今やネットショッピングは生活に欠かせない存在となっています。
多くのECサイトがある中で、ECサイトの出来は売上を左右する重要なファクターと言えます。
思い通りのECサイトを作りたい、しかし収支も考慮すると外注か内製か迷う場合もあるでしょう。
この記事ではECサイトの外注と内製のどちらが良いか、また外注のメリットやデメリットについて徹底解説していきます。ぜひ参考にしてください。
ECサイトを持つことは今や必須
2020年の物販系分野のBtoC-ECの市場規模は12兆2,333億円、前年比21.71%と、コロナ禍の自粛期間も相まって大きく成長しています。
ファッションやインテリア、書籍や映像・音楽ソフトをはじめ、生活雑貨や食品などさまざまな分野でECへの進出が進んでいるのです。
今やモノを売る人や会社にとって、ECサイトを持つことは必須と言えます。
*経済産業省「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」取りまとめ結果より https://www.meti.go.jp/press/2021/07/20210730010/20210730010.html
結論は、ECの内製は年商5億円以上が目安
では、いきなりですがECサイトの作製は外注と内製、どちらが良いか、わかりますか?
結論から言うと、ECの内製は年商5億円以上が目安と考えて良いでしょう。
ECの内製は、言葉だけでは外注よりコストがかからないような印象を受けるかもしれません。
しかし内製の場合はサイト作成に詳しい人材や販売管理やサーバー管理など、外注ではあまり考えなくてよいリソースを自社で揃える必要があり、最初から内製するのは規模の大きな会社出ない限りは現実的ではないと言えます。
外注での月額費用や各種手数料などの費用やEC販売による利益などを考慮すると、ECによる年商が4億円を超えるあたりが内製化を検討するタイミングとも言われています。
さらに内製に必要なリソースを考えると、内製は年商5億円以上が目安という結論になります。
ECサイトは自社内でも制作できる?
ECサイトを最初から内製するのは現実的でなないという話をしましたが、ではそもそも自社内でECサイトを制作することはできるのでしょうか?
答えは「できる」です。自社内で制作するといってもゼロから開発する「フルスクラッチ」だけでなく、ASPなどの「プラットフォーム」、ある程度開発された状態の「パッケージソフト」を利用するといった方法もあります。
外注の場合、初期費用も月額費用も数十万円~数百万円(またはそれ以上)と高額になります。
会社やECの規模、またこれからの成長見込みにより、自社内での制作やその方法を検討してみるのも悪いことではありません。
ECを外注するメリット
ではこの章ではECを外注することのメリットについて解説していきます。
プログラミングの知識・スキルが不要
ECを外注するメリット1つめは、プログラミングの知識やスキルが不要であることです。
ECサイトの作成には専門的な知識やそれを使いこなすスキルが必須です。
通常のホームページとは異なりwebマーケティングや決済機能など、ECサイトには独特の高度な機能を備えなければならず、また滞りない運営を継続するための経験も必要となります。
自社で知識やスキルがなくても、外注することでECサイトの開設とスムーズな運営への近道になります。
すでに実績のあるECベンダーならプログラミングの知識が豊富なのはもちろん、ECサイトの作成・運営のノウハウもありスキルも十分です。
プロのデザインを使える
ECを外注するメリット2つめは、プロのデザインを使えることです。
商品のイメージに合わせたサイト全体の雰囲気、商品の詳細がわかりやすい商品ページ、購入までの導線など、ひとことでECサイトのデザインといっても、知識なしでは簡単に作成できるものではありません。
またPCでもスマートフォンでも見やすいデザインであることもECサイトでは重要です。
外注ではこうしたECサイトの特性を踏まえて作成された、プロのデザインを使うことができます。
社内のリソースを節約し、商品開発などに集中できる
ECを外注するメリット3つめは、社内のリソースを節約できることです。
ECサイトの作成・運営を内製するとすれば、プログラミングやカスタマイズ、サーバー管理、サイト運営などにかなりのリソースをかけることになります。
しかしこれらを外注することで、社内のリソースを商品開発などに集中させることが可能となります。
ECサイト、そして会社を発展させるためには新しい商品やサービスの開発が必要なことは言うまでもありません。
外注により費用はかかりますが、人的・設備に関するリソースが節約できるメリットは決して小さくありません。
顧客満足度を高められる
ECを外注するメリット4つめは、顧客満足度を高められることです。
顧客満足度を高めるためには、サイトで商品を探しやすいこと、ページのレスポンスの速さなどのデザイン・機能面が充足していること、そして注文品が顧客の手元へ届くまでの日数や問い合わせへの回答など顧客対応のスピードが必要です。
