Magentoは、アメリカ生まれの越境EC専用プラットフォームです。
世界で最も人気といわれる多機能なオープンソースソフトウェアであり、最近日本でも注目度が上がっています。
日本の有名企業も活用している「Magento」とは、どのようなECプラットフォームなのか、この記事でわかりやすくご紹介していきます。
Magentoとは?
Magento(マジェント)とは、米国Magento社が開発したオープンソースソフトウェアです。
多くの言語や通貨に対応し、また多機能でありながら使いやすい設計であることから国際的に人気のある越境ECプラットフォームです。
Magento社が「acrobat」などのソフトで有名なAdobe社の資本傘下となったことで、知名度のなかった日本でも注目されるようになっています。
Magentoのシェア
Magentoのシェアについては、eコマーステクノロジーを使ったWebサイト全体の使用率では3位となっています。
1位はWooCommerce(28%)、2位はShopify(20%)、それに続くMagento(9%)ですが、世界のeコマース上位100万サイトのうちのTop3ですので高いシェアを獲得していると言えます。
(https://trends.builtwith.com/)
Magentoの特徴
Magentoの最も大きな特徴は、eコマース専用のCMSプラットフォームであることです。
その他にも下記のような特徴があります。
- 標準機能だけで買い手にも運用者にも使いやすいECショップが開始できる
- B2CにもB2Bにも強い
- ECモールや様々な有償、無償のシステム、アプリとの連携が可能
- オープンソースのためカスタマイズにも柔軟に対応
- スマートフォン利用の増大に対応したモバイル・フレンドリー・テクノロジー機能
- 多言語、多通貨、税管理のグローバルな対応
- 複数のECストアを1つの管理画面で構築できる
参考:https://www.j-grab.co.jp/magento/
Magentoのメリット・デメリット
様々な特徴のあるMagentoですが、そのメリットやデメリットについて、どのようなものがあるか解説していきます。
Magentoのメリット
まずはMagentoについて3つのメリットをご紹介します。
複数のWebサイトを一括で運用
Magentoでは、複数のWebサイトを一括で運用することができます。
一般的には、複数のWebサイトを運用したい場合、2つ以上のサイトを別々に運用したり、海外用のサイトを別サーバーで管理しなければならないなど、大変な手間と人手が必要となります。
しかしMagentoでは、ブランド別や国別など複数のサイトも一括で運用できます。バックエンドも国境をも気に掛けることなく構築・運用できることが大きなメリットと言えます。
多機能・高性能・拡張性
Magentoのプラットフォームには、あらかじめ多くの機能が搭載されているため、他社のアプリ・プラグインを導入せずとも多くの機能を擁したECサイトの構築が容易です。
また、商品データが大量であっても問題のない処理速度で使用できる性能の高さも備えています。
さらにソースコードが開示されているオープンソースであり、自由にカスタマイズできる拡張性も特徴です。
これら多機能・高性能・拡張性は、他のプラットフォームを凌ぐ大きなメリットと言えます。
無料版でも十分使用に耐えうる
Magentoには有料版がありますが、無料版であっても十分使用に耐えうることもMagentoを利用するメリットです。
無料のオープンソース版もセキュリティはクレジットカードのセキュリティと同等(PCIDSS認証)の高い基準を誇ります。
また、無料版は公式サポートの対象外ですが、登録30万人を超えるコミュニティにより有料に劣らないサポートを受けることが可能となっています。
無料で高度なセキュリティを持つECサイトを構築できるのは、コスト面でも大変大きなメリットとなります。
Magentoのデメリット
大きなメリットがあり魅力的なMagentoですが、一方でデメリットも確認しておく必要があります。
ここでは2つのデメリットについて説明していきます。
使用がやや複雑
メリットで紹介したように多機能であるがゆえに、使用がやや複雑となる面がデメリットといえます。
また、Magentoは日本語に対応してはいますが、構築や運用についての情報はそのほとんどが英語によります。
拡張機能(エクステンション)やテーマを入手するにも英語サイトからとなるため、思いどおりの開発や構築をするには英語力が必要であり、ハードルが高いと言わざるを得ません。
使用開始まで時間が掛かる
多機能なプラットフォームで自らサイトの構築を作りこめるMagentoですが、それだけにECサイトを使用開始できるまでには時間が掛かることがデメリットのひとつです。
特に「STORES」や「BASE」といった「簡単にネットショップを作れる」プラットフォームと比べた場合、特に時間が掛かると感じてしまうかもしれません。
しかし、はじめから海外を視野に入れている、複雑な構築を考えているといった場合には、多くの機能を持ち拡張性のあるMagentoのほうが効率的で早く使用開始できることもあります。
Magentoの費用・料金プラン
