IT化が進んでいる現在では、公式LINEアカウント・WEBサイトなどに「チャットボット」を導入している企業が増加しています。
この記事では、チャットボットの概要・種類と料金相場の解説をはじめ、無料でチャットボットを作成する方法・無料で利用できるチャットボットの種類やメリット・無料チャットボットツールの注意点などについて詳しく解説していきます。
チャットボットとは
チャットボットとは、「会話(チャット)」と「ロボット(ボット)」を組み合わせた造語であり、自動会話プログラムのことを指します。
LINE・Facebook・Messenger等のメッセージアプリといった、文字でコミュニケーションを取るチャットツールやSNS上でユーザーから寄せられたよくある質問などに「自動返信」を行うものをチャットボットと呼びます。
Webサイトの右下に表示される「吹き出しマーク」と「チャット画面」などのシステムの裏側にもチャットボットが導入されています。
チャットボットは大きく分類しますと、「シナリオ型」と「AI型」の2種類に分けられます。
チャットボットについてさらに詳しく知りたい方は、以下のURLの記事をご覧ください。
チャットボットとは?AIとの違い・種類・選び方など、総まとめ
チャットボットの種類と料金相場
チャットボットには、AIを搭載していない「シナリオ型」とAIを搭載している「AI型」の2種類があり、チャットボットの利用費用の相場は「性能」と「ベンダー」によって大きな開きがあります。
チャットボットの費用に大きく影響しているのは以下の2点になります。
①人工知能を搭載しているか
チャットボットは人工知能を搭載しているもの・搭載していないものがあり、人工知能を搭載している所謂「AI型」のチャットボットの方が高額になります。
②個別のカスタマイズ開発ができるかどうか
システムには決まった操作しかできないもの・個別のカスタマイズ開発ができるものがあり、自社システムとの連携や一般的には使用しない機能に対応したカスタマイズ開発を行うと高額になります。
また、チャットボットの導入・運用にかかる費用は以下の3点になります。
①初期費用
最初の利用環境の整備として初期費用が発生します。
・シナリオ型:0~5万円程度
・AI型:10~50万円程度
②月額費用
月額費用の相場は大きく3つの価格帯に分類できます。
・5万円以下
・10~30万円程度
・30万円以上
③その他の費用
初期費用や月額費用の他にも、その他の費用として発生する料金は以下の通りです。
・導入サポート費用
・運用サポート費用
・個別のカスタマイズ費用
無料でチャットボットを作成する方法
無料でチャットボットを作成する方法には、「チャットボットツールを利用する」「APIを利用して開発する」「フレームワークを使って開発する」などの方法があります。
チャットボットツールを利用する
チャットボット作成ツールを使用して作成する方法は、最も簡単な方法といえます。
多くのチャットボット作成ツールではプログラミングのスキル・知識は必要になりませんし、画面を見ながら直観的に操作してチャットボットを作成することができます。
しかも、少なくない作成ツールが無料で利用できる場合も多く、無料トライアル期間を利用できるケースもあります。
APIを利用して開発する
SNSなどが提供しているAPIを使用して開発を行う方法です。
日本においてはFacebook・LINE・Slack・Kik等がチャットボット用のAPIを提供しています。
Facebookでは「開発者ツール」が提供されており、自社開発したアプリ・システムとの連動が可能です。
APIを使用して作成する方法も比較的に簡単であり、多くの場合無料で利用できます。
しかし、使用したいプラットフォームごとにそれぞれの設定をする必要があること、クロスプラットフォームでの運用ができないなどのデメリットがあります。
フレームワークを使って開発する
その他にも、チャットボット開発フレームワークを使用して作成する方法があります。
フレームワークとは、あらかじめ用意されたプログラムの「ひな型」のことをいいますが、フレームワークを使用するとゼロからプログラムを書くことなく、チャットボットの作成が可能です。
チャットボットの開発フレームワークで人気のものは以下の通りです。
- Rasa
- Wit.ai
- Botpress
- BotKit
- DeepPavlov
- Microsoft Bot Framework
- Amazon Lex
メリットとしては、自由度が高くスケーラブルなチャットボットの開発を行うことができる点です。
多くのフレームワークにAIが搭載されているため、インテリジェントなチャットボットの開発も可能になります。
その他にも、クロスプラットフォームでの運用も可能になります。
デメリットとしては、プログラミング・システム開発のスキル・知識が必要になる点、多くのフレームワークのサポート・マニュアルなどが英語で提供されている点などが挙げられます。
無料プランのあるチャットボット
無料プランが用意されているチャットボットをご紹介していきます。
HubSpot
HubSpotはHubSpot Japan株式会社が提供しているマーケティングツールのことであり、その機能の一部にチャットボットがあります。
事前にチャットボットのテンプレートが用意されているので、コーティング不要で始められる特徴があります。
企業の利用目的に合ったテンプレートを選択して、ビジュアルエディターでカスタマイズするだけですので、設定や操作は簡単です。
また、ユーザーと自然なコミュニケーションを取ることができますし、HubSpotのCRMと結合されていますので、蓄積された「問い合わせ情報」を活用することで、ユーザーに対して親しみを感じさせる個別のメッセージを送ることができます。
チャットボットの機能が制限される点には注意が必要ですが、無料でチャットボットツールを使用することができます。
無料のチャットボット作成ツール | チャットボットサービスならHubSpot(ハブスポット)
anybot
anybotはエボラニ株式会社が提供しているシナリオ型チャットボットツールになります。
電話・メール等のオムニチャネルで自動接客を実現できる点が魅力といえます。
ユーザー数の多いLINE・Facebook・Messengerなどのプラットフォームにも導入可能です。