EC運営のプロである外注を利用することで、サイトに対する顧客満足度、また注文管理による顧客満足度を高めることが出来るのです。
情報収集ができる
ECを外注するメリット5つめは、情報収集ができることです。
ECを取り巻く環境や技術は日進月歩です。技術面でもサービス面においても、続々と新しいツールや手法が登場しています。
それらのトレンドをECに詳しくない会社が対応することは現実的ではありません。
その点、外注では情報収集して得たトレンドの技術やサービスをECに取り入れることが容易となります。
内製では難しい最新手法を用いたEC運営を外注により実現できることも大きなメリットと言えるでしょう。
ECを外注するデメリット
次に、ECを外注することによるデメリットについて解説します。
外注費用が必要
当然ながら外注には費用が必要となります。
業者や契約内容によりまちまちですが、月額費用や、売上に応じた割合による費用となる場合もあるでしょう。
規模が大きければ、それだけ外注費用も高額になります。
また、サーバーのレンタルやカスタマーサポートなどを別に外注する場合はさらに費用がかかります。
社内にノウハウを蓄積することが難しい
EC構築や運営を外注した場合、そのノウハウを社内で蓄積することが難しいこともデメリットと言えます。
将来的に内製を考えているなら、社内で外注先と緊密に連携る部署や担当者を置いて、ある程度サイト運営や管理の経験を積むことも必要です。
しかし外注している以上、実際に役に立つ経験やノウハウの蓄積は期待できないでしょう。
個人情報の取り扱い
ECサイトは決済のために氏名、住所、クレジットカード情報などの個人情報の取り扱いが必須です。
外注した場合、それら個人情報の取り扱いも委託することになります。
もちろん契約により個人情報の取り扱いについても取り決めて外注することが大前提ですが、実際に過去には有名企業の委託先社員のPCやUSBの持ち出しによる情報漏洩事件も発生しています。
もし情報漏洩があれば、外注していても責任は発注元の会社であり、ECサイトの信頼にも大きな打撃を受けることになります。
リスク管理が100%行き届かないという点では、個人情報の取り扱いはデメリットのひとつと言えます。
ECサイト制作会社の選び方
次に外注先となる、ECサイト制作会社の選び方について見ていきましょう。
制作会社の選定は、当然ながら外注によるECサイト運営には重要です。
ポイントを抑えて自社に適した制作会社を選びましょう。
ECサイトの制作手法
ひとことで「ECサイト制作」の外注といっても、会社によりその手法は違います。制作会社ごとに得意分野も変わりますので、どのような制作手法を扱っているか、また得意であるかどうかなど、見極める必要があります。
下記のような制作手法や経験を制作会社のHPなどで確認することをおすすめします。
- オリジナルのECサイト構築が可能
- CMS(E-CUBEなど)によるサイト制作、運営が得意
- ASP(カラーミーなど)を利用したECサイト構築の経験が豊富
- 大手ショッピングモール(Yahoo!ショッピングや楽天市場など)への出店支援が可能
- サイト制作、販売管理、物流などEC運営全般に対応可能
担当者のコミュニケーションスピード
ECサイトを外注で運営するためには、自社と外注先の担当者同士のコミュニケーションスピードが大切です。
発注側からのマーケティングに基づく仕様変更や、クレーム・トラブルへの対応、新商品やイベントなど、ECサイトの運営ではスケジュールやスピード感が必要な場面が多くあります。
担当者のレスポンスや対応の遅れはECサイトの売上にも影響すると言って過言ではありません。
外注するなら発注側の意図を汲み、スピード感をもって対応できる担当者のいる会社であることに越したことはありません。
費用の安さだけで決めない
ECサイトの外注は規模や外注の範囲にもよりますが、それなりの費用が必要です。
会社としては費用を安く抑えたいと考え、制作会社を選定する際に費用ばかり目に入ってしまうかもしれませんが、単純に費用の安さだけで決めてはいけません。
費用の安さには理由があります。
例えば外注に期待する機能やサービスが含まれていなければ、別途自社で手配するリソースが必要になってしまいます。結果的に総額費用が高くついてしまえば本末転倒です。
制作会社を選定する際には、こちらの要望を満たしているか、必要な機能が含まれているかといった費用以外の面を確認することが大切です。
得意な業界を見極める
ECサイト制作会社は数多くありますが、それぞれの会社で経験も違いますし、また得意な業界も違ってきます。
実際の店舗がそうであるように、例えばファッションとフードでは商品の見せ方や顧客へのアプローチの仕方は変わります。
商品に適したECサイトかどうかは、その売上を大きく左右するので、外注先の選択には制作会社が得意とする業界を見極めることも大切なポイントと言えます。
どの部分を外注していくべきなのか?