Magentoのメリット・デメリットを把握したところで、次は費用や料金プランについて紹介していきます。
無料のオープンソース版
「Magento Open Source」がいわゆる「無料版」のMagentoです。
文字どおりオープンソースとして公開しており、誰もが無料で利用可能。カスタマイズも自由です。
エクステンション(有料・無料あり)による拡充も自由です。
有料のMagento Commerce
有料版は「Adove Magento Commerce」です。
無料版のオープンソースでは足りない大規模ECなどは、高度なカスタマイズを行うために有料版を利用しています。
無料版と有料版の違い
無料版と有料版の違いは、主に機能面です。
有料版には無料版にない高度な機能があります。
ページビルダー、BtoBとしてスムーズに運営するための機能、高度なカタログ管理、複数倉庫に対応する在庫・配送管理、パーソナライズな価格調整・プロモーション管理などがその一例に上げられます。
開発会社の費用目安
高度な英語力や情報を読み解く理解力・対応力が必要なMagentoによるECサイトの構築には、開発会社の利用も選択肢の一つです。
開発会社を利用する際の費用の目安は、構築費として300万~600万円程度といわれます。
金額に幅があるのは、ECサイトの対象範囲や言語の数によっても費用が変わること、またオプションの追加に伴い金額が増える場合があるためです。
Magentoが向いている企業
様々なECプラットフォームがある中で、Magentoが向いているのはどのような企業でしょうか。
越境ECを行いたい場合
Magentoは他社のECプラットフォームより圧倒的に越境EC向きの機能が多くあります。
特に多くの言語や通貨に対応していることや、複数サイトを一括管理できる特徴により、日本のみならず国外でのECサイトを構築したい企業のニーズに応えてくれます。
このことから、Magentoは越境ECを行いたい企業に向いていると言えます。
大規模な運営を行いたい場合
ECサイトで売上億クラスの大規模な運営を行いたい企業にもMagentoが向いています。
規模が大きくなるということは、商品数や顧客・注文の情報などプラットフォームのパフォーマンスが悪化するほどの膨大なデータを取り扱うということです。そして規模が大きくなるほど、独自の柔軟なカスタマイズが必要になってくるものです。
最初にパッケージ型ECサイトやASPを利用していても、いずれ規模が大きくなれば乗り換えの検討を余儀なくされます。乗り換えの作業自体にも大変なリソースが必要です。
当初から大規模な運営を行いたい場合は、Magentoによるサイト構築がおすすめです。
BtoBのECサイト運営の場合
Magentoのオープンかつ拡張性の高いプラットフォームはBtoBのECサイト運営に向いています。
Magentoの機能だけでなく、他社製のエクステンション(拡張機能)も追加利用することで、よりBtoBの環境に適したサイト運営を実現できます。
B2B向コマース製品ベンダー各社へ調査したレポート「Forrester Wave™:B2Bコマーススイート(2020年第2四半期)」においては、Magento CommerceがB2B向けコマース製品市場のリーダーと評価されています。
(https://magento.com/ja/resources/forrester-wave-b2b-commerce-suites-q2-2020)
Magentoの導入事例
では実際にMagentoを導入している企業について、その事例をご紹介していきます。
ネスレ
コーヒーやお菓子などで日本人に馴染みの深い「ネスレ」。日本の公式オンラインショップでMagentoが使用されています。
実はサイトで見える画面は他のCMS、購入機能や管理画面などはMagentoが採用されているという、Magento特有の柔軟でシームレスなカスタマイズを活用している代表的な事例といって良いケースです。
ネスレは日本のほか、イギリスやアメリカのオンラインショップもMagentoを採用しています。
ネスレ日本HP(https://shop.nestle.jp/front/contents/top/)
ぺんてる
文具の大手メーカー、ぺんてる株式会社はアメリカに向けたeコマースのサイトにMagentoを採用しています。
日本の企業がグローバル展開に利用している事例の一つです。
Pentel of America(http://www.pentel.com/)
モノタロウ
工具やオフィス用品といった事業者向け関節資材オンラインショップで有名な「モノタロウ」は、インドネシア向けサイトでMagentoを採用しています。
海外展開の一例であるとともに、商品点数1,800万点という大規模BtoBのeコマースサイトとして利用されている事例になります。
monotaro.id(Indonesia/インドネシア) (https://www.monotaro.id/)
EC運営に合わせて確認したいこと
EC運用に合わせてSNSの運用は出来ていますでしょうか?
ECにおいて、SNSの活用は必須です。
LINEやInstagramをECに活用した事例を下記にてまとめていますので、併せてぜひご覧ください。