自社ECサイトを運営している企業が増えた昨今。
ECサイトの作り方や運営の仕方などには様々な選択肢があり、どのようにECサイトを構築するべきか悩まれる方も多いかと思います。
この記事では、自社ECサイトの構築の仕方から、メリットやデメリットに至るまで、詳しく解説していきたいと思います。
自社ECとは?
自社ECサイトとは、企業やお店が独自にドメインの取得を行い、オープンするサイトのことをいいます。
ネット通販を利用するお客様が増えていく昨今、ネット通販に関係する市場規模は、13兆3,000億円を超えています。
2022年には、14兆6,000億円にもなると予想されており、現在のビジネスシーンに必要不可欠なものとなっています。
自社ECとショッピングモールの比較
こちらでは、自社ECサイトとショッピングモール型の比較を行っていきます。
それぞれの特性を理解して、どちらを採用するかの判断が必要となってきます。
ショッピングモールのメリットとは?
ショッピングモールの最大のメリットは、知名度の低いお店であっても、すぐに集客が期待できることです。
ショッピングモールには、既に一定の顧客が集まってきますので、顧客のニーズと取り扱っている商品が合致した際には、お店の知名度が高くなくても、購入して頂けます。
自社ECサイトのメリットとは?
自社ECサイトのメリットは、好きなマーケティングの方法を選ぶことができる点です。
マーケティングにも、SEO対策、SEMやディスプレイ広告、SMS対策やSNSでの宣伝など、様々な種類があります。
また、他のメリットとしては、ショッピングモールの店舗と違い、企業のブランド力や特徴などの色を出していくことが可能な点です。
特に、「パッケージ型」や「オープンソース」などは、カスタマイズの幅が非常に広がりますので、会社や製品の「色」をとことんアピールできるサイトを作成することもできます。
自社ECサイトとショッピングモールの両方を運営するのはどうか?
勿論、自社ECサイトとショッピングモールの両方を併用して、運営していくことも可能となります。
その場合には、両方の料金が発生するため、経費は多く掛かってきますが、利益が出ている企業であれば、問題はないと思います。
ショッピングモールで、顧客に自社商品を知ってもらい、後々はECサイトにアクセスしてもらうことも可能です。
ですが、ショッピングモールは、売上が上がるほど、手数料が高額になってしまいます。
そのため、自社のECサイトの知名度が上がるまで、併用していき、後々はECサイトのみに特化していくなど、戦略的に運営することも一つの手であるといえます。
自社ECを構築する手段
こちらでは、自社ECサイトを構築する手段をいくつかご紹介します。
種類ごとのメリットやデメリット、費用などを詳しく解説していきます。
フルスクラッチ
ゼロからオリジナル性の高い自由なECサイトを作成したい際に、おすすめのサービスとなっています。
年商が50億円以上のECサイトの運営を考えている企業向けとなっています。
既存のソースコードなどを使用せず、UIやUXを思い通りに実現するサイトを作りたい方に好まれているといえます。
フルスクラッチのメリット
企業ごとに、「オリジナル性の高い自由なECサイト」を作成できる。
フルスクラッチのデメリット
コストが膨大である点。
ECサイト構築のための高い技術力が必要になるだけでなく、作成までの時間が掛かってしまう点。
システムが段々と古くなってしまう点。
フルスクラッチの費用
フルスクラッチで、ECサイトを構築する際には、最低でも300万円~500万円は必要となると考えてください。
さらに、通常よりも、機能を多くしたいなど、カスタマイズが必要になる際には、場合によっては1,000万円近く掛かってきてしまうケースもあります。
ECパッケージ
フルスクラッチよりも安価で、非常に高いカスタマイズ性のあるサービスが、「パッケージ型」になります。
基本的に、パッケージ型には、ECサイトを構築する際に、必要となる機能が揃っているサービスです。
標準機能だけで、ECサイトの構築は可能ですが、パッケージ型を使用する場合には、追加カスタマイズを行っていくのが、一般的な使用方法になります。
使用方法によっては、フルスクラッチのような複雑なシステムの連携も可能です。
年商が1億円以上のサイトを運営したい企業向けのサービスとなっています。
ECパッケージのメリット
- フルスクラッチと大差のない機能性がありながら、安価である点。
- 導入時間が短くて済む点。
- カスタマイズ性が高い点。
ECパッケージのデメリット
- カスタマイズの費用が高くなる点。
- システムが段々と古くなってしまう点。
ECパッケージの費用
こちらでは、いくつかの種類のパッケージ型の料金を比較していきます。
中堅企業向けのサービスと大手企業向けのサービスに分けて紹介していきます。
中堅企業向け | ecbeing | ・パッケージ型
初期費用:500万円~ ・クラウド型 初期費用:49万円~ |
