ファンマーケティングとは?実施のポイントやメリットとデメリットまで

ファンマーケティングとは?実施のポイントやメリットとデメリットまで

ファンマーケティングとは、企業・商品のファンを増やして売上の向上を図るマーケテイング手法ですが、ファンマーケティングを活用することで、新規顧客の獲得にも繋がります。

また、ファンとの交流の中で新しいアイデアが生まれることがあり、それらの情報を現在の商品・サービスの改善に活かすことができますし、新商品開発の際に活用できます。

SNSが発展した現在だからこそ、ファンマーケティングは重要な項目の一つだといえるでしょう。

この記事では、ファンマーケティングについての説明をはじめ、ファンマーケティングが注目される背景・ファンマーケティングの事例・ファンマーケティングのメリットやデメリット・ファンマーケティングの具体的な方法や成功させるポイントなどについて詳しく説明していきます。

目次

ファンマーケティングとは

ファンマーケティングとは、企業・商品・サービスに対する熱狂的な「ファン」を増やしていくことを目指していき、中長期的な売上を目指していくマーケティング手法です。

ビジネスの世界では、ファンとは企業の世界観・価値観・想い等に共感して、熱狂的に企業・商品・サービスを愛して、信頼している人物のことを意味します。

世界的に熱狂的なファンを獲得している企業としては、Appleなどが代表的な例として挙げられます。

Appleから毎年販売されるiPhoneiPadMacBook等の販売に注目し、発売当日には店頭に長蛇の列を作って並んでいる姿を思い出すことができると思います。

前回の商品よりも進化したわけでもなく、競合他社よりも高額であるにも関わらず、Appleの熱狂的なファンは毎年並んで購入します。

上記のAppleファンのように、簡単に他社製品やサービスに目移りしないような行動を行う顧客をファンと呼びます。

ファンマーケティングが注目される背景

ファンマーケティングが注目される背景としては、SNSが現在社会に浸透していることが理由として考えられます。

ユーザー・顧客は、インターネットやSNSを使用して商品を自ら発信でき、情報収集も気軽に行えるようになりました。

そのため、消費者は企業からの情報発信を確認するよりも、実際の使用感等の購入者の生の口コミを見る方が参考になると考えているため、口コミの方が影響を受けやすくなります。

ファンのポジティブな口コミが多いと、所謂「バズる」可能性も高くなり、多くのユーザーに注目して頂けるきっかけにも繋がります。

ネガティブな口コミも、それらを精査することで商品・サービスに反映していくことができ、商品・サービスのクオリティの向上に繋げることができます。

ファンやリピーター、優良顧客の違い

ファン、リピーター、優良顧客の違いについて、以下で詳しくまとめています。

 

ファン 特定の人物・物・事象等に対する熱狂的な愛用者・支持者
リピーター 繰り返し何度も来店・購入してくれる顧客
優良顧客 商品・サービスの購入頻度が高いだけでなく、購入金が高額であり、直近でも購入履歴のある顧客。

「リピーター」は自社商品やサービスを何度も利用して頂ける顧客のことを指し、「ファン」は特定の商品やサービス等を熱狂的に愛している顧客のことを指します。

一方で、商品やサービスの購入頻度も高く、毎回購入金額が高額なだけでなく、直近でも購入履歴のある顧客は「優良顧客」を呼びます。

ファンマーケティングの事例

ファンマーケティングの事例として、「スターバックス」「カゴメ」の2社の事例をご紹介します。

スターバックス

 

(引用:Homepage – Starbucks Stories Japan

世界的に有名なコーヒーショップである「スターバックス」もファンマーケティングを実施しています。

スターバックスはマス広告にほとんどコストを掛けておらず、SNSを活用したファンマーケティングをメインに行っていき、着実にファンを増やし続けています。

SNSにおいて店舗体験を基軸にしたブランディングを行い、その内容に共感したユーザーから別のユーザーへ口コミが拡散されていき、ファンマーケティングだけで1500万人以上のタッチポイントを有するまでになりました。

