ソーシャルギフトの市場規模は、2022年で約10兆1,980億円に上ると言われており、2021年以降は新型コロナ流行の影響で中止になった冠婚葬祭等のイベントの代わりに、「気持ちを伝える手段」としてギフトを贈り合うというニーズが拡大しています。
(引用:ギフト市場に関する調査を実施(2021年) | ニュース・トピックス | 市場調査とマーケティングの矢野経済研究所 (yano.co.jp) )
そのため、多くの企業がソーシャルギフトを導入し、販促の拡大に繋げています。
この記事では、ソーシャルギフトの説明をはじめ、ソーシャルギフトの贈り方・ソーシャルギフト機能を活用するメリット・ソーシャルギフトの機能について・ソーシャルギフトを自社ECに導入する方法などについて詳しく解説していきます。
ソーシャルギフトとは
ソーシャルギフトとは、送りたい相手の住所が分からなくても、メール・LINE等のSNSを使用してギフトを贈ることのできるサービスのことを指します。
代表例として挙げられるのは「LINEギフト」「giftee」などです。
ソーシャルギフトを利用してプレゼントを贈る場合、ソーシャルギフトを導入しているECサイトで決済に進むだけで贈ることができます。
受け取る側も、購入者から送られてきた「専用URL」にアクセスし、発送先住所・受け取り場所・日時を設定することでプレゼントの受け取りが完了します。
大手メッセージアプリであるLINEも、「LINEギフト」を強化しており、国内2,000万人のユーザーを獲得しています。
ソーシャルギフトの贈り方
SNSでプレゼントを贈るまでのステップは以下の通りです。
①ソーシャルギフトサービスを決める
②贈りたいギフトを選択する
③メッセージ・画像等の設定
④ギフトの注文
⑤ギフトを受け取るためのURLを贈りたい相手に共有する
⑥受け取る側がURLから必要な情報を入力する
ギフトの選択から発注までオンライン上で完了することができます。
ソーシャルギフト機能を活用するメリット
ソーシャルギフト機能を活用するメリットには「住所や名前などの情報が不要なためハードルが低い」「様々な活用方法が考えられるため使ってもらう機会が多い」という2つのメリットが挙げられます。
住所や名前などの情報が不要なためハードルが低い
ソーシャルギフトのメリットとしてまず挙げられるのが、「贈るためのハードルが低い」ということです。
配送先の住所は受け取る側が入力しますので、贈る側は相手の住所や名前などの情報が必要ないため、ハードルが非常に低くなります。
そのため、SNSで仲良くなった友達・住所を聞きにくい相手に対しても気軽に送ることができます。
配送日時を受け取り側が決めてくれる点も、ハードルが下がっている要因の一つとなっています。
様々な活用方法が考えられるため使ってもらう機会が多い
ソーシャルギフトを事業者が導入しますと、様々な活用方法が考えられますのでユーザーに使ってもらえる機会が多く、認知拡大・リピート購入が期待できるというメリットがあります。
これまで自分用の商品を買うだけの考えだったユーザーが、ソーシャルギフトを利用することで他の人へのプレゼントを購入するという目的で活用してもらえますし、ギフトを受け取った側は必ず受け取る製品・ブランドの存在を認知することになりますので、贈る側から受け取る側に認知が広がっていきます。
ユーザーにとって様々な活用方法で使用してもらえることで、認知が広がっていき、沢山の人に利用して頂けるようになります。
また既存のお客様から再度「ソーシャルギフト」を利用してもらうことで、リピート率が向上していきます。
ソーシャルギフト機能とは
ソーシャルギフト機能を自社のECサイトに導入する際、「ソーシャルギフト専用のカート項目」「ソーシャルギフト用の在庫、受注管理」といった専用機能が必要になります。
ソーシャルギフト専用のカート項目
通常のECサイトでは、注文者がお届け先の情報を入力した状態で注文確定を行いますが、ソーシャルギフトでは注文確定後に受け取る側が入力しますので、「専用の入力画面」が必要になります。
また受け取る側に送るための「ソーシャルギフト専用URL」の生成も必要となります。
ギフトレター・メッセージ送付機能は、ギフトの特別感を演出できますのでユーザーに喜ばれます。
先程も少し説明しましたが、(贈る側)と(受け取る側)のそれぞれの流れは以下の通りになります。
(贈る側)
①贈る側が商品を選択し、決済を行う
②ギフトレター・メッセージ送付
③注文完了後、システム側で生成される専用URLを受け取り側の人にメール・SNSで送る
(受け取る側)
①メッセージを受信する
②受け取り側が受取場所・受取日時等を入力
ソーシャルギフト用の在庫、受注管理
ソーシャルギフトでは送る側が決済を完了させても、発送先の情報が入力されなければ注文が完了されません。
受け取り側が情報を入力して初めて注文が完了し、商品を発送できます。
商品在庫の確保については、受け取る側の方が情報を入力してくれることを前提に、送る側が注文を完了した時点で抑えておく必要があります。
しかし、ECサイトの運営上、長い期間在庫を確保しておくことが困難であるといえるでしょう。
