UGCとは?マーケティングへの活用方法から注目される背景まで

UGCとは?マーケティングへの活用方法から注目される背景まで

UGCとは、ユーザーによって制作されたコンテンツのことを意味しています。

デジタル広告の嫌悪感が広がっている昨今において、マーケティングにUGCを活用することが注目されています。

この記事では、UGCの解説をはじめ、UGCが重要な理由・活用するメリット・注意点・実際の活用事例などについて詳しく解説していきます。

目次

UGCとは

UGCとはUser Generated Contentの略語であり、ユーザーの手によって制作・生成されたコンテンツの総称のことを意味します。

SNS・ブログ・動画投稿サイト・写真共有サイト・電子掲示板・プロフィールサイト・Wiki等に書き込まれたり、投稿されたコンテンツやそれらの感想・レビューのコメントなども該当します。

CGMUGCの違い

混同されやすいものとして挙げられるのがCGMConsumer Generated Media)です。

一般ユーザーが参加してコンテンツができていくメディアを意味しています。

例として挙げれるのが、食べログ・価格com等の口コミサイトやYahoo!知恵袋のようなナレッジコミュニティサイトなどです。

UGCがマーケティングで重要な背景

 

広告の問題点

UGCが注目されるようになった理由として挙げられるのは、「押しつけ感のある広告」への嫌悪感が強まっているからといえます。

生活者が広告に嫌悪感を抱く状況に陥っている理由は、「広告を発信する側の伝えたい情報」と「広告を受け取る側の欲しい情報」にズレが生じているためです。

そんな状況下の中で、企業から受け取る情報が増加しているため、生活者は嫌悪感を抱くようになってしまいました。

広告に対する嫌悪感は「広告に接触しても内容を読まない」「広告をすぐに閉じる」という行動をユーザーに取らせている原因になっており、これらの行動を取るユーザーは全体の約6割にも及びます。

企業側も激しく変化していくデジタル広告市場に対応していると、「顧客に気持ちよく商品購入体験をしてもらうためにはどうするべきか」という課題を考える時間が取れなくなっています。

その結果として、企業と顧客との間にズレが発生してしまいます。

この背景の中、生活者が発信したコンテンツであるUGCはリアリティがあり、他の生活者からも信用されやすいため、企業のマーケテイング活動に取り入れる動きが出てきています。

意思決定に影響を与える

(ニールセンデジタルが2019年に発表した調査の内容)

購入前の意思決定にUGCを利用する人が増加しています。

特に洋服・化粧品などを購入する際には、Instagramで検索を行い、UGCに活用するケースが増え続けています。

また、他の生活者のUGCを信頼するのかを確認しても、信頼すると回答した生活者の数が増加しています。

Facebook社の公式発表で、20193月時点の月間アクティブアカウント数が3,300万人で、83%のユーザーが「Instagramで商品・サービスを見つける」といった理由でInstagramを利用していることが公表されていました。

日本の多くのユーザーにとって、Instagramは「検索プラットフォーム」の役割を果たしており、UGCの活用のために利用されています。

コンテンツ量の増加

デジタルマーケティング市場が急速に変化している中、企業は様々なマーケティングチャネルを試しながら、施策のPDCAのスピードを上げていくことが求められています。

全てのマーケティングチャネルを試そうとすると、チャネルに適したクリエイティブを準備する必要があり、クリエイティブ制作に投資するコスト・時間が膨大なものになってしまいます。

UGCの活用はリソースに限りがある中で、クリエイティブ量と質を担保する効果的な打ち手の一つといえるでしょう。

UGCをクリエイティブに活用することで、作業工数の削減やクリエイティブ量の担保が可能となり、生活者目線の表現を増やすことができます。

デジタル広告市場の変化

デジタル広告市場を取り巻く環境は大きく変化しており、従来型の広告だけで運用するのは厳しくなっており、新規顧客を獲得・リピート購入の促進を行うための新たな戦略が求められています。

UGCの活用は、広告から流入したユーザーの購入率の向上をはじめ、既存顧客のリピート率の向上等、デジタルマーケティングの各種KPIを改善する手段として注目されています。

