飲食店にネット通販を取り入れる企業が増えてきているのをご存じでしょうか。
飲食店にも、ネット通販が広まっている理由としては、新型コロナの流行で店舗での売上が確保できない時代になったからだといえます。
この記事では、飲食店がネット通販を取り入れた際のメリットやデメリット、様々な要素についても解説していきます。
飲食店のECとは?
普段、飲食店で食べることのできる料理を自宅でも食べれる形で提供して、販売を行っているのが、飲食店のECサイトになります。
調理前や生ものは冷凍して販売していたり、調理後の商品は真空パックで梱包されて、販売しているケースが多いです。
飲食店ECのメリット・デメリット
こちらでは、飲食店がECサイトを導入した際のメリットやデメリットを紹介していきます。
導入を検討されている方は、是非参考にしてください。
メリット
導入した際には、以下の4つのメリットがあります。
複数の収入源の確保
店舗での売上だけでなく、ネット通販を取り入れると、そちらの売上も会社の利益になります。
つまりは、2種類の営業方法から、収益を得ることが可能となるのです。
時間の平準化
ECサイトを利用することで、「時間の平準化」を図ることができます。
飲食店は、基本的にランチの時間やディナーの時間が忙しくなります。
対して、ネット通販については、業務時間内であれば、いつでも作業が可能になります。
つまりは、店舗での忙しい時間以外に、作業を行うことで、人件費や設備の無駄を極力削減でき、利益に繋げることが可能になります。
新規顧客の獲得
飲食店の店舗では、実際にお店に来ていただけるのは、基本的に数キロ先までの近所のお客様だけになります。
ですが、ネット通販を利用して、冷蔵や冷凍便で送ることが可能であれば、近所のお客様以外の顧客の確保に繋げることも可能となります。
今現在、新型コロナのせいで、自粛生活が長引く影響で、新規のお客様が来ていただく機会も減っていると思いますが、ネット通販で買って頂き、知名度が上がっていけば、コロナが落ち着いた後に、店舗に来ていただける可能性もあります。
商圏を広げることができる
先程も、少し触れましたが、店舗の商圏範囲は、基本的に店舗から500m~数㎞と言われており、それ以降の顧客は少ない傾向にあります。
ですが、ネット通販であれば、すぐに食べないと日持ちしない商品以外については、全国に送ることが可能になりますので、場合によっては、非常に需要を伸ばすことが可能となります。
デメリット
ECサイトの導入には、2つのデメリットがあります。
以下で、説明していきます。
競合
今やネット通販を展開している企業は、かなり多いため、競合が多いことがデメリットになると考えれます。
同じような飲食店のECサイトだけでなく、スーパーやコンビニなどのECサイトなども、競合相手になると考えられます。
食料を買うだけなら、スーパーやコンビニで十分なので、美味しさだけでなく、飲食店の特徴などを出していかないと、顧客の獲得に繋がっていきません。
導入までのコストが必要
ECサイトを導入して、運営していくためには、コストが掛かってきます。
ざっくりとした平均値ですが、モール型であれば、10万円までが相場になります。
ASP型であれば、10万~100万円程度。
パッケージ型になると、500万円以上が相場となり、非常にコストが高くなります。
飲食店のECの注意点
ECサイトで食品を販売していくには、「製造許可証」が必要となりますので、忘れずに、管轄の保健所に申告をしないといけません。
また、場合によっては、「食品の冷凍業又は冷蔵業」や「食肉製品製造業」などの許可が必要になる場合もありますので、注意が必要です。
その他にも、ネット通販で食品を販売する場合、店舗では必要のなかった食品表示が必要となります。
食品表示とは、原材料名をはじめ、添加物、アレルゲンの有無、栄養成分表、保存方法や賞味期限もしくは消費期限などです。
これらは、「食品表示法」に基づいた表示の仕方をしないといけないため、注意が必要となります。
飲食店ECサイトの種類
ECサイトには、いくつかの種類がありますので、それぞれの特徴を解説していきます。
モール型
モール型とは、楽天やAmazon、ヤフーショッピングなどに出店する方法となります。
現実世界でいえば、イオンモールなどに店舗を出店する感覚です。
モール自体に集客率があるため、知名度の低い店舗でも、購入して頂ける確率が高くなる点と、出店までのハードルが低めである点がメリットといえます。
