「チャットボット」という言葉が徐々に浸透してきた2021年。
しかし、実際にどのようなチャットボットがあるのか、具体的なイメージをお持ちの方は少ないのではないでしょうか。
この記事では、「使いやすい!」「そんな使い方もありなのか!」と思えるようなユニークなチャットボット(WEBチャットボット・LINEチャットボット)を業種別に紹介します。
またチャットボット事例の紹介に先立ち、チャットボットの用途や活用方法、インターフェースについてご紹介するほか、そしてチャットボットの失敗事例や選び方についてもご紹介いたします。
※画像は特に記載がない限り、全て各社ホームページおよびチャットボットが出典です。
チャットボットの用途・活用方法、インターフェース
まず初めに、チャットボットにどのような用途・活用方法があるか、どのようなインターフェースがあるかについてご紹介します。
用途・活用方法
チャットボットの用途は、大きく「マーケティング」と「業務効率化」に分けられます。
マーケティング用途
マーケティング領域では、「認知を広める」「見込み顧客を獲得する」「顧客を育成する」「コンバージョンさせる」「アップセルに繋げる」「ファンコミュニティを作る」など、マーケティングファネルの最初から最後まで幅広い領域でチャットボットを活用することができます。
業務効率化用途
業務効率化用途では、主に「社内ヘルプデスク」「顧客対応」の2軸でチャットボットを活用することができます。金銭的・人的コスト削減を目的としていることが多いです。
インターフェース
続いてインターフェースについてです。
チャットボットを活用できるインターフェースはたくさんありますが、最もポピュラーなものとして「LINE」と「WEB」が挙げられます。それ以外にも「Facebook Messenger」「Twitter」など、SNSを活用できるベンダーもいます。
チャットボットについてより詳しく知りたい方は、ぜひ以下の記事も参考にしていただければと思います。
チャットボットとは?AIとの違い・種類・選び方など、総まとめ
チャットボットの最新事例12選
まずは、チャットボットの最新事例を業種別に12個紹介します。
ここで紹介しているチャットボットはインターフェースはさまざまですが、それぞれユニークな使い方をしています。ぜひ、自社チャットボットのアイデアに活用してみてください。
小売・メーカー
グリコ【WEB】
グリコは、お問い合わせ窓口(お客様センター)に、「グリコ製品を販売しているお店」を探せるユニークなWEBチャットボットを設置しています。
購入したい商品を入力し、郵便番号や住所などを入力すると、半径5km以内にあるグリコ販売店舗を近い順に紹介してくれます。半径5km以内にグリコ販売店舗がない場合は表示されません。
どうしても今すぐ300メートル走りたい!そんな時にぴったりかも・・・!?
キリン【WEB】
キリンは、お客様相談室にAIチャットボットを設置しています。(タイミングによっては、有人チャット対応もあるようです。)
キリンが設置しているWEBチャットボットはよくある質問(FAQ)対応なのですが、特筆すべきはその網羅性。カテゴリ別に、「よく聞かれるであろう質問」がかなりたくさんサジェストされるのです。
例えば、CMについての質問・回答や販売している商品についての質問、2021年3月10日現在行われている「続けよう!iMUSEキャンペーン」の最新情報などもチャットボットで得ることができます。
メンテナンスが頻繁に行われていることが伺えるチャットボットです。
LOHACOまなみさん【WEB】
アスクルが運営する、非常に有名なチャットボットのひとつ「LOHACOまなみさん」。これまでは自社サイトでのみ働いていたまなみさんですが、LOHACO PayPayモール店でも勤務を始めています。
CYBER SUNDAY(サイバーサンデー)や「Tポイントを利用して購入した場合の配送料」など、PayPayモールの特徴に対応しているのが特徴です。
ノーリツ / お湯net【LINE】
湯回り設備メーカー ノーリツが運営する「ノーリツ / お湯net」LINEチャットボットでは、ノーリツの製品(給湯器など)を使っているお客様向けに製品検索・問い合わせができる機能を搭載しています。
給湯器の取り替えや、取り替え機種の検索にはカタログ確認や担当者への電話問い合わせなどが必要となり、お客様にとって大きな負担になることがあったようです。
ノーリツ / お湯netでは型番から自宅で使っている給湯器の製品情報を確認できます。また、修理を依頼したい際は、事前に給湯器や厨房機器に問題がないかをチャットボットで確認した上でサポートにつなぎます。
サポート担当者も、「どこに問題が起きているのか?」を確認してからサポートに入れるので、業務を大きく効率化できているのではないでしょうか。
自治体
渋谷区①【WEB】
渋谷区が運営するAIチャットボット総合案内(WEBチャットボット)では、市民が相談したいと思う、幅広いカテゴリにおいて総合的に対応することが可能です。
最初に提案されるカテゴリだけで、こんなに種類が!