顧客データを自動分類や保存することで、セグメントごとにふさわしい接客を行えます。
簡単なドラッグ・ドロップ操作が可能ですので、慣れれば非常に使いやすくなるでしょう。
チュートリアルも用意されていますので、手順に沿って作成しながら操作を覚えることができます。
基本的な機能は無料プランで利用でき、有料プランではCRM・アプリでの販売促進機能が提供されています。
daab
daabは株式会社L is Bが提供する「direct」というビジネスチャット専用のチャットボットツールになります。
daab SDKという専用のボット開発ツールを使って本格的なチャットボットの作成が可能となります。
位置情報・アクションスタンプ・既読者や未読者の取得等、組み込める機能が豊富である点がメリットといえるでしょう。
開発次第になりますが、Google Apps・Microsoft Office365・kintone・moreNOTEなどの外部サービスとの連携も可能です。
daabはdirect専用のチャットボットですので、directの利用が前提となります。
無料プランはユーザー数が10人までと限られていますので、社員数が多くなる場合には有料プランの契約が必要となります。
daabはビジネスチャットのdirectと企業をつなげる新しいコミュニケーション。direct向けbot開発ポータルサイトです。 (direct4b.com)
チャネルトーク
チャネルトークは株式会社チャネルコーポレーションが提供しているマーケティングツールであり、その機能の一部にチャットボットがあります。
Webチャット・公式LINEアカウント・Instagramビジネスアカウントと連携が可能で、一元管理ができます。
顧客対応中に社内チャットへ切り替えることもできますので、問い合わせ内容を社内で共有しながらユーザーに対応することができます。
無料プランでは問い合わせの閲覧制限が30日間である点・機能が制限される点に気を付けましょう。
有料プランは14日間のお試し期間があるので、検討している際にはご利用ください。
チャネルトーク – お得意さんを作る接客チャット (channel.io)
GoQSmile
GoQSmileはGoQSystemが提供しているチャットボット作成ツールになります。
Webサイト・LINE・Facebook・Messengerに加えて、Yahoo!・au PAYマーケット・MakeShop・futureshop・EC-CUBEなどのECサイトでの運用も可能です。
ワードプレスのプラグインにも対応しており、ワードプレスユーザーには打ってつけであるといえます。
単純なチャットに加えて、チャットしながらおすすめの商品を提案したり・特集ページに誘導するなどの使い方もできます。
AIチャットボットサービスGoQSmile(ごくースマイル)なら直感的な操作で簡単
無料チャットボットツールのメリット
無料チャットボットツールのメリットには、「導入に関するコストは掛からない」「使用感を比較出来る」などのメリットが挙げられます。
導入に関するコストは掛からない
チャットボットにはシナリオ型チャットボットとAI型チャットボットの2つがありますが、初めてチャットボットツールを導入する際にはどちらの種類のチャットボットが自社に適しているのかを検証する必要があります。
導入コストが掛からない「無料プラン」「無料トライアル」が用意されているチャットボットツールがありますので、実際に使用してみて自社のサービスに合ったものを検討するようにしてください。
使用感を比較出来る
チャットボットツールは種類によって搭載されている機能が異なります。
そのため、自社の目的を達成できるチャットボットを導入する必要があります。
チャットボットを導入する目的は、顧客満足度向上・問い合わせ削減によるバックオフィスやコールセンターの負担軽減など企業によって異なります。
コールセンターの負担を軽減する際には、Q&Aの登録機能・有人チャットへの切り替え機能が搭載されたチャットボットツールが向いているといえます。
顧客満足度の向上を目的とする際には、リード情報の取得機能が搭載されたチャットボットが向いています。
無料プラン・無料トライアルを利用して、どのチャットボットツールが自社に向いているのかを見極めていきましょう。
無料チャットボットツールの注意点
無料のチャットボットツールの注意点としては、以下のものが挙げられます。
以下で詳しく解説していきます。
運用に掛かる人的コスト
無料のチャットボットであったとしても、導入した後は定期的に改善していかないと効果を期待することができません。
そのため、アップデートを行う運用担当者が必要になりますので、「人的コスト」が必要になります。
チャットボットは導入した後に一切更新せずに放置していると、使用者が正確な情報に辿り着けなくなりますので、最終的に利用して頂けなくなります。
そうならないためにも、事前に運用担当者を決めてスケジュールを立てて運用サイクルを回していく必要があります。
利用出来る機能が少ない場合が多い
無料のチャットボットは、基本的に利用できる機能が制限されているケースが多い傾向にあります。
「FAQの登録数」や「設置するプラットフォーム」が限られているケースが多く、個別サポートも存在しないことが多いといえます。
無料のチャットボットでは機能が制限されているため、効果を得ることができない場合が多いですが、その場合にはサポートが充実している「有料チャットボット」の導入も検討してみてください。
外国語のみの対応の場合が多い
無料のチャットボットツールは多く存在しますが、日本語に対応していないツールもありますので注意が必要です。
導入後は改善をしながら運用していく必要がありますが、日本語に対応していないツールだと非常に運用しにくくなるでしょう。
さらにカスタマーサポートへの問い合わせも日本語以外の外国語になるケースが多いため、注意が必要です。
チャットボット導入の目的を明確化し、自社に合うツールを選定する
先程も少し解説したと思いますが、チャットボットツールを導入する際には「導入目的を明確化し、自社に合ったツールを選定すること」を心掛けましょう。
また、目的が曖昧なままで導入してしまうと効果が出にくくなります。
チャットボットの種類や機能はツールによって大きく異なってきますので、どのようなツールを選ぶことが自社の課題を解決できるのかを明確にした方が、導入後の効果は期待できるでしょう。