UGCをマーケティングに活用するメリット

UGCをマーケティングに活用することで得られるメリットは以下の通りです。

広告感が少なくユーザーが自分事化しやすい

押しつけ感のある広告とは違い、広告感が少なく感じるため、ユーザーに自分事として考えてもらえる確率が高くなります。

UGCは「商品・サービスの使用イメージが伝わりやすく、親近感を醸成できる」「客観性のある情報として信頼感を醸成できる」という特徴があり、有名人を起用したマーケティングでは補完しにくい使用イメージをリアルに醸成できるため、生活者に身近に感じてもらいやすくなります。

0からクリエイティブを作る必要が無い

マーケティング施策の多様性・煩雑化によって、コンテンツの量と種類の担保はとても重要な課題になります。

UGCをクリエイティブに取り入れることで、制作に必要になる「時間」「コスト」を削減できるだけでなく、大量のクリエイティブを得ることができます。

つまり、0からクリエイティブを作成する必要がなくなります。

VoCとしての活用

UGCを活用するマーケティングを行うことで、そこで得た情報をVoCとして活用することができます。

VoCとは「顧客の声」のことで、コールセンターに寄せられる製品やサービスに関するクレームや意見、メールによるアンケート結果、個人ブログ、SNSECサイトのレビューなどから集めた情報が該当します。

UGCを活用することで、押しつけ感のある広告になることを防いで購入を促すだけでなく、そこで得た情報をVoCとして活用することが可能です。

VoCについて、さらに詳しく知りたい方は以下のURLの記事をご覧ください。

VoCとは?顧客の声をマーケティングに活かそう

UGCのマーケティングへの活用

UGCのマーケティングへの活用方法について詳しく解説していきます。

どの程度の企業がUGCをマーケティングに活用しているのか

UGCを積極的に企業のマーケティング活動に取り入れていく流れが活発化しています。

アライドアーキテクツ株式会社が202011月~12月に実施した調査では、国内でマーケティング業務を行う回答者の約94%が「UGCをマーケティングに活用する重要性」を感じており、半数以上が実際に活用した経験があると回答しています。

実際にUGCを活用したことのある人のうち、76.6%が「UGC活用により施策のパフォーマンスが向上した」と回答しています。

つまり、多くの企業が成果を出せているという事になります。

具体的な活用方法

UGCを活用する具体的な方法には、以下の4つが挙げられます。

webサイトにUGCを掲載する

収集したUGC(レビュー・写真・動画等)を自社のWebサイトに掲載する方法です。

検討しているユーザーの判断材料になり、購入意欲を高める効果を期待できます。

掲載場所は以下のページが効果的だと考えられます。

レビュー専用ページ

②TOPページ

カテゴリページ

商品詳細ページ

カートページ

広告用LP

広告クリエイティブとして活用

SNS広告のクリエイティブにUGCを活用する方法があります。

SNSフィードになじむため、ユーザー文脈で受け入れやすいクリエイティブを手に入れることが可能になり、結果として広告効果の向上に繋がります。

SNS広告では、大量のクリエイティブを投下してPDCAを回すことを求められますが、UGCを活用すれば自社の制作リソースを削減しながら、大量の素材を入手できます。

SNSの投稿として活用

SNSの公式アカウントの投稿にUGCを活用する方法です。

先程と同様にSNSのフィードに馴染むだけでなく、ユーザー文脈で受け入れられるクリエイティブを手に入れることができますので、結果として公式アカウントのファンとのエンゲージメントを向上させることに繋がります。