その中で、新型コロナウイルス対策の施設休館について質問すると、上記のような回答が返ってきます。広範なカテゴリの質問を受け付けることで、「どこに問い合わせたらいいかわからない」という問題を解決しています。
渋谷区②【LINE】
渋谷区、なんとLINEもすごいんです。住民票がLINEで申請できたり(条件あり)、
公園や道路の不具合などを写真付きで通報することもできます。12マスに分かれたリッチメニューの見せ方も素晴らしいです。
物流
西濃運輸【WEB】
西濃運輸チャットサポートでは、配達に関わるさまざまな質問に回答しています。
ただちょっと残念に思うのは、回答全てが「外部ページに遷移させる」形になっていること。チャット上で集荷依頼・再配達依頼などができたらより便利かもしれません。
旅行
楽天トラベル【WEB】
楽天トラベルでは、カスタマーサポート用にWEBチャットを設置しています。対応時間内であれば必要に応じてオペレーターとチャットをすることも可能です。
表示された選択肢に沿って選んでいくだけなので、チャットボットの使い方に慣れていない方でも簡単に利用できるのではないでしょうか。
アパレル
マガシーク【WEB】
MAGASEEKでは、ヘルプページにチャットボットを設置して選択型+フリーワード入力型のハイブリッドチャットボットを提供しています。
フリーワードでは、入力した文字に応じて質問予測がサジェストされます。これは嬉しい機能ですね!
金融
みずほ銀行【WEB】
みずほ銀行が提供するWEBチャットボット「あおまる」は、ヘルプページにてフリーワード+選択型のチャットボットを提供しています。
「フリーワード+選択型」は多いですね!オーソドックスな型と言えるかもしれません。
学校・教育機関
フェリス女学院大学【WEB】
フェリス女学院大学は、選択型メイン(フリーワード検索も可能)なチャットボットを提供しています。
基本的には学生要覧に飛ばすような回答になっていますが、分厚い学生要覧のどこを見たら良いのかがわかるだけでも学生にとっては価値がありますね。忙しい学事の方の負担軽減にもなりそうです。
飲食
TABLE REQUEST【LINE】
TABLE REQUESTは、LINEを用いて空いているレストランの検索&予約ができるサービスです。
日付や時間、人数、場所、希望ジャンルなどをフローに沿って入力していくと、空いているレストランを提示してくれます。
提示されたお店の「予約する」を押すと、各種予約サイトに遷移してそのまま予約が完了します。シームレスな体験です。
チャットボット失敗事例
ここまでは比較的成功している事例について紹介してきました。しかし残念ながら、チャットボットの導入は失敗してしまうことも多々あります。
そもそも「失敗する」とは?
「チャットボットの導入に失敗する」と言っても、実際にはどのようなことを「失敗」と定義しているのでしょうか?
いくつか「失敗」と考えられる状況を挙げてみたいと思います。
チャットボットが利用されない
最も多いのは、「思ったようにチャットボットが利用されない」ということです。特定の意図を持ってチャットボットを導入したものの、なかなか思うように使われない……これは導入担当者にとって、かなり悲しい結果です。
この結果の裏には、「そのチャットボットそのものにニーズがなかった」「チャットボットでは代替しにくい業務だった」「チャットボットのUIが悪かった」「周知が不足していた」などのさまざまな理由が考えられます。
問題が解決されない
次点で多いのが、「解決したかった問題がチャットボットでは解決できない」という点です。チャットボットを導入したもののなんだかんだと後工程で人の手がかかってしまう、などの状況を指します。
この結果になる理由としては、「問題がチャットボットで解決できるものではなかった」「チャットボットがその問題を解決するのに耐えうるスペックではなかった」などが挙げられるかと思います。
収集した情報が活用できず、PDCAを回せない
先の2つよりは一段視点が上がったものになりますが、「チャットボットをより便利にするためのPDCAが回せない」というのも失敗の一つに入るかと思います。
チャットボットはたくさんの人に利用される中で、当初想定していなかった使いにくさや課題などが生まれてくるものです。その課題を特定し、より便利なものにするためにはチューニング・PDCAを行う必要がありますが、きちんとデータを蓄積・分析できる仕組みがないと改善が難しくなってしまいます。
実際の失敗事例
上記のような失敗要因を確認した上で、実際にどのような失敗事例があったかを見てみましょう。
失敗事例①
業種:メーカー 用途:社内ヘルプデスク
インターフェース:WEB 失敗要因:問題解決ができなかった・PDCAを回せなかった
情シスや総務の負担を軽減するために、社内ヘルプデスクとしてWEBチャットボットを設置。
チャットボットの精度が低かったことにより問題が解決できず、結局担当者に質問する必要が生まれてしまった。チューニングを試みるもデータ数が少なく思うようにうまくいかず、当初の目的を達成することなく運用中止へと至った。
失敗事例② EC事業者/マーケティング用途
業種:EC 用途:マーケティング
インターフェース:LINE 失敗要因:周知・集客の不足
LINE公式アカウント内にチャットボットを設置。
LINEを用いたファンマーケティング・購入導線の設置を目的として導入したものの、そもそもLINE公式アカウントへの集客がなかなかうまくいかず、それに伴いチャットボットもあまり使用されない結果になってしまった。
失敗を防ぐには?