Starbucks Stories Japan」という新オウンドメディアを立ち上げるなど、積極的に情報発信に力を入れています。

カゴメ

(引用:みんなとカゴメでつくるコミュニティ &KAGOME(アンドカゴメ)

カゴメは熱狂的なファンの獲得のために、2015年に会員制のコミュニティコミュニサイトである「&KAGOME」を開設しました。

情報発信・商品の宣伝の目的だけでなく、「顧客としっかりとつながるために開設した」という方向性で運営しています。

サイトには、顧客同士が気軽におしゃべりできる掲示板が設置されていたり、顧客がコンテンツの投稿を行った場合に他の顧客がコメントできるといったシステムが整っていたりするなど、顧客を巻き込んだ運営体制を確立しています。

2020年には会員数が3万人を超えたことで話題となっていました。

ファンマーケティングのメリット

ファンマーケティングのメリットとして、「高いLTVによる売上の向上」「広告費の削減」「新規顧客を連れて来てくれる」「ユーザーの声をマーケティングに活かせる」の4つのメリットが挙げられます。

以下で詳しく説明していきます。

高いLTVによる売上の向上

LTVとは、顧客から生涯にわたって得られる利益のことですが、ファンマーケティングを活用することで高いLTVによる売上の向上を期待できます。

LTV1回の取引で得られる利益だけでなく、2回目以降の継続的な取引により得られる利益に重点を置くものです。

ファンは何度もリピートをしてくれるため、1人当たりの生涯購入価値(LTV)が高くなります。

成長市場では新規顧客を獲得することで売上の増加を目指していきますが、成熟市場では新規顧客を獲得することは簡単ではありません。

成熟市場の企業は、特に既存顧客=ファンが生み出す需要を重要視していく必要があります。

LTVの底上げにはファンの存在は欠かせないといえるでしょう。

広告費の削減

SNSを活用した宣伝を行い、熱狂的なファンを獲得することができれば、ファンが自分から熱狂的にハマっている商品やサービスを宣伝するようになります。

つまり、ファンマーケティングを活用することで、広告費の削減に繋がるということです。

ファンが行う宣伝として大きな力を持っているのは、SNSでの投稿と商品のレビューです。

実際に購入したユーザーの感想・口コミは、自社商品をPRする効果を持っています。

ファンの宣伝拡散企業イメージの確立広告費の削減という流れで効果を期待できます。

新規顧客を連れて来てくれる

ファンマーケティングを上手に活用できれば、良質な口コミが生まれていき、良質な口コミが新規顧客の獲得を促していきます。

一般的な考え方として、新規顧客の獲得には既存顧客を維持するためのコストと比較しますと、5倍以上の時間的コスト・費用的なコストがかかると言われています。

ファンマーケティングで良質な口コミが生まれている状況ですと、5倍以上かかるコストをかけなくても、口コミを見たユーザーが新規顧客として来てくれる可能性が高くなります。

外食をする場合に、食べログなどの口コミを調べてお店を決めたり、友人が勧めてくる化粧品を店舗に買いに行ったりすることもあるかと思いますが、このような「新規顧客の獲得」を期待できます。