ファンのUGCを公式アカウントなどで紹介すれば、ファンとのコミュニケーションが発生しますので、ファンからの愛着度がさらに高まります。

チラシ等のオフラインクリエイティブへの掲載

商品の同梱物にUGCを活用する方法があります。

ご購入頂いた顧客に「他の購入者がどのように使用しているのか」を知って頂けるきっかけ作りに繋がる方法です。

さらに、自分が購入した商品が他の沢山のユーザーから支持されていることが分かれば、信頼度が向上し、リピートの促進に繋がります。

毎月商品に添付している小冊子にUGCを掲載しているケースもあります。

UGCの活用事例

実際にUGCを活用し、実績を出している事例をいくつかご紹介します。

美容ケアブランドの事例

美容ケアブランドであるVanity Planetは、ECサイトにて購入者レビューの活用は既に行っていましたが、写真などの視覚的なUGCのコンバージョンへの影響を検証するため、ABテストを実施を行いました。

テストパターンでは、レビューの上に「顧客の写真」を追加しました。

掲載した写真には、Instagramからキュレーションされた写真をはじめ、レビューと一緒に顧客をアップロードした写真などが含まれます。

テストは10日間、約6,000人がテスト対象になりましたが、結果としてコンバージョン率が6.56→8.11%に上昇し、売上が8,900ドル増加しました。

保険会社の事例

アメリカのEsuranceという保険会社は、自動車保険・住宅保険・オートバイ保険・賃貸人保険を電話やWebサイトで販売しています。

保険証券を契約する前に表示される最後の4ページのサイドバーに、契約者レビューと星評価を追加した際の効果を掲載し、4,000人に対してABテストを行いました。

テストパターンは「星評価だけ」「契約者レビューだけ」「両方掲載」の3つで行いました。

オリジナルのパターンと比較して、どのパターンもコンバージョン率の向上が見られましたが、「両方を掲載したパターン」が最も高くなり、CVRは最大11.6%も増加しました。 

UGCの注意点

非常に効果が期待できるUGCですが、以下の注意点に気を付ける必要があります。

以下で詳しく解説していきます。

著作権について

UGCの著作権については投稿したユーザーに権利がありますので、企業がマーケティングに活用する際には必ず投稿したユーザーに許可を取る必要があります。

モニター施策等で事前に二次活用の許可を得ているケースでは、許可を取らなくても問題がないケースもあります。

また、TwitterInstagramなどの各プラットフォームが提供している投稿埋め込み機能を利用して、自社サイトにUGCを表示する場合にも「著作権侵害」に当たる可能性があるため、ユーザーから許可を取る方が無難であるといえます。

薬機法について

元々のUGCがユーザーによるオーガニックな投稿であった場合でも、企業がLPや広告クリエイティブに使用する場合には、UGCが企業の表現物の1つとみなされますので、「薬機法」の対象となってしまいます。

そのため、UGCの選択は十分注意する必要があります。

ステルスマーケティングについて

企業がインフルエンサーまたはモニターにUGCを依頼した際には、その投稿上で企業との関係性の明示を行わない行為がステルスマーケティングに当たってしまいます。

そのため、必ず投稿上で企業との関係性を明確に明示しなくてはいけません。

その際に、インフルエンサー自身の言葉で語っていただかないと、UGCの良さでもある「生活者ならではの言葉で説明することで、説得力・納得感がある」というメリットの意味がなくなります。

その点にも気を付けながら、インフルエンサーやモニターの起用を行う必要があります。

ネガティブレビューについて

商品・サービスに対する「ポジティブレビュー」もあれば、当然「ネガティブレビュー」も存在します。

ネガティブレビューに対しても、公開することで以下のメリットが得られます。

レビュー全体の信頼度が上がる

近年、フェイクレビューの存在が問題になっていますが、あえて肯定的なレビューと否定的なレビューの両方を掲載することで、ユーザーからの信頼度が向上します。

適切な購入決定のサポートの役割を果たす

ネガティブレビューは基本的に「期待とミスマッチ」が原因で起こってしまいます。

「通常はMサイズだけど、この製品は大きすぎる」といったレビューは、商品の購入を検討しているユーザーにとっては貴重な判断材料になるため、有益な情報となるケースがあります。

対応すると信頼回復に繋がる

「配送が予定より遅くなった」というネガティブレビューに対して、レビューを公開した上で、その返信コメントで当時の原因・対策方法を説明することで、企業の信頼回復に繋がるケースがあります。

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