2つの失敗事例を見てみましたが、このような失敗を防ぐには「自社のニーズを明確に把握し、それに合ったチャットボットベンダーを選ぶ」ということに尽きるのではないかと思います。
・今導入しようとしているチャットボットは本当に必要か?
・チャットボットでやりたい挙動は明確か?
・自社の希望を叶えられるチャットボットベンダーを探し出せているか?
上記をしっかり考えた上でチャットボット/チャットボットベンダーの選択に進むようにしましょう。
チャットボットの選定ポイント
それでは、実際にチャットボット/チャットボットベンダーはどのように選んだら良いのでしょうか?
企業にとっての「良いチャットボットベンダー」はニーズや利用シーンによって大きく異なります。ここでは3つの利用シーンを挙げ、利用シーン別に選定ポイントの考え方をお伝えします。
①【カスタマーサポート】顧客からの問い合わせ件数を減らしたい
問い合わせの件数を減らしたい場合は、「直接オペレータにつながる」フローではなく、「最初にチャットボットが対応し、解決しない場合はオペレータに繋ぐ」というフローが有効です。またカスタマー向けになるので、いかにカスタマーにとって利便性の高いチャットシナリオが作れるかが成功の鍵になります。
そのため、選ぶ際のポイントとしては
・チャットボットとオペレーター(チャット対応)のハイブリッド運用ができるか
確認方法:「チャットボットとシームレスに連携できる有人チャットツールが提供されるか」
・カスタマーにとっての最高のUXを提供できるか
確認の方法:「用途や目的に応じて、選択肢型やフリーワード型を自由に組み合わせ可能か。シナリオ設計支援をしてもらえるか」
などが挙げられます。これまでの顧客データ等をもとにFAQチャットボットを構築し、チャットボットがより多くの問題を解決できるようにしましょう。
②【社内業務改善】総務・情シス・営業関連業務を効率化したい
総務・情シス・営業関連業務などを効率化したい場合、カスタマー向けと違うのは、対象が従業員であることです。
従業員であることによって注意しないといけないのは、問合せへのルート(電話・メール・口頭・チャットといったコミュニケーションチャネル)が多く存在する可能性があることです。問合せへのルートが多く存在する社内向けの場合は、この導線設計を綿密に行う必要があります。
選ぶ際のポイントとしては、
・最適なコミュニケーションチャネルでのチャットボット開発ができるかどうか(インターフェースの柔軟性)
・導線設計の支援をしてもらえるかどうか(開発だけではないトータル支援)
などが挙げられます。②について、hachidoriでは「hachidori assistant」という特化プランをご用意しています。ご興味があればお問い合わせください。
③【マーケティング】WEBプロモーションのCPA(顧客獲得単価)を下げたい
CPAを下げたい時のアクションの方向性としては、、大きく2つの考え方があると思います。
ⅰ.現状のプロモーションを大きく変えずに、歩留まりを改善する(離脱率を下げる)
ⅱ.現状のプロモーション自体にテコ入れを行い、ROASの良いチャネルに移行していく
ⅰの場合、サイト訪問ユーザーの離脱を検知してチャットボットが離脱を防止するためのコミュニケーションを行う方法があります。また、LPOの一環として、WEBフォームをチャットボットに変更することで、CVRを向上させることが期待できます。
ⅱの場合、チャットボットと相性の良い広告を利用するという手もあります。例えば、LINEチャットボットであれば、LINE広告との相性が抜群です。LINE広告の中には、友だち追加を促進するための成果報酬型の広告もあります。
そのため、選ぶ際のポイントとしては、
・歩留まりを改善するための離脱防止ソリューションを持っているか
・LINE広告など、チャットボットと相性の良い広告もセットで取り扱うことができるか
などが挙げられます。③について、hachidoriでは「hachidori marketing」という特化プランをご用意していますので、ご興味があればお問い合わせください。
チャットボットを開発するなら
今回ご紹介したような機能を持つチャットボットは、チャットボット開発ツールを使えば誰でも簡単に作ることが出来ます。
チャットボット開発ツールhachidori
弊社hachidoriが提供するチャットボットツール「hachidori」では、ノンプログラミングで開発し、月額50,000円~の運用が可能となっています。
特徴としては、
- 国内初のチャットボットベンダーとして、7,000を超える開発実績&ノウハウ
- 有人チャット機能やAIを活用したフリーワード対応も可能
- LINEやweb、Facebookなど複数の媒体でチャットボット開発が可能
などといった特徴を持っています。
今回ご紹介したチャットボット以外の事例や、どんな機能を実装できるのかをまとめていますので、まずはこちらの資料をダウンロードしてみてください。