近年台頭するECサイトでは、顧客満足度を上げるための対策の一つとして、返品対応を柔軟化する方法が取られています。
顧客満足度が上がれば売上アップにつながりますが、一方で返品される数が多ければ、その分商品のロスや返品対応による従業員の負担が大きくなります。
顧客満足度を保ちつつ、返品率を下げる方法はないのでしょうか。
そこで今回は、返品を削減するための、通販での返品率を下げるポイントやその方法について、詳しく説明していきたいと思います。
返品が発生する原因
やはり商品を購入する上で、使用してみなければわからない点もあり、どうしても返品は発生してしまいます。
返品は商品のロスにつながり、企業の問題だけでなく、社会問題にも繋がります。
返品の原因を理解し、しっかりと対策をとることが重要です。
返品が発生する原因は、大きく二つに分けられます。
・良品返品
・不良品返品
それではそれぞれについて詳しく説明していきます。
良品返品
商品に問題はなく、別の要因で返品される事を「良品返品」といいます。
主に以下の4つのようなことが原因として挙げられます。
・注文や発注の間違い
色やサイズを間違えて注文・発注してしまった場合や、発注の際の品番の入力ミスなど、単純な間違いで起こってしまう返品です。
・購入の際のイメージと実際の商品との違い
ファッション系のECサイトをよく利用される方なら、色や形が思っていたものと違うという経験を一度はしたことがあるのではないでしょうか。
単純なミスではなく、写真で見る色やサイズ感と実際の商品が違い、イメージ通りではなかった場合に起こってしまう返品です。
・納品日の違い
入力ミスや伝達ミスで納品日が間違っていた場合にも返品は起こります。
必要とされるタイミングで的確に納品されなければ、商品は戻ってきてしまいます。
・配送会社の保管期限切れや配送先住所の入力ミス
配送されたタイミングで購入者がなかなか受け取れず、配送会社の保管期限切れとなってしまった場合や、入力された住所が間違っていた場合にも、返品の対象となります。
不良品返品
商品自体に問題があり、仕様を満たしていない商品や陳腐化、期限切れの商品が返品される事を「不良品返品」といいます。
主に以下の5つが要因として挙げられます。
・製造段階での不良品
製造段階で不良品となり、検品で検出されず出荷されてしまった場合の返品です。
・陳腐化
新商品がリリースされ、旧モデルが在庫として残っている場合にも不良品として返品されることがあります。
・賞味/消費/使用期限切れ
商品の需要予測ミスにより、売れ残ってしまった上に消費することもできなくなってしまった場合に起こる返品です。
・贈答品残
贈答品や返礼品などは、少し多めに用意される事が多いのではないでしょうか。
その場合、その需要予測が大幅に間違っていたり、残った場合の対策を講じていなければ、売れ残りとなり返品対象となってしまいます。
・季節品残
季節によって、販売される商品は異なりますよね。
シーズン毎の需要予測が間違っていた場合にも返品は発生します。
返品率を改善するメリット
販売促進と返品対策を並べて考えると、どうしてと販売促進に力を入れたくなるかと思います。
ですが、返品対策をおろそかにしてしまうと、コストがどんどん膨れ上がっていってしまいます。
米国では、2021年度で約99兆円が返品総額(※)として挙げられています。
(※)使用済みでも返品可能 米小売りの“寛大な返品システム”さらに進化より
コスト削減の為にも、返品率の改善は取り組むべき対策であるといえます。
返品率を改善するメリットは主に3つ挙げられます。
- 返品対応のコスト削減
- 顧客満足度の向上
- 別の業務にリソースを割くことが出来る
それでは詳しく見ていきましょう。
返品対応のコスト削減
前述にもある通り、米国での返品総額は99兆円と莫大なコストであると言えるでしょう。
返品の件数を少しでも減らすことができれば、コストの削減になります。
顧客満足度の向上
返品は消費者にとって、手間と時間がかかり大きな不満に繋がります。
さらには商品へのイメージの低下から売上低下につながる可能性もあります。
返品率を下げるために対策を取ることは、顧客満足度の向上に繋がる対策であるといえるということです。
別の業務にリソースを割くことが出来る
返品率が削減されることによって、返品対応をしていたリソースを別の業務に振り分けることができるようになります。
返品削減の対応イコール業務改善、商品の品質改善につながるため、より良い商品を提供するための前向きなリソースとして機能させることができますね。
