ソーシャルセリングとは、SNSを通じてユーザーと直接コミュニケーションを取っていき、最終的に購買に繋げていくマーケテイング手法の一つです。
日本ではまだ馴染みのないマーケテイング手法にはなりますが、米国では約70%の営業人材が活用しているメジャーな手法となります。
日本では積極的に行っている企業が少ないため、注意点に気を付けながら導入を行うことで、見込み顧客の獲得に繋げることができる可能性が高いといえるでしょう。
この記事では、ソーシャルセリングの説明をはじめ、SNSマーケテイングとの違い・ソーシャルセリングのメリット・ソーシャルセリングの実施方法・ソーシャルセリングで有効なツール・実施における注意点などについて詳しく説明していきます。
ソーシャルセリングとは
ソーシャルセリングとは、SNSで見込み顧客を見つけ出し、コミュニケーションを取っていくことで信頼関係を築いていき、購入へと繋げていく「BtoBマーケティング」の手法のことをいいます。
見込み顧客以外にも、既存の顧客に対するアフターケア・関係性の構築による顧客ロイヤリティの向上にも活用できます。
SNSを使用しますので、人材マッチング系・フリーランス向けのサービス等の業界には相性が良いといえるでしょう。
海外では一般的な手法
日本ではまだそこまで馴染みがないですが、米国ではソーシャルセリングを用いた営業活動が主流になっています。
LinkedInの営業セールス業界に関するレポート「State of Sales in 2016」において、米国の営業人材の約70%以上がソーシャルセリングを導入しているというデータが提示されています。
(これからの時代の新しい営業手法を網羅!ソーシャルセリング.com 本日公開|Minorityのプレスリリース (prtimes.jp) より引用)
LinkedIn社の調査によると、非実践者と比べますと、①販売機会+45%②売上目標達成率+51%③営業成績+78%という好成績を残していると報告されています。
SNSマーケティングとの違い
同じSNSを使用しますので、SNSマーケティングと同じであると勘違いされますが、この2つは別のマーケテイング手法になります。
【SNSマーケテイングの特徴】
①SNSの拡散によって多数の潜在顧客へのアプローチを目的にしているので、ターゲットの幅が広い。
②自社商品・サービスの認知度を高めること、ブランディングに繋げることが目的。
③潜在顧客の育成・購買の促進に使用している。
【ソーシャルセリングの特徴】
①SNSを使って見込み顧客・既存顧客への営業活動を目的にしている。
②見込み顧客と1対1で直接コミュニケーションを取ることで、信頼関係の構築を図り、購入に繋げることが目的。
③購買・契約等の行動に繋げることが目標である。
ソーシャルセリングのメリット
ソーシャルセリングのメリットとして、「見込み顧客にアプローチ出来る」「ファンを作ることが出来る」「成功確率が高い」の3つのメリットが挙げられます。
以下で詳しく説明していきます。
見込み顧客にアプローチ出来る
ソーシャルセリングは、接点を持ちたい見込み顧客をターゲティングした上で情報を届けることができます。
まず重点攻略対象を決めてから、その後にターゲティングした見込み顧客に対してSNSで情報を提供したり、リアクションを重ねることで接点を持つことから始めます。
ライトなコミュニケーションをベースにして、情報発信・リアクションを重ねることで、見込み顧客のニーズが顕在化した場合に、自社が第一想起されることに繋げることができます。
ファンを作ることが出来る
SNSを普段から活用しているユーザーを相手にする場合、自社のことを認識して頂けてもすぐに購入に繋がらないケースも少なくないといえるでしょう。
しかし、フォローをして頂くことで普段の活動・発信内容を閲覧・認知してもらうことができます。
SNSで発信を行うことで、ファンを増やすことができ、ユーザーの必要なタイミングで商品の購入・仕事の依頼に繋げていくことができます。
成功確率が高い
SNSが普及している現在では、情報収集方法としてSNSを活用するユーザーが増えています。
ソーシャルメディアを活用することで、業務に必要になるIT製品やサービスの情報収集を行うユーザーは7割以上居ると言われています。
そのため、ソーシャルセリングのようにSNSを活用したマーケテイング手法の成功確率は高くなると考えられます。
ソーシャルセリングの実施方法
ソーシャルセリングの実施方法は以下の通りです。
①目的やターゲットの設定
②目的に沿ったSNSの選定
③SNSでの発信
以下で詳しく説明していきます。
目的やターゲットの設定
ソーシャルセリングをどのような目的で行うのかを事前に決めておく必要があります。
具体例を挙げますと、知名度・認知度を高めることを目標とするのか、その先にあるコンバージョンに繋げることを目的とするのかといった内容で決めていきます。
目的が決まれば、次にどんなターゲットを狙うのかを決めていきましょう。
どんなユーザーを相手にコミュニケーションを図っていくのか、ターゲットにどういった効果を期待するのかというゴールを見据えておくことで、よりアクションの効果性を高めることが期待できます。
目的に沿ったSNSの選定
目的・ターゲットが決まりましたら、次に目的に沿ったSNSを選定していく必要があります。
SNSの種類によってユーザー層・機能が異なりますので、目的を達成するために自社がターゲットとする層・行うべきアクションを考慮してSNSを選定するようにしましょう。
それぞれのSNSの特徴や強みを理解して、ソーシャルセリングとして活用している実際の事例等を把握した上で、メインのSNSを決めていきましょう。
SNSでの発信
SNSの選定が終わりましたら、アカウントを作成し、実際に情報発信を行っていきましょう。
情報発信の際に重要となる項目が以下の3点です。
①ユーザーの役に立つ「ノウハウの提供」