デメリットとしては、お店の特徴やブランドの色を出しにくいこと、手数料が高めであること、細かいルールがあり、自由度が低いことなどが挙げられます。
ASPカート型
ショッピングカートのサービスが、クラウドサービスとして提供されており、それらを使用料金を支払って利用していく方法になります。
サーバーの準備をはじめ、専門的なプログラミングの知識も必要ではないため、簡単にECサイトを始めやすい特徴があります。
また、安いものであれば、月額数千円から利用できるサービスもあります。
初心者向けのSTORES、小規模ショップ向けのBASE、EC向けであるShopify、サポートが充実しているfutureshop、低コストのカラーミーショップなど、様々な種類があります。
ShopifyとBASEの徹底比較!料金プランや機能、デザインカスタマイズ性など
パッケージ型
ECサイトの作成や運用に関わる機能をパッケージのソフトウェアとして販売しており、これらを購入して、自社の通販サイトを作成していく方法になります。
費用は一番高額になりますが、他の2つよりも、自社の特徴を出したサイト作りが可能になります。
つまりは、カスタマイズの幅が非常に広くなりますので、他のサイトと違う特徴を出していくことが可能となります。
デメリットとしては、費用が高いこと、サーバーの契約も必要となること、HTMLやCSSのスキルが必要になることです。
飲食店がECを始める方法
こちらでは、飲食店がECサイトを始める方法を紹介していきます。
デリバリーサービス
デリバリーサービスを利用する方法がおすすめです。
デリバリーサービスを利用すれば、顧客からの注文の受付から配達までを外部に委託することができます。
飲食店は、その他の管理業務が増えることがなく、調理した料理を配達員に渡すだけになりますので、負担があまり増えずに、売上のアップに繋げることができます。
許認可
飲食店の運営を行う上で、取得した営業許可があれば、飲食店で調理した料理をデリバリーで販売する際にも、新たに許可は必要になりません。
ですが、単体の食品を販売する際には、別の許可が必要になってきます。
容器
デリバリーを行う際には、料理の特性に合った容器を用意する必要性があります。
汁物の料理であれば、配送時に漏れてしまうことのないような容器を使用する、その他にも、配達時に料理が崩れない容器を使用するなどの必要があります。
サービスの選択
デリバリーサービスを利用する際には、注文が来た連絡を受けるための端末を用意しないといけません。
基本的に、顧客からの注文受付~配達までの業務を外部に委託することができます。
集客について、心配される方もいらっしゃると思いますが、デリバリーサービスを利用するユーザーがある程度存在しており、その顧客の集客が見込めるので、非常に有利になります。
サービスの紹介
デリバリーサービスには、いくつかの週類があります。
配達エリア | 配達手数料 | 対応店舗数 | |
出前館 | 全国 | 0円~420円程度 | 70,000店舗程度 |
Uber Eats | 全国 | 50円以上 | 50,000店舗程度 |
楽天デリバリー | 全国 | 370円以上 | 15,000店舗程度 |
menu | 全国 | 300円以上 | 60,000店舗程度 |
wolt | 全国 | 99円以上 | 27,000店舗程度 |
Uber Eatsについては、注文金額が700円未満の場合、150円程度の手数料が掛かってしまいます。
woltについては、最低注文金額が決まっており、1,200円以上の注文が必要となります。
飲食店EC運営の流れ
こちらでは、飲食店がECサイトの運営を始めるまでの流れを紹介していきます。
商品作り
ECサイトで販売する商品を作る必要があります。
ネット通販で販売する際には、容器の費用や送料、決済手数料も必要となってきますので、商品の単価自体が高くないと、利益を出していくのが、難しくなってきます。
例えば、ピザとフライドポテトのセット商品のように、料理をセットにして販売して、料金を少し高くするなど、工夫が必要となります。
保健所の許可取得
どのような商品を販売するかによって、必要な許可が違ってきます。
管轄の保健所に届け出が必要になるので、事前に相談しておくのも、一つの手です。
販売系の許可で済む場合は、必要な書類を提出すれば、取得できる場合もあります。
しかし、製造業系の許可については、設備の増築や追加工事が必要になる場合がありますので、取得が難しくなる場合もあります。
また、施設ごとに「食品衛生責任者」の資格保有者が必要になることが多いです。
