インターネット・SNSの普及により、D2Cビジネスの市場は大きく成長しています。
店舗を持たなくても運営が可能ですし、ブランディングしやすいなどのメリットがあるため、多くの企業が取り入れています。
D2Cをご存じの方も多いと思いますが、どのようにマーケティングを進めていけばいいのか、分からない方もいらっしゃると思います。
この記事では、D2Cの説明をはじめ、D2CとECの違い・D2Cのマーケティング手法・D2Cマーケティングのポイント・D2Cマーケティングの事例などについて詳しく説明していきます。
D2Cとは
D2Cとは「Direct to Consumer」を略した言葉であり、メーカー直販のことをいいます。
企業が企画・製造を行った製品を消費者に直接販売するビジネスモデルのことです。
今までも消費者に商品を直接販売する手法はありましたが、近年のインターネットの普及により、D2Cは重要なビジネスモデルとなっています。
インターネットやスマートフォンの普及により、消費者は画像・動画などを通して消費者と直接コミュニケーションを図ることができるようになりました。
またインターネットを通じて商品を購入するユーザーの増加も、D2C市場の成長に拍車をかけています。
デジタルD2Cの市場規模は、2023年が2兆7700億円・2025年が3兆円に達すると予想されています。
D2Cについてさらに詳しく知りたい方は、以下のURLの記事をご覧ください。
D2C(Direct to Consumer)とは?成功事例と共にわかりやすく徹底解説 | Hummingbird (humming-bird.info)
D2CとECの違い
D2Cは2010年頃に誕生したビジネスモデルです。
メーカーが自社で企画・製造した製品を流通業者・小売店を介さずに販売する仕組みを取っています。
一方で、ECはインターネットを介して商品・サービスを販売する方法のことを指します。
どちらの言葉も商品・サービスを販売する際に使用される言葉になりますが、D2Cは販売の仕組みそのものを意味しています。
ECはオンライン上の取引形態を意味している言葉であり、ECの展開方法の一つにD2Cがあるとイメージすると良いでしょう。
D2Cの課題、難しさ
D2Cの課題・難しさとして、「ブランド力や商品力が重要になる」「ブランドとしての発信が必要」「集客などで初期投資が必要になる」「基本的には店舗を持たないため販路が必要」などの4つの課題が挙げられます。
以下で詳しく説明していきます。
ブランド力や商品力が重要になる
通常、消費者はECサイトの情報を元に商品を購入するかを決めますので、購入して頂くためにはブランド力・商品力が必要になってきます。
店舗での販売の場合、売れない商品でも価格を下げることである程度売ってしまうことができますが、D2Cで価格を下げると悪い印象を持たれる可能性があり、それが要因となって売れ行きが悪くなる場合もあります。
そのため、販売リスクの高い手法であることを理解しておきましょう。
ブランドとしての発信が必要
近年では、商品を売るということが、モノ消費ではなくコト消費となってきています。
コト消費とは商品から得られる体験価値に着目して購入することを意味します。
自動車を例を挙げて説明しますと、最高時速・燃費などの特性ではなく、家族でドライブを楽しむ等の体験価値を決めて、その内容に基づいて商品設計を行って商品を販売します。
ファミリーバン・ハイブリットカーなどはこれに該当します。
D2Cブランドでは、商品を取り巻く世界観を上手く消費者に伝える必要があります。
SNSをはじめ、オウンドメディア・Web等を駆使して商品の世界観を伝えることで、商品の売れ行きも良くなります。
集客などで初期投資が必要になる
D2Cは、新規顧客を獲得するために広告を使って集客を行っていきます。
リピート顧客の売上で利益を増加させていく「先行投資型」のビジネスモデルといえます。
D2Cの初期費用は以下の通りです。
①商品の企画・製造費用
②ECサイトの構築やLPなどの作成費用
③物流コスト
④広告費
⑤決算方法の導入手数料
⑥人件費
基本的にD2Cは黒字になるのに2年程掛かると言われています。
事業が軌道に乗るまでは、多くの費用が掛かってくることを覚悟しましょう。
基本的には店舗を持たないため販路が必要
店舗経営の場合、顧客の多い場所に出店することで、そのお店・ブランドを知らない消費者でもフラッと小売店に入ってきて、商品を知って頂くことができ、購入することでファンになって頂くことも期待できます。
一方で、D2Cは店舗を持っていない企業が多いため、そういった顧客の獲得を期待できません。
広告等の宣伝を行うことで、自社製品・サービスを知って頂く必要がありますので、知名度が高くなるまでは、そのような販路を確保していきましょう
D2Cのマーケティング手法
D2Cのマーケティング手法においては、主に「SNSマーケティング」「オウンドメディア」「ポップアップストア」「web広告」「インフルエンサーマーケティング」「アンバサダーマーケティング」「メルマガ・LINE」などの7つの手法が挙げられます。
以下で詳しく説明していきます。
SNSマーケティング
(引用:ユニクロ公式(@uniqlo_jp) • Instagram写真と動画 )
SNSは強力なマーケティングツールになります。
フォロワーを増加させることができれば、広告費を掛けることなく集客を行うことが可能になります。