ECサイトの運営には、商品管理や顧客管理、販売対応に在庫調整、さらにはクレームを含むカスタマーサポートなど、多くの業務が必要です。
これら多数ある業務の中から、どの部分を外注すべきかというのは悩ましい問題のひとつです。
ここではEC運営の手順や外注費用などから、外注すべき部分を確認していきましょう。
ECサイト運営の手順
まずは、ECサイト運営の手順を確認してみます。
- 商品管理・登録業務
→撮影・採寸・商品説明の原稿作成など(ささげ) - 在庫管理業務 →倉庫管理業務も含む
- 販売業務 →ECサイトによる販売、広告集客、ブログ更新など
- 決済管理 →クレジットカード決済、銀行振込、代引き、その他決済手段の管理
- 受注管理 →注文を受け付けてからの事務管理
- 発送業務 →注文に基づく伝票作成、在庫保管元からの発送まで
- 顧客対応 →問い合わせ・クレーム等カスタマーサービス業務
こうしてみると、ECサイトの運営には多くの手が必要であることがわかります。
外注すべきはお客様が商品を購入してから発送するまでの業務
では、どの部分を外注すべきかというと、「お客様が商品を購入してから発送するまで」の業務です。
上記の手順の中では「受注管理」から「発送業務」までの間になります。
特に在庫管理や発送業務はEC運営には欠かせませんが、商品数や売上が増えるほどに負荷が大きくなります。
自社のリソースに余裕を持たせるためにも、外注するべき業務は外注することは、ECを含めた会社の成長のために大切な判断と言えます。
ECサイト制作会社に依頼するときの費用相場
ECサイトの構築を制作会社に依頼する場合、費用はどのくらい必要なのでしょうか。
サイト制作といっても、プラットフォームを利用したASPもあれば、ゼロからオリジナルECサイトを制作するフルスクラッチのケースもあります。
またそれら構築内容やECの規模などにより、外見的には同じように見えるECサイトでもかかる費用は変わってきます。
しかしサイトにかける予算はサイト制作自体の計画に大きく関わりますので、費用の相場について理解しておく必要があります。
ECサイト制作費用の相場について
サイト制作の初期費用を構築内容別にご紹介します。
構築内容 | 費用相場 | (参考)構築期間 |
ASPカート(BASE,Shopifyなど) | 50万~300万円 | 約1~2ヶ月 |
クラウドEC(ebisumart,メルカートなど) | 300万~1,500万円 | 約2~5ヵ月 |
ECパッケージ
(EC-ORANGE,コマース21など |
1,500万円~ | 約4~8ヶ月 |
フルスクラッチ(ゼロから構築) | 数千万円~ | 半年以上~数年 |
ここで紹介する「費用」とは、システムライセンス料やデザイン費用を含めたサイト構築に必要な開発費用です。
この他に、パッケージであれば月額費用やサーバー利用料、運用の費用などのほか、メンテナンスやカスタマイズなど構築後に発生する費用なども事前に確認する必要があります。
外注と内製どちらが良いのか?
結局、外注と内製はどちらが良いのでしょうか。
いままでご紹介してきたとおり、ECサイトの構築には高度な知識やスキルが、運営には多くの業務に対するリソースや経験が必要となります。
大企業でリソースに大きな余裕があるという場合を除き、特に初めてECを始める場合には外注を利用することが賢明と考えられます。
将来的に内製を目指すなら、まず目標の年商を上げるまでは外注を利用するという方法もあります。
外注している期間を、EC構築や運営の知識を持つ人材の育成や獲得など基盤を構築し、内製の準備を整える時間に充てることができます。
外注と内製のどちらが良いか、正解はありません。
本記事で紹介した外注に必要な費用やメリット・デメリットなどを、ぜひ適切なECサイトの構築・運営の参考にしてください。
EC運営に合わせて確認したいこと
EC運用に合わせてSNSの運用は出来ていますでしょうか?
ECにおいて、SNSの活用は必須です。
LINEやInstagramをECに活用した事例を下記にてまとめていますので、併せてぜひご覧ください。