食品表示ラベルの作成
食品表示法に則った食品表示をする必要があり、表示したラベルを貼付していくことが必要となります。
表示内容は、先程も説明しましたが、原材料名、添加物、アレルゲンの有無、栄養成分表、保存方法や賞味期限もしくは消費期限となりますが、食品により項目が変わってきますので、しっかりと確認が必要になります。
食品成分について
食品表示法で定められている「栄養成分」には、熱量、タンパク質、脂質、炭水化物、食塩相当量があり、これらの表示は必ず必要となります。
その他にも、みかんゼリーの商品のパッケージに、「ビタミンC」の表示をしている場合には、栄養成分欄に「ビタミンC」の表示も必要となります。
消費期限、賞味期限
賞味期限の意味は、美味しく召し上がることのできる期間を意味しており、消費期限は、期限を過ぎたら、食品の劣化が進み、食べない方が良い期間のことを意味しています。
表示方法は、賞味期限が3カ月を超えるものは年月で表示、3カ月以内のものは年月日で表示を行います。
消費期限は、全て年月日で表示していきます。
この二つについても、表示が義務になりますので、必ず守るようにしてください。
また、これらを決める際に使用する生菌検査を外部機関に依頼して、結果により決めていくことになります。
真空包装機
真空包装機があれば、食品の保存期間が長くなりますので、味や触感など、食品の品質を下げることなく、通販での販売を行えます。
真空包装機は、安価なもので、家庭用の1万円程度のものから、業務用のもので、100万円以上するものもあるため、必要に応じた機械を導入する必要性があります。
ECサイト構築
ここまで準備ができたら、ECサイトを準備していきます。
先程も、少し説明しましたが、ECサイトを作成するサービスには、モール型、ASP型、パッケージ型などの種類があるため、必要なサービスを選択していかないといけません。
また、ASP型やパッケージ型では、サイトの構築も必要になりますので、必要に応じたカスタマイズを行っていきましょう。
デリバリーサービスとECサイトの販売の両方を行う際には、ASP型のShopifyやMakeShopがサービスの対応が可能となっているため、利用することをおすすめします。
集客
サイトを構築したとしても、ユーザーに来ていただかないと、注文には繋がっていきません。
まずは、ECサイトの宣伝をしっかりと行い、集客を上げていくことに力を入れていきましょう。
ユーザーリストを使用して、メールやラインで告知も可能ですが、SNSでの宣伝やリスティング広告なども、非常に効果的です。
リピート対策
集客が集めることができたとしても、リピート客を増やしていかないと、売上を維持することができません。
ポイントやクーポン券の利用サービス、特典をつけたり、特別メニューを考えたりと、リピートして頂けるサービスを展開していく必要があります。
成功事例
こちらでは、ネット通販を取り入れて、成功している飲食店の事例について、紹介していきます。
フレッシュつばめ便
フレッシュつばめ便は、株式会社つばめが運営している「つばめグリル」のネット通販になります。
店舗と同じく、保存料や化学調味料を使用しないことに拘っており、食材も国産のものを使用しています。
調理した料理をすぐに冷凍保管して、冷凍した状態でお客様に届けています。
そのため、賞味期限が1カ月半程あるのが特徴といえます。
筋肉食堂
筋肉食堂を運営しているTANPAC株式会社も、ECサイトを立ち上げて、成功させています。
ECサイトを立ち上げた経緯ですが、やはり新型コロナの影響により、店舗での売上が下がってしまったことが理由となっています。
筋肉食堂は、高タンパク、低カロリーの食事を提供しており、身体づくりを心掛けている方向けの店舗を意識しているレストランになります。
Bistro Plein
Bistro Pleinは、株式会社PLEINが運営しているオンラインショップになります。
こちらも、新型コロナの影響を受けて、2020年4月にネット通販を始めました。
こちらのお店も、冷凍保存できる状態で届けて頂けるので、賞味期限も1カ月~1年程度保存できるようになっています。
中でも、「キッシュ」が非常に人気の商品となっており、10日間で1,500個の販売を行ったことで話題となっていました。
EC運営に合わせて確認したいこと
EC運用に合わせてSNSの運用は出来ていますでしょうか?
ECにおいて、SNSの活用は必須です。
LINEやInstagramをECに活用した事例を下記にてまとめていますので、併せてぜひご覧ください。