ユーザーの声をマーケティングに活かせる

ファンは時に企業側が想像もできないような斬新な発想・独自の視点を持っていることがあります。

定期的にファンから商品の意見・感想を頂くことで、改良の必要な部分について知ることができ、品質・サービス共に向上させることができます。

また、消費者の「こんな商品が欲しい」「こんな機能があると嬉しい」といった感想や需要を知ることができれば、新商品の開発にその意見を活かすことができます。

サンプル体験・ファンミーティング等を積極的に行い、ファンの意見・感想をできる限り取り入れるようにしていきましょう。

ファンマーケティングのデメリット

ファンマーケティングのデメリットとして、「ファンの育成への時間がかかる」「炎上のリスク」の2つのデメリットが挙げられます。

以下で詳しく説明していきます。

ファンの育成への時間がかかる

売上に繋がる成果を出すためには、熱狂的なファンを育てていく必要があります。

商品の魅力・ブランドコンセプト・歴史等を伝えていくことが大切になりますので、ユーザーへの情報発信を時間をかけて行っていく必要があります。

一目惚れのファンも一定数居ますが、大半のファンについては時間をかけて「熱狂的なファン」に育てていかないといけません。

ファンとの交流で大切な項目は以下の3つです。

共感

愛着

信頼

ファンへの対応については、上記の3つを目的としながら交流を行っていくと良い結果に繋がります。

ファンの意見や感想を受け入れつつ、しっかりと反映している姿を見せることで、ファンの心を掴むことに繋がります。

炎上のリスク

(引用:(3) Xユーザーのスーモさん: 「◆スーモ公式Twitterをご覧の皆様へ 2014/4/14(月)の 投稿内容の不適切な表現により、 ご不快な思いをおかけいたしました。 大変申し訳ございません。 謹んでお詫び申し上げます。 今後このようなことがないよう 誠心誠意努力をしてまいります。 SUUMO編集部」 / X

ファンマーケティングは、一般的なマーケティング手法よりも顧客・ユーザーと近い距離でコミュニケーションを取る手法になります。

ファンマーケティングでは、企業の告知情報よりも、企業に勤める人の本音・人柄が分かるような情報に興味を持ち始める傾向があります。

企業の人の本音の情報は、告知情報に比較しますと個人の考え・想いが混ざっていることが多いので、予測できない炎上のリスクがあることを知っておきましょう。

意図的でなかったとしても、反感を買ってしまう可能性が高くなります。

事前に炎上・反感を買ってしまった際に、企業としてファンの信頼を落とさないための立ち回りの方法を考えておく必要があります。

炎上のリスクについてさらに詳しく知りたい方は、以下のURLの記事をご覧ください。

SNSの炎上対策とは?未然に防ぐ方法と対処方法 | Hummingbird (humming-bird.info)

ファンマーケティングの具体的な方法

ファンマーケティングの主な手法として以下の5つがあります。

ファンミーティング

ファンコミュニティ

③SNSでの交流

サブスクリプション型のサービス

モニター体験

以下で詳しく説明していきます。

ファンミーティング

ファンミーティングとは、芸能人・アイドル等の著名人がファンサービスの一環として行う交流会のことです。

こういったファンミーティングを企業が特定の顧客であるロイヤルカスタマー等に向けて行います。

自社製品・サービスを愛用している顧客は、製品・サービスを開発した開発者、働いている従業員などの顔ぶれに少なからず興味があります。

上記のようなファン達をファンミーティングに招いて特別な交流会を行うことにより、より一層自社や製品への愛着を深めてもらうことができます。

ファンコミュニティ

商品・サービス・自社に関するファンコミュニティの場を提供する方法もあります。

ファンコミュニティとは、ファン同士が交流を行う場のことを意味しており、商品・サービス・自社に対して熱心なファンが集まります。

基本的には「ファンとファン」が交流する場所であり、ファン同士でやり取り・意見交換等が行われる場所となります。

SNSでの交流

InstagramTwitterFacebook等のSNSでコミュニケーションを図ることも有効な手段といえます。

SNSでは対面で実際に会うわけではないので、緊張感を感じることもなく、ファンも気軽な気持ちで接してきてくれます。

接してきてくれるファンに丁寧な対応を行うことで、親近感が湧くだけでなく、企業に対する信頼感が向上します。

そういったやり取りを行っていると、商品・サービスに関する質問・疑問・要望などを投げかけてくれる場合があります。

SNSを活用すれば、コストをそこまでかけることなく、優れたコストパフォーマンスを期待できます。

サブスクリプション型のサービス

サブスクリプション型のサービスにファンを招き入れて、囲い込んでしまう方法があります。

これもファンマーケティングの手法の一つです。

会員になったファンだけが使用できる特別なサービス・限定商品の販売等を展開することで、お得感やメリットを感じてもらえます。

会員限定で優遇措置等を講じることで、企業のブランディング効果が生まれますので、より思い入れを深めて頂くことができます。

モニター体験

最後に紹介するのは、「モニター体験」に参加してもらう方法です。

ターゲットに向けて商品を配送して実際に使って頂いたり、店舗に招待してサービスを受けてもらったり、実際に体験してもらうことで、理解度・認知度を向上させてファン化を狙っていきます。

