は、以下のURLの記事をご覧ください。
チャットボットとは?AIとの違い・種類・選び方など、総まとめHummingbird (humming-bird.info)
社内問い合わせ業務の効率化にむけたロードマップ
ここまでは個別の課題に対する解決策について解説しましたが、部分的な課題への対策は応急処置のようなものです。社内問い合わせ業務の根本的な問題の解決には、以下の4つの手順に沿って社内問い合わせ業務全体のフローをつくりあげることが必要です。
- 現状の把握
- あるべき姿の追及
- 新しい業務フローの構築
- システム導入の検討
1.現状の把握
現状の業務フローにおけるボトルネックや問題点を明確化することは、業務改善に取り組むうえで必要不可欠です。現状の分析が不十分なまま、行き当たりばったりで業務効率化を進めていくのはリスクが大きいといえます。
どういった課題を解決して、何を達成したいのかといった業務効率化のゴールを見失わないためにも現状の把握と分析はていねいに行う必要があります。
2.あるべき姿の追及
ここでは社内問い合わせ業務の理想的な業務フローをつくりあげていきます。普段の業務を行うなかで感じる「こうしたほうが楽なのに」、「ああしたほうがスムーズなのに」などの不満は改善のアイディアです。それらのアイディアを業務フローに組み込むことで理想の業務フローができあがります。
その業務における本来のあるべき姿をインプットすることは、最終的な成果物のクオリティを高めることにつながります。
3.新しい業務フローの構築
理想の業務フローに基づいて、新しい業務フローを構築します。理想の業務フローをそのまま使えることがベストですが、社内ルールなどの制約があり、実際の運用に合わせた変更が必要になるケースが多いです。
自部署だけでなく、他部署も巻き込んで取り組む業務改善はハードルが一気に高くなります。
業務効率化の目標を達成するために重要なポイントかを見極め、状況に応じて社内ルールの変更や他部署に働きかけをすることは、業務の効率化を進めるうえで必要になります。
4.システム導入の検討
システム導入は新しく構築した業務フローをブラッシュアップする役割です。新しい業務手順のなかで、システム導入が可能な部分はシステムに置き換えることで業務効率化の改善効果を最大化できます。
社内問い合わせ業務のシステム化にはチャットボットツールや社内FAQの導入が適しています。チャットボットツールがマニュアルとして機能するだけでなく、窓口や問い合わせ方法の一本化も可能です。「困ったことはチャットボットや社内FAQで解決できる」を社員の新しい常識にすることが、社内問い合わせ業務の効率化における成功のカギといえます。