商品・サービスが魅力的である場合には、ユーザーが良い口コミを投稿してくれたり、自分から広げてくれます。
SNSからメルマガ・LINE等に登録して頂いて顧客との関係性を築いていき、セールスに繋げる流れが理想といえるでしょう。
SNSからECサイトにアクセスしてもらって、直接商品が売れるケースも存在します。
SNSの代表的な種類は以下の3つになります。
①X(旧Twitter)
②Instagram
③Facebook
各種SNSの使い分け
各SNSの種類によって、使用しているユーザー層やユーザーの属性も変わるため、各種SNSを上手く使い分けることで、効果的に宣伝を行うことができます。
例を挙げますと、Twitterは年齢層が10代~20代が最も多く、男女も割合は女性 41.8%、男性 42.7%と平均的であることが分かります。
Instagramにおいても10代~20代のユーザーが最も多いですが、男女比率は女性 49.4%、男性 35.3%となっており、女性の支持を得ているSNSだと分かります。
このようなユーザーの属性を把握して、自社製品・サービスのターゲット層の多いSNSに対して積極的に宣伝していくと効果を上げやすいといえるでしょう。
また、Twitterは最も拡散されやすいSNSだと言われていたり、Facebookは実名登録のため、リアルな知り合いが多いなど、それぞれのSNSに特徴がありますので、これらもしっかりと把握して使い分けを行ってください。
オウンドメディア
オウンドメディアを作成し、SEO対策で検索上位を狙うのも有効なマーケティング手法の一つといえるでしょう。
検索上位に表示を行うことができれば、広告費を掛けることなく集客が可能になります。
見込み顧客のアクセスを得ることのできるKWで検索上位を獲得することは簡単ではなく、専門的な知識・スキルが必要になります。
自社で対応できない場合、業者に委託することになりますが、すぐに成果が出るものではありませんので、まとまった予算が必要になるケースが多いといえます。
メディアが育つことで費用対効果の高いマーケティングが実現可能ではありますが、予算が少ない場合には先にSNSを優先させる方が良いといえるでしょう。
ポップアップストア
ポップアップストアとは、期間限定のイベントで出店するショップのことをいい、話題性の高いイベントに出店して、来店してくれた消費者がSNSに投稿したくなるような仕掛けを作ることをいいます。
SNS映えになるような商品・グッズを用意する、SNSに投稿すると特典が貰えるなどの施策を行います。
バズらせることで、認知度を上げていき、最終的に多くのファンを獲得することを目指します。
web広告
Web広告を活用する方法もあります。
ここで注意しないといけないことですが、従来の広告では多くのターゲット層に宣伝することができますが、D2Cではむしろ「広告を打つターゲット層の幅を狭める」ことになります。
D2Cの広告では、消費者目線でターゲット層にいかに合っているものを提供できているかが肝心になります。
「年齢」「性別」「地域」を指定して、特定のターゲット層にだけ広告を届けることで、効果的に見込み顧客の獲得を行えます。
そのため、まずは自社製品・サービスをどのターゲット層に販売していくのかをしっかりと決めてから広告を打ち出すようにしましょう。
インフルエンサーマーケティング
D2Cでインフルエンサーマーケティングを活用するメリットは以下の4つです。
①サイトへに集客効果
②ブランドへの親近感を高める
③製品・サービスの説得力・安心感の訴求
④広告宣伝費を抑えることに繋がる
インフルエンサーの高い認知度・影響力により、自社Webサイトへの集客効果を狙う手法です。
インフルエンサーに紹介して頂いた商品については、インフルエンサーのファン層のユーザーに親近感を抱いて頂ける可能性が高く、購買意欲を高めることに繋がります。
またユーザーがインフルエンサーの投稿を拡散してくれると、広告費を掛けなくても多くの人の目に届けることができますので、広告費の削減にも繋がります。
アンバサダーマーケティング
アンバサダーマーケティングとは、ブランド・商品などの情報をPR活動して広めてくれる人を採用して、商品・サービスの良さを宣伝していく手法になります。
アンバサダーを採用しますと、SNSを中心として積極的に商品・サービスの魅力を発信してくれます。
ただし、単純にアンバサダー募集してもなかなかSNSによる効果的なUGCを生み出すことが難しく、アンバサダーの選定には注意する必要があります。
Instagram等で定期的にイベントを開催しても、イベントが終了すると投稿が途絶えてしまう可能性も高く、定期的に商品・サービスのことを投稿したくなる仕組み作りを行う必要があります。
メルマガ・LINE
メルマガ・公式LINEアカウントでは、直接見込み顧客にセールスしたり、商品・サービスの魅力を伝えることができます。
そもそもメルマガに登録・公式LINEアカウントを友だちに追加してくれる人は、商品・サービスに少なからず関心を持っていますので、上手く活用して魅力を伝えることができましたら、CVRを向上させることに繋げることができます。
しかし、読者が多すぎると感じるほどに一方的に送り付けてしまうとブロックされる可能性がありますので、情報発信の頻度には気を付けましょう。
D2Cマーケティングのポイント