返品率を改善する方法
それでは、ここからは返品率を改善するための方法について、具体的に説明していきたいと思います。
主に挙げられるのは以下のような7つの方法です。
- 操作性の改善
- 各工程の品質改善
- web上で受注出来るようにする
- 明確なサイズ表記
- 商品の見え方の改善
- 適切な需要予測
- 配送日や住所の確認を出来るように
それぞれ詳しく見ていきましょう。
操作性の改善
画像元:yahoo!JAPANショッピング
注文履歴を表示したりサイズや数量を再確認するポップアップを表示するなどの工夫をすることで、発注ミスを防ぐことができます。
購入者が企業であれば、必要な商品は固定化されている場合が多いため、特に注文履歴が役に立つでしょう。
購入者が個人客であれば、商品情報を十分に用意し、写真やイメージをわかりやすく表示することで、実際の商品との差を少なくすることができます。
各工程の品質改善
自社で商品を製造していれば、設計・製造・検査の各工程でPDCAサイクルを回してきちんとチェックしていきましょう。
外部委託での製造においても、委託して終わりではなく実際に現場を見に行くことが大切です。
どちらの場合でも、顧客からの様々な意見をフィードバックし、製造工程段階でその意見を反映していくことが重要です。
web上で受注出来るようにする
電話や口頭、注文書での受注もできますが、伝達ミスが発生したり、書面であっても形式上のものになってしまい、商品の到着時点で注文ミスに気づく場合も多くあります。
その点、web上での受注となると、前述のようにポップアップ形式で数量やサイズの最終確認を取るなどミスを防ぐ対策を取ることが可能になるため、可能な限りweb上での受注に理解をいただくと良いでしょう。
明確なサイズ表記
画像元:ベイクルーズのファッション通販|BAYCREW’S STORE
オンライン上での買い物は、文字やイメージでの情報が必要不可欠です。
実店舗であれば、商品が服飾関係だと試着もできますし、サイズ感を目視できます。
返品対応でカバーすることも大切ですが、まずは最初の商品情報を明確に、イメージしやすく表記することが重要です。
今はインターネットが大きく普及し、マーケティング方法も多数ありますので、写真だけでなく動画や3Dモデルを活用したり、スマホなどの身近なものと比較した大きさを表示したり、チャット等を活用してアドバイザーを設置するなど、伝わりやすい方法で情報を提供しましょう。
商品の見え方の改善
写真の撮り方や説明の仕方で商品の見え方は大きく異なります。
一方面からのみの写真では奥行きや後方面、全体の大きさやデザインなど伝わる情報が少なく全くイメージができません。
多方面からの角度や、実際使ってみている写真や動画、立体感のあるものであれば開いたり持ち上げたりしているイメージ画像があれば、具体的に商品のイメージがつきやすくなります。
サイズの異なるモデルを立て、体型別やシーン別などで写真を分けるとより良いでしょう。
適切な需要予測
商品を企画したり販売するときには、必ず需要を予測しますね。
ただ単に経験則や勘をもとに需要予測をしても、正しい需要は掴めません。
POSデータや、試供品の提供、商品を活用したイベントなどを通して、正確なデータを元に需要を予測しましょう。
質の良いデータで需要予測ができれば、在庫を的確に管理できます。
そもそもの販売数を多く見積もらず、ある程度販売できてから徐々に製造数を増やしていくことも一つの手です。
製造数を増やして返品率があがり、多くの在庫を抱えて返品コストをかけるより、製造数を減らして事前の需要予測を的確に行って堅実に販売していくほうが、商品の品質も保たれるでしょう。
配送日や住所の確認を出来るように
画像元:Amazon
大きな市場をもつECサイトであるAmazonでは、配送日時の指定や確認、お届け先の変更など、ある程度簡単に、柔軟に対応してくれますよね。
一方で、同じ変更を電話や会員登録必須などの過程を踏まなければできないECサイトも多くあります。
消費者にとって、予定が変更になったが日時指定を変えられず、商品を受け取れない場合も少なくありません。
ですが、自社のECサイトを変更するには多くの時間と費用が必要になります。
消費者にとって利用しやすい仕様にすることを考える場合、他社のサービスを導入することをお薦めします。
自社のニーズに合ったサービスを提供してくれるでしょう。