HIT-MALL | ・BtoC向け
初期費用:280万円~ 年間保守費用:初期費用の10%の金額 ・BtoB向け 初期費用:380万円~ 年間保守費用:初期費用の10%の金額 |
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ECオリジン | ・BtoC向け
初期費用:300万円~ ・BtoB向け 初期費用:300万円~
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EC Direct | 初期費用:300万円程度 |
大手企業向け | ebisumart | ・従量課金プラン、固定料金プラン
初期費用:300万円~ ・レベニューシェアプラン 初期費用:1,000万円~ |
EC-ORANGE | 導入費用:1,000万円~ | |
SI Web Shopping | 百万~数億円程度 | |
コマース21 | 導入費用:2,000万円~ |
オープンソース
オープンソースとは、既存のプログラムを利用してサイトを構築していく方法となります。
オープンソースは、パッケージのサービスの一つなので、サーバーは自分達で用意する必要性があります。
オープンソースのメリット
オープンソースの最大のメリットは、「ライセンス費用」が掛からないことです。
ライセンス費用とは、オープンソースなどのシステムの開発者から、システムの使用の許可を貰う際に、支払う費用のことをいいます。
オープンソースでは、その費用が掛からない場合が多いです。
オープンソースのデメリット
費用が安い分、セキュリティ面が脆弱であることが多い点。
障害が起きても、自己責任になる点。
システムが段々と古くなってくる点。
オープンソースの費用
オープンソースを導入すると、以下の費用が掛かってきます。
ドメイン費用 | 年間数千円程度 |
サーバー費用 | 使用するサーバーにより異なる(自社内サーバーorレンタルサーバー等) |
デザイン費用 | 有料デザインの場合:5,000円から1万円
外注に頼る場合:十万~100万円程度 |
決済手数料 | クレジット決済:3~10%程度
コンビニ決済:2~5%程度 電子マネー:3~4%程度 |
ショッピングカートASP
費用が安く、専門的な知識が無くても、サイトの作成が可能な方法です。
低価格ですが、ECサイトに必要な機能は揃っているので、運営するだけならASPで十分だといえます。
ショッピングカートASPのメリット
コストが安く済む点。
すぐに導入でき、常にシステムが更新されるため、システムが古くなる心配がない点。
ショッピングカートASPのデメリット
カスタマイズができないので、中規模または大規模ECサイト向けではない点。
システムの連携ができない点。
ショッピングカートASPの費用
ASPの費用には、以下の料金が掛かってきます。
サイトの設計等 | ・コンセプトワーク
相場5~50万円前後 ・サイトマップ、ワイヤーフレーム 相場5~20万円前後 |
デザイン | ・TOPページ
①1つのデバイス対応デザイン 相場5~20万円 ②複数のデバイス対応レスポンシブデザイン 相場10~30万円 ・商品ページ 相場5~10万円 ・カテゴリページ 相場5~10万円 |
ページコーティング、CMSへの設置 | ・TOPページ
①1つのデバイス対応デザイン 相場5~20万円 ②複数のデバイス対応レスポンシブデザイン 相場10~30万円 ・商品ページ 相場5~10万円 ・カテゴリページ 相場5~10万円 |
商品登録 | 相場5~20万円 |
オープン前テスト | ・カテゴリや配送等
相場5~10万円 ・フォーム設置、会員ページ、カート等 相場5~20万円 ・SEO対策 相場10~40万円 ・ドメイン切替等 相場5~20万円 |
その他にも、費用がプラスされていき、大体の合計金額の相場は、80~400万円程度となっています。
クラウドEC
最後にご紹介するのが、「クラウドEC」。
こちらは、ASPやパッケージ型、フルスクラッチの良い点を全て取り入れているようなサービスとなっています。
クラウド上の共通のプラットフォームを利用しつつも、カスタマイズも可能という優れたシステムです。
クラウドECのメリット
ASPよりもカスタマイズができるようになっている点。
システムが更新されるので、古くなる心配がない点。
クラウドECのデメリット
料金について、ASPほどの価格の安さではない点。
クラウドECの費用
初期費用が最低でも500万円以上となっており、月額費用も基本的に数十万円となっています。
ASPよりも高くはなりますが、フルスクラッチよりは、安価となっています。
自社ECのメリットとデメリット
こちらでは、自社ECサイトのメリットやデメリットについて、解説していきます。
導入をご検討の方は、是非参考にしてください。
自社ECのメリット
自社ECサイトのメリットについて、説明していきます。