この事態を防ぐためには、受け取り側の情報入力期間を設定しておき、期限が切れた場合には自動でキャンセルになるような仕組みが必要になります。
受注管理においても、自動キャンセルが発生しないように、必要に応じて贈る側の注文者に対してリマインドメッセージで通知を行えるようにしておくことで、売り逃しによる機会損失を防げるようにしておくと良いでしょう。
プライバシー保護の観点においても、商品発送メール等の受注関連メールは贈る側と受け取る側で送付内容を分けておく仕組みにしておく必要があります。
ソーシャルギフトを自社ECに導入する方法
ソーシャルギフトを自社ECサイトに導入する方法には、「ソーシャルギフト機能の開発」「カートに備わったソーシャルギフト機能を活用する」「ソーシャルギフト機能を持つカートシステムへの移管」「ソーシャルギフトサービスを利用する」の4つの方法が挙げられます。
ソーシャルギフト機能の開発 | カートに備わったソーシャルギフト機能を活用する | ソーシャルギフト機能を持つカートシステムへの移管 | |
開発工程 | 要件定義➡設計➡開発 | 併用運用 | システム移管(切替・リプレイス) |
動作確認 | 大(正常に動作するまで修正・動作確認の繰り返し) | 小(自社運用にマッチするかを確認) | 小(自社運用にマッチするかを確認) |
サイト構築 | ソーシャルギフトカート部分のみ必要 | 必要 | 必要 |
データ移管 | 不要 | 不要 | CSVで一括 |
ドメイン認定 | 対応不可 | 新たに用意 | 旧カートシステムから切替 |
受注運用 | 一元管理 | 二重管理 | 一元管理 |
導入費用 | 莫大 | 利用料金のみ | 利用料金のみ |
ソーシャルギフト機能の開発
①スクラッチ開発
カートシステムがスクラッチ開発でカスタマイズ可能なシステムの場合、ソーシャルギフト機能をカートシステムに組み込む方法があります。
ソーシャルギフトは実際に商品をカートに入れた後の画面を操作してみると分かりますが、従来のカートステップとは購入導線が異なってきます。
通常のECカートと別にソーシャルギフト専用カートを用意するイメージです。
カスタマイズは容易ではありませんし、実施方法を模索する場合、カート部分は大きなカスタマイズになりますので、開発費用や対応コストなど莫大な投資が必要になります。
②ASP・クラウド型
ASP・クラウド型のカートシステムの場合、まずは提供企業に対応状況・導入予定を確認してください。
カスタマイズ可能なASPの場合では、追加機能開発が可能か・カスタマイズが必要かについての確認が必要になります。
カートに備わったソーシャルギフト機能を活用する
ソーシャルギフト機能が備わったカートシステムであれば、ソーシャルギフト商品だけを登録してその部分のみを利用することができます。
通常のECサイトとは別のシステムで、ソーシャルギフト商品のみの専用カートを用意した場合、カートシステムを併用運用することになりますので注意する点があります。
サイト側のデザインを統一させることで同一のシステムに見せかけることは可能ですが、バックヤードのシステムは分かれています。
本サイトとは別のドメインが必要になる・受注管理や在庫管理・顧客対応について二重管理が発生してしまうため、管理側の手間が掛かることを知っておかないといけません。
ソーシャルギフト機能を持つカートシステムへの移管
ソーシャルギフトに対応したシステムに移管する方法があります。
システムの移管は以下の3ステップで完了できます。
①サイト構築➡②データの移管➡③ドメイン切替
上記3ステップの確認ポイントは以下の通りです。
サイト構築➡自社ブランドイメージのデザインを実現できるのか
データの移管➡CSV形式で一括移管する方法
ドメイン切替➡DNSレコードを変更する方法
オリジナルデザインでブランドイメージを訴求するようなこだわりのあるECサイトを構築できるASP・クラウドEC型のカートシステムも開発されており、大手企業も数多く採用しています。
構築可能なデザインについては、公開されている導入事例を確認するようにしてください。
データの移管での注意点は、会員情報のパスワード・クレジットカード情報を引き継げない点です。
新システムで会員自身に再登録して頂かないといけなくなりますので、再登録を促す必要があります。
ドメインについては、ECの担当者・運営者であっても、これまでどんな管理をされてきたのかを意外と知らないケースが存在します。
不明な場合にはメインの所有者を確認し、DNSコードを変更する方法を確認しておくことで、切り替え時に慌てる必要が無くなります。
ソーシャルギフトサービスを利用する
すぐにソーシャルギフトを導入したい場合には、既存のサービスを利用すると良いでしょう。
ソーシャルギフトサービスとは「ECモール」のようなものであり、複数の店舗が商品を掲載しています。
ここに出店することで、サービス自体が持つ集客力も利用でき、販路の拡大も期待できます。
デメリットとして挙げられるのは、サービスを利用する際に掛かる販売手数料です。
自社システムを一から開発するコスト・手間と比較する場合にはメリットが大きいといえるでしょう。