②共感して頂くための「価値観・思想の共有」
③自社を認知してもらうための「自社サービスについて」
発信を行う投稿内容は①>②>③の順番で頻度・量を増やしていくと良いでしょう。
③のコンテンツばかりを発信していると、ユーザーからの評価が悪くなる可能性があります。
ソーシャルセリングで有効なツール
ソーシャルセリングで有効なツールは以下の通りです。
①Facebook
②Linkedin
③slide share
④X(旧Twitter)
⑤Instagram
それぞれについて以下で詳しく説明していきます。
(Facebook – ホーム | Facebook より引用)
Facebookの特徴は以下の通りです。
①国内の月間アクティブユーザー数は2,500万人
②世界のユーザー数は22億人
③Facebookの主なユーザー層は40・50代が中心
④個人アカウントの場合、実名登録制のため、信用度が高い傾向にある
⑤プライベートの使用機会が多く、ビジネスシーン以外の何気ないアクセスから、ページにアクセスしてもらえる可能性があり、見込み顧客にアプローチするチャンスが高いといえる
(LinkedIn 日本: ログインまたはメンバー登録 より引用)
Linkedinの特徴は以下の通りです。
①Linkedin会員が使用できる有料のビジネス特化型SNSである
②全世界のユーザー数は6億人
③見込み顧客を浮かび上がらせるフィルタリング機能・高度な検索システム等が充実
④Linkedinをヘッドハンティング等の採用活動に実践するケースも存在する
⑤仕組みはFacebookに近く、個人・企業単位でページを持つことができる
⑥有料広告を出すことが可能
slide share
(プレゼンテーションの共有と発見 |スライドシェア (slideshare.net) より引用)
slide shareの特徴は以下の通りです。
①Linkedinが運用している資料共有サービス
②スライドショー形式で資料を公開することができる
③スライドの閲覧・公開が無料であり、気軽な資料公開を行うことができる
④動画の挿入・ダウンロードの可否の設定が可能
X(旧Twitter)
(三井住友カード(@smcc_card)さん / X (twitter.com) より引用)
X(旧Twitter)の特徴は以下の通りです。
①140文字まで投稿が可能なツール
②国内ではFacebookよりもユーザーが多い
③拡散性が極めて高い
④BtoCのイメージが強いが、近年はBtoBにも活用されている
⑤企業・個人アカウントのどちらでも登録可能
⑥エンターテインメント性を好んでいるユーザーが多いため、過度な宣伝・ビジネスライクになり過ぎない工夫が必要
https://www.instagram.com/fluke_gourmet/
Instagramの特徴は以下の通りです。
①世界全体のユーザー数は約10億人
②国内の月間アクティブユーザー数は約3,300万人
③10~30代の女性ユーザーが中心
④BtoCの活用事例が多いSNSである
⑤位置情報のタグ付けが可能なため、店舗・イベントの告知に有効
⑥投稿を行う写真・動画に商品タグを設定できますので、商品情報を直接的に提要できる
⑦ストーリーズ・リール等、Instagramの機能を適切に活用すれば、効果的なアプローチを行うことができる
ソーシャルセリング実施における注意点
ソーシャルセリング実施における注意点として、「海外との違いを理解する」「すぐに営業活動をしない」「プロフィールや投稿内容に気を付ける」などの3つの注意点が挙げられます。
以下で詳しく説明していきます。
海外との違いを理解する
日本国内でソーシャルセリングを導入する際に、海外との違いについて理解する必要があります。
海外の違いは以下の2点です。
①情報開示における文化の違い
②人事制度の違い
それぞれについて詳しく説明していきます。
情報開示における文化の違い
海外では実績として、「本日からAシステム会社のプログラムキックオフです」といった投稿が写真と一緒に掲載されることが一般的といえます。
日本の場合では、クライアントに関する投稿をしないことが一般的となっています、
内情を細かく書くことは守秘義務違反となってしまいます。
日本ではSNSを活用したPRは具体的な顧客名を出すことができませんので、説得性に欠けると言われています。
人事制度の違い
もう一つの違いとして、日本では「会社員としてのキャリア」が海外とは違うという点です。
例えば人事異動によって相手企業の担当者が移動してしまう可能性があります。
担当者が移動してしまっては、意図したキャリアと違う形でのオファーになってしまう可能性が出てきてしまいます。
すぐに営業活動をしない
ソーシャルセリングにおいて「すぐに営業活動をしない」ということは重要になりますので、覚えておきましょう。
例えば、Facebookで知らない方から申請があり、友達承認を行うとすぐに「仮想通貨に興味がありませんか?」という内容のメッセージが送られてくることがあります。
上記の事例は、ソーシャルセリングに悪い印象を持つ人が多い原因となっています。
ソーシャルセリングの目的はあくまでユーザーとの信頼関係を構築することです。
営業活動を行っていく前に、会社がどんな価値を提供できるのかをSNSを通じて相手に理解して頂く必要があります。
プロフィールや投稿内容に気を付ける
日本ではSNSのプロフィールがないユーザーも多数存在していますが、プロフィールや投稿内容に気を付ける必要があります。
ソーシャルセリングでは、ユーザーの課題を解決してくれる専門家を探しています。
そのため、得意分野・専門分野をひと目で理解できる内容にしておく必要があります。
また、商品・サービスのアピールや自慢しか投稿していないアカウントは嫌われてしまい、ユーザーの関心が薄れてしまいます。
あくまで閲覧しているユーザーの得になる情報を発信できるように気を付けていきましょう。