利益率の高さ
ショッピングモールに出店しますと、売上が大きくなるにつれて、手数料も高額になっていきます。
気軽に始めやすいショッピングモールですが、売上金額の大きいショップにとっては、デメリットになり兼ねません。
自社ECサイトであれば、売上から差し引く経費は、仕入れ金額と人件費、月額料金のみとなりますので、ショッピングモールよりも、利益が出しやすくなります。
リピート率の高さ
ショッピングモールでは、商品を検索して、顧客のニーズに合った製品を購入して頂くことはできますが、会社や自社製品の知名度がそこから上がっていく確率が高くはありません。
そのため、リピートに繋がる確率は高くないといえるでしょう。
それに比べて、ECサイトでは、マーケティングの方法を工夫することで、リピート率を上げやすくなります。
例を挙げるとすれば、会員のポイントが貯まるようなサービスはじめ、定期的な割引セールやメルマガなどになります。
ブランド化しやすい
ショッピングモールであれば、企業と商品のブランド力をアピールしたり、独自の色を出していくのが、困難であるといえます。
ですが、ECサイトでは、カスタマイズを行うことができますので、自由にサイトを作成することができます。
その結果、会社や商品の色や特徴を出しやすく、ブランド化を図ることができます。
自社ECのデメリット
自社ECサイトにも、デメリットはありますので、紹介していきます。
集客がより重要
ECサイトを運営する際に、問題となってくるのが、集客になります。
知名度が高い企業やブランドなどのサイトは、特に宣伝しなくても、顧客に周知されており、向こうからアクセスしてもらえます。
ですが、ECサイトを立ち上げたばかりの企業であれば、マーケティングでの宣伝に力を入れないと、集客は全く見込めないといえます。
そのため、ショッピングモールにて、ネット通販を始めていき、後々ECサイトに移行していくのも、一つの手であると思います。
自社ECで重要なポイント
こちらでは、自社ECサイトを運営していく上で、重要になってくるポイントについて、詳しく解説していきます。
集客
ECサイトの集客を増やしていくためには、いくつかの方法があります。
SEOマーケティング
ブログなどで、記事を作成して、ブログのアクセス数が増えていけば、サイトへの集客が増えるという方法。
メリットは、費用が掛かることなく、簡単に始めやすい点です。
デメリットとしては、長期(半年~1年以上)でしか効果が出てこない点です。
短期間で効果が出ることは、ほとんど無いと言い切ってもいいです。
SNSでの宣伝
ECプラットフォームの種類によっては、SNSとの連携の機能がついているものもありますが、SNSで宣伝することで、集客を上げることも可能となります。
その他にも、リスティング広告やディスプレイ広告などがあります。
これらの従来のやり方とは別で、最近話題になってきているのが、「メディア化」です。
コラムコンテンツをはじめ、動画コンテンツなどで、良い情報を宣伝することにより、ユーザーのニーズに対応していく方法となります。
CVR
CVRとは、ECサイトにアクセスした人のうち、どれくらいのお客様が、購入や会員登録、申し込みなどを行ったかの割合のことをいいます。
CVRを上げていくには、購入までのストーリー作りが必要になってきますし、特定のページのCVRが低い場合には、ページの内容の改善を行っていく必要性があります。
リピート率
ECサイトで売上を上げていくために、リピート率は絶対に気にしないといけない項目になります。
リピート率が高いショップというのは、商品やサイトに対しての満足感が高い場合が多いため、リピートに繋がっているといえます。
集客を増やしていくのも大切ですが、リピート率も上げていくことで、さらに利益を増やすことが可能となります。
自社ECの事例
自社ECサイトの実際の事例を紹介していきます。
コメリ
「お歳暮特集」や「新米特集」のように、その時期に合わせた商品の特集ページを設けています。
この特集ページでは、商品に関する詳しい情報を公開しており、顧客の購買意欲を刺激しています。
知識を求める顧客の心を掴みながら集客に繋げていき、最終的に売上増やすことができています。
ライフフォース
ライフフォースは、化粧品のネット通販サイトを運営しています。
こちらの会社は、フェイスブックを上手く活用して、集客を向上させてきました。
ECサイトとフェイスブックの連携で、成功した事例といえます。
集客だけでなく、ブランドイメージも向上させることができている点についても、素晴らしい成果を出している成功例といえるでしょう。
EC運営に合わせて確認したいこと
EC運用に合わせてSNSの運用は出来ていますでしょうか?
ECにおいて、SNSの活用は必須です。
LINEやInstagramをECに活用した事例を下記にてまとめていますので、併せてぜひご覧ください。
EC事業におけるLINEの活用方法とは?具体的な施策や事例とともに解説