D2Cマーケティングのポイントとして、「ターゲット顧客を設定する」「LTVを計測し、マーケティングの基準とする」「ブランディングによる世界観の構築」「ユーザーとの双方向のコミュニケーション」などの4つのポイントが挙げられます。
以下で詳しく説明していきます。
ターゲット顧客を設定する
最初に自社製品・サービスのターゲットとなる顧客を設定しましょう。
年齢・性別・居住地などの幅広い範囲だけでなく、そこから踏み込んだ価値観・好みなど、自社製品を使って頂きたい人物像を描いて絞り込んでいくと良いでしょう。
ターゲットを絞り込むことで、そういった層に刺さるマーケティング戦略を進めることができます。
LTVを計測し、マーケティングの基準とする
LTVとは顧客生涯価値のことであり、「顧客が特定の商品やサービスに対して生涯支払った金額」という意味を持つ言葉になります。
D2Cビジネスにおいて、売上を向上させるためには自社のファンを増やす必要があります。
リポート顧客の獲得とLTVの最大化こそが、Web集客施策において最も重要な項目といえるでしょう。
そのためには、それぞれのWeb集客施策を正しく評価して、マーケティング戦略を改善していかないといけませんが、その際の判断基準として「LTVの計測」を行う必要があります。
ブランディングによる世界観の構築
D2Cのメインの消費者層は、ミレニアム世代とZ世代と言われています。
この世代の特徴として、単純に「商品を購入できればいい」と考えないという点が挙げられます。
ブランドの世界観または価値観を共有するブランドに目を向ける傾向が見られます。
成功しているD2Cブランドでは、独自の世界観の構築を行っており、ブランドのオリジナリティ・顧客体験の設計を欠かすことはありません。
ユーザーとの双方向のコミュニケーション
SNSを活用したマーケティングを進める場合、自社商品の情報発信だけでなく、ユーザーとの積極的なコミュニケーションも重要視していきましょう。
Instagram・Twitterなどに備わっているアンケート機能を活用しますと、消費者からの生の声=本音の意見を集めることができます。
ライブ配信機能が備わっているSNSでは、リアルタイムでユーザーと会話ができ、より多くの情報を伝えることができます。
D2Cマーケティングの事例
D2Cマーケティングの事例として、「Basefood」「ネスレ」「Bulk homme」「Apple」などの4つの事例が挙げられます。
以下で詳しく説明していきます。
Basefood
(引用:完全栄養食 BASE FOOD(ベースフード) )
Basefoodはパン・パスタの販売を行っている食品関係のD2C企業です。
販売方法としてサブスクリプションを採用し、自宅に毎月食品が届くというシステムを運営しています。
サービス開始当初から、商品自体に課題を感じていたため、ユーザーインタビュー・口コミで消費者の意見を確認していき、商品改良に活かすことで環境を構築し、継続ユーザーを増やすことに繋がりました。
ネスレ
(引用:[公式]ネスカフェ ドルチェ グスト オンラインショップ (nestle.jp) )
ネスレは世帯人数が減少傾向にある中で、コーヒーを自宅で飲んで頂けなくなり、カフェで飲むものであるという消費者の意識の変化に危機感を感じ、カプセルを投入するだけでコーヒーが淹れられる「ドルチェグスト」「バリスタ」のようなコーヒーマシンの直販を開始しました。
ネスレアミューズといったオンデマンドメディアの運用も開始し、会員登録を行った顧客と直接繋がるようになりました。
職場にコーヒーマシンを導入する場合には、管理を行う人にネスカフェアンバサダーになってもらう施策を進めています。
アンバサダーがマシンの管理・代金の聴徴収などを行う際に、商品に詳しいKOLとして他の商品も勧めていき、家庭でもコーヒーマシンを導入する人を増やすことで成長軌道に乗ることができています。
Bulk homme
(引用:【公式】BULK HOMME(バルクオム) | ベーシックメンズスキンケア )
Bulk hommeはメンズスキンケアブランを展開する企業です。
20~30代の男性に向けて、フェイスケア・ボディケア・ヘアケア等の基礎化粧品の販売を行っています。
オンラインでの定期購入を基本としており、Instagram広告・有名人の起用によって認知度を上げていきました。
認知拡大とともにCRM改善やLTV向上に注力していき、必要な部分は自動化を行うなど、リソースを抑えつつも継続利用される施策の実施により成功した事例の1つです。
Apple
(引用:公式 Apple サポートコミュニティ )
Appleは早い段階で、D2Cと呼ばれる施策を進めてきました。
公式サイト内にコミュニティペースを設けることで、ユーザー同士が質問しあう・議論しあうようにし、アメリカではAppleのエンジニアが直接応答するケースも存在します。
販売についても公式サイトの直販オンラインストア・店舗を中心にし、大手量販店で販売を行う場合でも、アップルストアに準じたサービスを提供するようにしています。
こういった徹底した仕組みを構築することで、Appleの世界観を直接消費者に届けることができています。
このような戦略の結果として、Appleの消費者には「信者」と言われるようなファンが多く存在しています。
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