結果として、口コミで広めて頂ける可能性が高くなり、SNSでの投稿・拡散に繋がっていきます。

ファンマーケティングを成功させるポイント

ファンマーケティングを成功させるポイントとして、「ファンの定義」「ファンの求めていることを理解する」「ファンとのコミュニケーションを欠かさない」「ファン同士の交流の場も設ける」「UGCの有効活用」の5つのポイントが挙げられます。

ファンの定義

ファンマーケティングに取り組む前に、「ファンの定義」を決めておく必要があります。

企業によっても異なりますが、一般的な考え方として企業の世界観・創業者の価値観に共感して、商品・サービスを何度も活用してくれる人物が当てはまります。

正確にファンを定義する場合には、「購買データ」「感情データ」の2つの軸から考えていく必要があります。

それぞれの内容については以下の通りです。

・購買データ実際にどの程度お金を使ってくれるのかというデータ

・感情データ企業に対してどの程度愛情や信頼があるのかというデータ

購買データは売上の数値から把握しておき、感情データはNPSという指標で評価します。

上記の2つのデータを定量的に把握して、ファンの定語を検討していきましょう。

ファンの求めていることを理解する

ファンの求めていること=ファンのニーズを理解する必要があります。

ニーズを把握することで、ファンの心を掴むだけでなく、新規顧客の獲得にも繋がります。

ニーズを把握する方法は以下の通りです。

商品・サービスに関する満足度調査の実施

新商品のモニター募集

上記の方法は、応援している企業に対してファンも協力しているという心理的な効果を狙うことができます。

ファンの求めていること・ニーズを理解することで、既存商品・サービスの改良に繋がり、新商品の開発にも活かすことができます。

ファンとのコミュニケーションを欠かさない

(引用:Xユーザーの【公式】カゴメさん: 「@caryama896 かるやま(後厄)さん、またまたカゴメ商品を味わっていただきありがとうございます(∩ˊᵕˋ∩)🍎❣ フルーティーなおいしさで、リフレッシュしてもらえていたらうれしいです✨」 / X (twitter.com)

ファンとのコミュニケーションを欠かさないようにしましょう。

ファンと密にコミュニケーションを取ることで、ファンの心を惹きつけることができます。

ファンと交流する場を設けると、新しいアイデア・現在の商品への不満の意見等が届きやすくなりますので、ファンのことを大切にする・尊重する姿勢も示せるため、信頼に繋がります。

企業内では出てこない意見が出てきたり、ファン独自の視点を共有することで新商品の開発の際に活かすことができます。

SNSでの交流・ファンミーティングを積極的に進めていきましょう。

ファン同士の交流の場も設ける

ファン同士の交流の場を設けることも重要となります。

ファン同士で繋がるコミュニティサイトを設けることで、競合他社にブランドスイッチすることを防ぐことができます。

企業側もファンとの接点を簡単に作ることができ、ファンとの会話から新しいアイデアを得ることができます。

そのため、交流の場を積極的に創ることに取り組んでいきましょう。

UGCの有効活用

UGCとはユーザー側の発言によって成立するコンテンツのことであり、ファンマーケティングを行うことで、UGCを有効活用できます。

Amazonの商品コメントやレビュー、InstagramでのコメントやレビューなどがUGCに該当します。

熱狂的なファンがSNSや口コミサイトなどで良い評判を書き込むことで、それを見た他のユーザーの購入を促すことに繋がります。

UGCを有効活用することで、広告費用を抑えつつも他のユーザーに自社商品・サービスをPRすることができます。

UGCについてさらに詳しく知りたい方は、以下のURLの記事をご覧ください。

UGCとは?マーケティングへの活用方法から注目される背景まで | Hummingbird (humming-bird.info)

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